講談社現代新書が、創刊50年だそうです。講談社のPR誌『本』で、その特集を組んでいます。
私も、高校生の頃からお世話になりました。岩波新書、中公新書に次いで、この新書を知りました。本棚にたくさん、あのクリーム色の表紙(前の装丁です)が並んでいます。最初は「軽いなあ」というのが感想でした。でも、それが持ち味なのですよね。それぞれの新書(出版社)で「文化」「社風」が違って、特徴があります。
講談社現代新書は、もちろん岩波新書を意識して作られました。そのほか、この特集を読むと、いろいろと創刊当時のいきさつが書いてあります。
戦前にあった岩波文化に対抗した講談社文化を生かしたこと。当時、講談社が落ち込んでいて元気がなかったこと。社内で反対が強く「講談社新書」と名乗ることができずに「現代」が入ったことなど。
岩波新書や中公新書とは違う路線を歩んだことは、正解でしたね。最近はいろんな会社が新書を出していて、本屋で目当ての本を探すのも大変です。
カテゴリーアーカイブ:私の読んだ本
蔵書の苦しみ、2
蔵書が増え、家にあふれる原因を考えました。主な原因は、次の通りです。
1 本を買うだけのお金が、そこそこある。
お金がなければ、本は増えません。学生時代は欲しい本がたくさんありましたが、財布と相談して、あきらめていました。社会人になって、ある程度は、本を買うだけの余裕が出ました。
「そこそこある」というのは、大金持ちだったら、広い書庫を造るでしょう。すると蔵書は増えても、悩みは増えません。
2 家に、少しスペースがある。
置く場所がないと、蔵書は増えません。学生時代の下宿では、限界があります。しかし、持ち家であれ賃貸であれ、家ができると、蔵書は増えます。
最初は本棚。しかしすぐに満杯になり、机の周りに平積みされます。次は、布団の周囲、さらに階段の片側と。これが、本が空間を浸食していく、お定まりのコースでしょう。
これまた、広大なお屋敷に住んでいたら、悩む必要はありません。
3 買った本を読まない。
実は、これが一番の原因です。買った本を読むという習慣があれば、その本を読み終えない限り、次の本を買いません。しかし、いろんな本を同時に読んでいるという言い訳の下、買った本を読まずに次の本を買うから、こんなに増えるのです。
「買った洋服を着ない」「タンスの肥やし」という表現がありますが、同じようなものでしょう。
4 本を捨てられない。
そして、これが、とどめです。どんどん増える片方で、同じだけ捨てれば、増えないはずです。でも、捨てられないのですよね・・。
蔵書の苦しみ、3
「蔵書の苦しみ、2」(8月14日)に、読者から反応がありました。「次のような趣旨を、5に加えてください」とのことです。
5 図書館の本を、利用できないこと。電子書籍を、使いこなせないこと。
ご指摘の通り。ただしこの指摘は、3に通じるところがあります。読むために本を買っているのではない、買って溜めることに喜びを見いだしているということです(反省の色なし!)。表題の通り、「読書の苦しみ」ではなく、「蔵書の苦しみ」なのです。
悲しい出来事、本が見つからない、本が見つかった
先日から、ある本を探しています。数年前に読んで、確か「本棚のこのあたり」に、置いたはずなのですが。見当たりません。「散歩に出かけたのか」と、書斎の中を探しているのですが、出てきません。床に積み上げた本の中も、苦労しながら探したのですが。
悲しい出来事は、これではありません。その捜索過程で、別のある本を、見つけました。しかし、それが悲しかったのです。
実は、その本は読みたいと思って、先月アマゾンで注文して、届いたばかりなのです。同じ本が2冊。
思い出の本、その2。岡先生「政治」
「思い出の本、原書講読」の続きです。
岡義達先生に、岩波新書『政治』(1971年)があります。私は、この本が岩波新書の中で最も内容の濃い(難解な)新書の一つだと思っています。残念ながら、絶版になっています。
大学3年生の時に読んで、1回では歯が立ちませんでした。新書にこんな難しい本があるのかと、驚きました。抽象度が高く、歴史や背景を知っていないと、意味がわからないのです。「精米」の度合いが高い、無駄のない研ぎ澄まされた文章も、初心者には取っつきにくかったです。何度か読み返し、1年がかりで、理解できるようになりました。私のものの見方を作ってくれた本の一つです。
具体事例から抽象化をして法則を見いだすのが、学問です。その際の「切り口」と「切れ味の良さ」が、勝負になります。もっとも、抽象化が過ぎると、「何でもあり」になってしまいます。そのさじ加減が、難しいのです。
苅部直東大教授の政治学の入門書『ヒューマニティーズ 政治学』(2012年、岩波書店)の読書案内の最後に、次のように書かれています。
・・そして最後に、ある意味で大人向け、もしくはプロ向けの、「政治」に関する本を二冊。岡義達『政治』(岩波新書、1971年)と佐々木毅『政治の精神』(岩波新書、2009年)。どちらも、新書版とは思えないほどに読み口の重い本であるが、それは決して抽象的で難解という意味ではない。じっくり読み解いていけば、「政治」という営みがまとう、意味の分厚い塊がしだいに溶け出してくるように感じられるはずである・・