カテゴリーアーカイブ:社会の見方

みんなの範囲

2020年12月2日   岡本全勝

「みんな」「皆」と聞いて、あなたはどのような数を思い浮かべますか。国語辞典で引くと、「そこにいる人すべて。全員。また、あるもの全部。多くの人々に呼びかける語としても用いられる」とあります。

でも、「みんなが・・」という場合に、必ずしも全員でないこともあります。100人いて、そのうちそのうち80人が黒っぽい服を着ていた場合に、「みんなが黒っぽい服を着て」と言うことがあります。日常会話では、厳密に「100人のうち、80人ほどが黒っぽい服を着て」とは言いませんよね。

もう一つは、子どもが言う「みんなが・・」です。「あのおもちゃを、××ちゃんも、○○ちゃんも、みんな持っている」と言う場合、しばしば3人や4人で「みんな」と言うことがあります。よくよく聞いてみないと、まちがいます。笑い。

星野博美著『旅ごころはリュートに乗って』

2020年12月1日   岡本全勝

星野博美著『旅ごころはリュートに乗って 歌がみちびく中世巡礼』(2020年、平凡社)を読みました。本屋で見つけて、面白そうだったので。いくつか新聞の書評でも取り上げられています。

リュートは、中世ヨーロッパの弦楽器です。日本の琵琶に似ています。ギターの祖先のようです。第1話が、グリーンスリーブズ(イングランド民謡)です。皆さんもご存じの曲でしょう。私も好きな曲です。私でも、吹けます。ヘンリー8世がつくったとの説もあるそうですが、ウィキペディアでは、否定されています。
インターネットでもリュートの演奏を聴くことができると書いてあったので、検索してみました。たくさん出ていました。なるほど、このような音が出たのですね。

ところで、この本は、リュートから始まりますが、音楽が主題ではありません。途中から教会音楽の話になり、さらに話が広がって、ユダヤ人の迫害、キリスト教の殉教の話になります。副題がそれを表しています。それはそれで、勉強になりました。

世界人口の予測

2020年11月23日   岡本全勝

11月15日の読売新聞に「世界人口減 遠くない未来」が載っていました。

・・・20世紀に入ってから急増した世界の人口はいま78億人。一体どこまで増えていくのだろうか。
国連が昨年公表した予測によると、人口は当面伸び続けるが、2100年に109億人でピークに達する可能性がある。今世紀中に増加が止まる、あるいは減少に転じる確率も27%あるという。しかし、各国の研究者からは、人口減はずっと早く始まるのではないか、という予測が相次いで出されている。
例えば、米ワシントン大のチームは今年7月、グラフで示したように、人口のピークは2064年の97億人で、今世紀末には88億人まで減るとする試算を発表した。ピークはもっと早くて、2050年頃とみる専門家もいる。
人口の増加に急ブレーキがかかりそうなのはなぜか。最大の理由は、先進国だけでなく、多くの途上国、特にアフリカで女性が産む子供の数が予想以上の速さで減っていることだ。背景には、女子の教育や避妊の知識の普及がある・・・

記事には、各国の人口の予測だけでなく、「若さ」年齢中央値、「構成」人種なども載っています。日本の位置も。原文と図表をご覧ください。

位置づける

2020年11月23日   岡本全勝

ある思想家とその時代、以前、以後」の続きです。かつて、「内包と外延、ものの分析」「内包と外延、ものの分析、2」を書いたことがあります。

・・・あるものごとを解説したり分析する際に、そのものごとの内部を深く分析します。これを内包的分析と呼びましょう。もう一つは、そのものごとが社会でどのような位置を占め、どのような影響を与えたかを分析します。これを外延的分析と呼びましょう・・・

周囲(社会)の評価。歴史上の意義。ヨーロッパにおけるキリスト教の意義を理解するのに、聖書と教会を研究しただけではわかりません。どのように社会に受け入れられたか、どのように社会に影響を与えたかの研究が必要です。
日本の官僚が、この30年間で地位を落としたことを理解するには、官僚と行政の中を研究してもわかりません。社会における役割や評価が変わったことを研究する必要があります。
内に向かって深く掘り下げてもその意味はわからず、広く外の世界の中に位置づけてこそ、その意義がわかるのです。

ある思想家とその時代、以前、以後

2020年11月22日   岡本全勝

権左武志著『ヘーゲルとその時代』(2013年、岩波新書)の冒頭に、おおよそ次のような記述があります。

思想や哲学を理解するには、思想家が生きた時代に着目し、歴史的文脈から思想のなり立ちを理解すべきである。思想は、生々しい生活体験から産み出されるものだ。思想家がどんな時代に生き、どんな時代の課題取り組んだのかを理解する必要がある。
そして、その思考の創造過程は、無からの創造を意味するわけではない。むしろ、過去の思想を新たな視点から読み替えていく再創造の形を取るのが通例である。
さらに高度な思想は、後の時代に継承されて、特定の時代や国を超えた普遍的影響を及ぼすことができる。

そして、「ヘーゲル哲学を理解するためには、その時代だけでなく、過去の何を変えたか、次代にどのような影響を与えたかを見るべきだ」と主張します。
納得です。哲学や政治学、社会学の名著といわれるものを読んでも、ここで主張されているように、過去の何を変えたか、何と戦ったか、後世に何を伝えたかがわからないと、意味と意義が理解できません。いままで、何度も名著といわれるものの時代背景や前後を理解せずに読んで、苦労したことがあります。

その書を深く掘り下げても、その書や人の意義はわかりません。その書や人が世界にそして後世にどのような影響を与えたかによって、意義がわかります。この項続く。