カテゴリーアーカイブ:社会の見方

日米経済摩擦の歴史

2017年4月17日   岡本全勝

4月14日の日経新聞の経済教室に、細川昌彦・中部大学特任教授が「日米経済対話の焦点 WTOの補強主眼に」を書いておられます。内容は、記事を読んでいただくとして。「世界の通商システムの変遷」という、日米間協議と多国間協議の年表がついています。
1981年からの日米間の経済摩擦、自動車などの自主規制、半導体協定、構造協議など、若い人は知らないであろう衝突と克服の歴史が載っています。
もっとも、この年表だけでは、経緯や内容、その影響はわからないので、別途その解説が欲しいですね。

この歴史を見ると、製造業の競争力を失うアメリカに対し、日本が安くて優秀な労働力と優れた技術で攻め込む構図でした。しかし今や、日本を追いかけてきたアジア各国がかつての日本の立場にあり、日本は当時のアメリカのように守勢に立っています。
さて、このあと日本の産業は、どのような道を歩むのか。今までの路線は続かないこと、アメリカのまねは難しいことは明白です。第三の道を探さなければなりません。

プロテスタンティズム

2017年4月17日   岡本全勝

深井智朗著『プロテスタンティズム 宗教改革から現代政治まで』(2017年、中公新書)が勉強になりました。
ルターが、1517年にキリスト教の宗教改革を始めて、今年で500年です。宗教改革は歴史で習います。この本は、そのプロテスタントの始まりから、その後の社会での位置づけや果たした機能を解説しています。ルターの改革の呼びかけが、政治に利用されたこと、それを受け入れるだけの社会の変化があったこと。
その後のプロテスタントの中で、大きく2つの流れがあること。一つは政治と一体となった支配者の教会(ドイツやイギリス国教会)であり、もう一つは政治とは距離を置く自発的結社としての教会(ピューリタンなど)です。そして、前者は保守としてのプロテスタントに、後者はリベラルとしてのプロテスタントとなります。

そのほかまだまだ、なるほどと思うことが書かれています。プロテスタントと西欧政治の関係、プロテスタントから見た西欧社会の文化人類学ともいうべき分析です。
マックス・ヴェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」は有名ですが、それよりはるかに、政治や社会の分析に成功していると思います。しかも、読みやすいです。お勧めです。

企業の従業員によるボランティア活動

2017年4月17日   岡本全勝

「企業ボランティア・アワード」って、ご存じですか。
東京ボランティア・市民活動センターが行っている事業で、「都内の企業で働いている人たちによる非営利団体でのボランティア活動を表彰し、広く社会に広報することによって、企業人のボランティア活動への参加や企業と非営利団体の協働を促進することを目的とした事業」です。このほど、第2回の受賞企業が発表されました。
どのような企業のボランティア活動が受賞したかは、それぞれの紹介を見てください。

ここでは、MS&AD インシュアランス グループ(三井住友海上火災保険・あいおいニッセイ同和損害保険)の「世界の子どもたちへ編み物作品を贈ろう」プロジェクトを紹介します。読んでいただくとわかるように、従業員たちが始めた編み物を送る支援は、企業の枠を越えて、編み手のボランティア、その人たちとの連携、輸送など、たくさんの人と企業を巻き込んだ活動になっています。

個人ボランティアでは、限界があります。その人たちをどのように束ねるか。連携や協同が重要です。企業ボランティアは、組織と継続性があるので、期待できますね。

欧米の大手メディアの日本語版ニュースサイト

2017年4月11日   岡本全勝

4月8日の朝日新聞に「日本語サイト、開設続々」という記事が載っていました。
・・・欧米の大手メディアの日本語版ニュースサイトが次々に誕生している。公共放送、経済紙、通信社。米大統領選など世界中が注目する国際ニュースが近年多いことや、東日本大震災の発生が、日本語読者の海外ニュース需要を高めているとの見方もある・・・

日本のニュースなら日本の報道機関の方が充実しているでしょうし、海外ニュースなら通信社の配信か日本人特派員の記事で良さそうなものです。なぜか。
・・・ロイターの下郡さんと、WSJの西山さんは「日本の読者は日本が世界にどう見られているのかをとても気にする」と口をそろえる。11年の東日本大震災と原発事故が閲覧者増の一因になったとも指摘する。下郡さんは「日本メディアが政府の主張をそのまま伝えているのではないかとの不満もあり、海外から福島に入った記者の記事がよく読まれた」と振り返る・・・
・・・BBCの加藤さんは、日本の報道機関との立ち位置の違いを指摘する。「例えば日本のメディアが米国政治を報じる際には、TPPや安保などで日本にどんな影響があるのかが何よりも大事になる。我々は、日本では報道されない情報に価値を見いだしている」
在英ジャーナリストの小林恭子さんは「海外ニュースが日本語でそのまま読めるのがだいご味。学者やビジネスマンの情報収集にも便利だ。日本メディアも、ニュースに多様性を持たせることが求められているのでは」とみる・・・

日本は島国であることとともに、日本語が一番の「非関税障壁」だと私は考えています。商品はその壁を越えますが、報道、教育、研究などは、日本語の壁に守られ「鎖国」「ガラパゴス」状態でも生きてこれました。高等教育を、英米仏以外の自国語でできる国は少ないのです。多くの国で指導者層は英語でニュースを見ています。日本でも、自然科学研究分野は、日本語の壁を越えて海外へ打って出ています。
新聞社、大学、霞ヶ関が、日本語で守られた代表例です。報道で、日本語の壁をこのような形で乗り越えるとは想像していませんでした。

イスラーム

2017年4月9日   岡本全勝

NHKテキスト「宗教の時間 イスラームという生き方」が、勉強になりました。宗教の時間というより、イスラーム世界を知る文化人類学です。心の問題、悩みに答える宗教であるとともに、日常生活を律する生活の指針でもあるのですね。子供を持つことの勧め、利子を取ってはいけないという教え、ラマダン・・・。
他方で、日本やヨーロッパでは宗教・習俗が生活を律していた時代から、近代に入って世俗化が進みました。仏教は殺生を禁じましたが、私たちは、肉を食べています。そのように、近代化とともに、脱宗教・世俗化が進みます。イスラーム世界は、このまま宗教が生活を律するのか、他の世界と同じように世俗化が進むのか。