カテゴリーアーカイブ:社会の見方

ネクタイとスーツは伝統衣装になるか

2021年9月28日   岡本全勝

ネクタイをしている人が少なくなりました。クールビズが定着するまでは、会社員は、真夏でも、紺のスーツにネクタイをしていました。最近はお堅い銀行員や公務員も、ネクタイをしなくなりました。
紺のスーツと白のシャツは残っていますが。これは、ほかの色のものを持っていないからでしょう。いずれ、変わると思います。

この傾向が進むと、スーツにネクタイ姿は、どうなるか。
参考になる事例が、女性の和服です。私の子どもの頃は、晴れ着であり普段着でした。その後、晴れ着として残りました。七五三のお祝い、結婚式と披露宴、公式の会合にです。男性にとってスーツにネクタイも、女性の和服と同じように、ハレの場の服装になるのかもしれません。

すると問題は、スーツにネクタイに代わる、男性のおしゃれ着です。
ネクタイは機能としては意味がなく、むしろ邪魔なのですが。代わり映えのしない紺のスーツと白のシャツでは、ネクタイが唯一のおしゃれです。そして、体に合ったスーツとアイロンをかけたシャツは、しゃきっと見せてくれます。これがなくなったら、単にだらしない男性が、できあがります。

軍隊をはじめ制服は、ほかの人たちと識別する機能とともに、それを着ると気持ちが引き締まります。勤め人にとってスーツは仕事服であり、それを着ることで頭が仕事をする状態に入るのです。在宅勤務で普段着のまま、布団から出てきた姿でも仕事をすることはできますが、気分は乗りませんよね。

経済力の日米比推移

2021年9月26日   岡本全勝

経済成長外国比較2」から続く。これは今回初めて載せます。
アメリカを100とした場合の、日本の国内総生産(GDP)、日本の一人当たり国内総生産(一人当たりGDP)の推移です。

この図は、やや衝撃的です。1995年を頂点に、見事な山形を描いてます。
1995年以降の日本の経済は、停滞ではなく急速な低下です。横ばいではなく、急速に落ちています。アメリカとの比較では、1970年代頃に戻っています。
経済成長外国比較2」では、日本は1995年以降横ばいに近いのに対し、アメリカは成長しています。世界が成長しているときに、日本が成長しないと、相対的には落ちていきます。

国内で暮らしていると、その実感はわかりにくいです。しかし、国際的にはこうなっているのです。マクドナルドのビックマック指数で、日本は、韓国やタイに抜かれています。日本は経済一流国ではなくなり、アジアのなかでも所得の高い国ではなくなりました。

なお、この図はドルで評価しているので、円ドル相場の変動による要素もあります。ところどころ、でこぼこがあるのは、主に円ドル相場の変動によるものでしょう。
2021年8月26日の日経新聞経済教室、岡崎哲二・東京大学教授の「国民生活改善への転機に」がわかりやすかったので、経済の専門家に一部を改変して作ってもらいました。

経済成長外国比較2

2021年9月25日   岡本全勝

経済成長の軌跡2」から続く。「経済成長の軌跡」(2017年)を更新しました。
(一人当たりGDPの軌跡と諸外国比較)
次は、日本、アメリカ、フランス、韓国、中国の4か国の一人当たりGDPの軌跡です。1955年にアメリカの10分の1だったのが、1980年代後半に追いつき、そして追い抜きました。アメリカもその間に10倍になったのですが、日本は100倍になりました。
この図は、縦軸が対数目盛になっています。一つ上は2倍でなく10倍です。等間隔目盛にすると、とんでもない急カーブになります(縦に100枚つないだ状態を想像してください)。

そして1990年代後半から日本は横ばいになり、アメリカに再逆転されます。他方で、韓国や中国が、日本から約20年、40年遅れて出発し、日本と同じような軌跡を描いています。これを見ると、かつてなぜ日本が一人勝ちできたのか、そして近年そうでなくなったかが分かります。日本が一人勝ちできたのは、先進国を手本に追いかけたこととともに、後ろから追いかけてくる国がいなかったのです。
「経済成長の軌跡2」に掲げた、日本の経済成長の数字だけでは見えないものが見えてきます。

これらの図表は、昔から使っていたものです。なかなかの優れものです。日本の社会と行政を規定する経済要因を、2つの図表で示すことができます。今回も、小黒桂君の助けを借りました。
さて問題は、アメリカに追いついた後です。日本が横ばいなのに対し、アメリカは成長を続け、逆転した後に差が広がりつつあります。それについては「経済力の日米比推移」に続く。

インターネット上に個人が持つ情報「デジタル遺品」

2021年9月25日   岡本全勝

9月19日の朝日新聞「Reライフ」は、「大事なデータ、どう残す デジタル遺品、注意点と対策」でした。
・・・家族写真、友人の連絡先、インターネットバンキングの口座……。スマートフォンやパソコンには様々なデータが保管されています。もし突然、あなたが亡くなったら、そのなかで大事なものを家族に残せますか?

「経営者だった父が急死した。税理士とのやりとりで、家族が知らない会社が登記されていたと分かり、父に隠し資産があるのではと疑念を抱いた。遺品のパソコンのパスワードが分からないので解除してほしい」
データの復元やパスワード解除のサービスを展開する「デジタルデータソリューション」(東京都港区)に寄せられた相談の一例だ。このケースでは依頼者が遺族だと確認したうえで対応し、パスワードの解除やデータ復旧に成功。パソコンからは、会社登記に関する書類やネット証券、ネット銀行の口座データが見つかったという・・・

・・・石塚さんが想定する主なトラブルは三つ。一つ目は、故人が利用していたネットバンキングやネット証券の口座情報、暗号資産などの金融資産が遺族に知られないままとなり、放置されてしまうケースだ。「金融機関からの通知も紙ではなくメールなどで来るため、遺族が見落としやすい」という。
二つ目は故人が有料サイトや課金制アプリを使用している場合だ。遺族が契約に気づかなければ料金が発生し続け、口座から引き落とされることになる。年会費などだと気づくのが遅くなるケースもあるというが、金融機関がどこか分かれば、口座を凍結して引き落としを止められる。
三つ目は、写真や知人の連絡先、SNSなど、故人のデータにまつわるものだ。データを消去せずに機器を処分すると悪質な業者に個人情報が流出する可能性がある。また、SNSのアカウントを放置すると、第三者に乗っ取られて悪用されるおそれがある・・・

私も、この2番目と3番目が問題になります。特に、このホームページですね。サイトを管理してもらっている社長と、息子にでも頼んでおくのでしょうか。

ところで「Reライフ」って、どういう意味でしょうね。新聞社がこのような一般人が理解できない言葉を使うのは困ったものです。

経済成長の軌跡2

2021年9月24日   岡本全勝

経済成長の軌跡」(2017年)を更新しました。今回は、3ページに分けて載せます。

(日本の経済成長と税収)
戦後日本の社会・政治・行政を規定した要素の一つが、経済成長であり、その上がりである税収です。
次の4期に分けてあります。すなわち、「高度経済成長期」「安定成長期」「バブル崩壊後(失われた20年)」、そして「復活を遂げつつある現在」です。
1955(昭和30)年は、戦後復興が終わり、高度経済成長が始まった年。1973(昭和48)年は、第1次石油危機がおき、高度成長が終わった年。1991(平成3)年は、バブルがはじけた年です。第2期は「安定成長期」と名付けましたが、この間には石油危機による成長低下とバブル期が含まれています。2012年が区切りになるかどうか。それは、しばらく見てみないと分かりません。ひとまずの仮置きです。

高度経済成長が、いかにすごかったかがわかります。年率15%の成長は、3年で1.5倍、5年で2倍以上になるという早さです。池田総理が「所得倍増論」を唱えました。それは「10年で所得を倍にする」というものでした。名目値では、5年で倍になりました(もちろん物価上昇があったので、実質価値では違います)。
税収も同じように伸びていますが、実はこの間に毎年のように減税をしました。累進課税なので、減税をしなければ、もっと激しく伸びたと予想されます。石油ショック後も結構な成長を続けたこと。バブル後はそれが止まったことも。
そして、参考(65歳以上人口)に示したように、高度経済成長期は日本が「若く」、社会保障支出も少なくてすみました。当時ヨーロッパ各国は、すでに10%を超えていました。現在ではヨーロッパ各国を追い抜いて、世界一の高齢国になっています。人口の増加率も、もう一つの要因でしょう。2004年をピークに減少し始めました。

この表は、過去を懐かしんだり、批判をすることが目的ではありません。未来に向けて、どのようにしたら、成長を取り戻すことができるかが課題です。
経済成長外国比較2」へ続く。