カテゴリーアーカイブ:明るい課長講座

中部電力、原発データ不正2

2026年9月28日   岡本全勝

「中部電力、原発データ不正」を読んだ読者からの指摘です。
「中部電力の不正に対しての第三者委員会の報告に「極めて特異な考え方が一部に存在していたこと」が挙げられていました。この表現こそ、「極めて特異」ではないでしょうか?
意味がよくわからないので読み進めると、「独自の正当化理論」で、「原子力規制委員会の規制は過剰」「自分たちは正しいことをしている」と続き、ようやく理解しました。第三者委員会は、なぜ、このような「極めて特異な」表現を使うのでしょうか。」

そのとおりですね。「特異な」は通常の例外という意味で、高評価なのか低評価なのかわかりません。犯罪を犯した者が警察などへの説明で「私は極めて特異な考え方をしていたので」なんて言いますかね。
わかりやすい表現にすると「世間では通用しない間違った考え方」でしょうか。
中部電力も第三者委員会も、このような姑息な表現を使っていると、さらに信頼を失うでしょう。

ドイツに見る短時間勤務

2026年9月27日   岡本全勝

時事通信社の行政情報誌iJAMPに、田中洋子・筑波大学名誉教授がドイツの労働事情を書いておられました。9月14日から18日まで5回連載。

9月14日の「短時間勤務、ドイツでは公務員も当たり前」から。
・・・ドイツでは、日本とはずいぶん異なる働き方が認められている。大きな違いは、フルタイム正社員が短時間勤務をし、パート労働者もフルタイム労働者と同じ待遇を受けていることだ。今では誰もが短く働いてゆとりある暮らしを送ることができる。もちろん、公務員もだ。ドイツの最新事情を紹介したい。

2023年、ドイツはGDP(国内総生産)で日本を抜いて世界3位となった。日本は4位に落ち、インドにも抜かれそうだ。一人ひとりの労働時間が日本より短いのに、日本より生産性が高く、経済も好調なのだ。ということは、出社してそこで長時間過ごすことが「働いた証し」とみなす日本の評価軸は、そんなに大事ではないということになる。

まず、ドイツには「時間主権」という概念がある。自らの働く時間をコントロールする力や、一人ひとりが置かれた状況に即して働く時間を決める権利のことを意味する。事業主が労働時間を業務命令として労働者に押し付けるのではなく、働く側が自分の働く時間について発言し、希望を伝え、人生を設計する。働く時間は上司や同僚と相談して決める。
この考えはドイツの行政や企業に浸透し、人事政策にも組み込まれている。労働者が短く働きたいと言えば、事業主はそれを拒否できない。出社することより成果を出すことが求められるため、労働者はかなり集中して働く。転勤は基本的にドイツにはなく、あっても断ることができる。それがキャリアに響くことはない。
帰宅ラッシュは午後4時から6時ごろの間。3時に帰る人もざらにいる。帰宅後は家族との時間を楽しんだり趣味を楽しんだりする。長期休暇も取りやすい・・・
「「時短」勤務者の活用」

中途入社社員を生かす

2026年9月24日   岡本全勝

9月8日の日経新聞夕刊「「よそ者」視点が企業変える 中途社員が改革けん引、経営側期待高く」から。
・・・転職経験者の増加に伴い、企業の中で中途入社した社員の存在感が高まっている。社外を知るからこそ見える課題や違和感を業務改善に生かす動きが広がりつつある。企業側も中途社員ならではの視点に耳を傾け、業務や組織改革につなげようと動き始めた。
「振り返りを業務フローに組み込むのは重要ですよね。前職では振り返りだけの定例会議もありました」――。他社でプロジェクトマネジャーの経験を積んできた渡部良さん(40)は、2023年5月に中途入社した人材大手、エンで毎週自主的にオンラインの輪読会を開催している。
参加しているのは同じチームメンバーの2人で、転職経験はないプロパーのプロジェクトマネジャーだ。業務に関連する書籍を基に、書かれた事例や状況を現在の仕事に当てはめながらマネジメントの方法について議論している。
渡部さんは「ストレートに『これは変だ』と言っても伝わらない」と考え、自分の経験をメンバーに伝える手段として24年から輪読会を始めた。「書籍を通じ考えを述べ合うことで、互いに新しい視点を得られる」と狙いを話す。

転職でキャリアを磨く人は増えている。マイナビの「転職動向調査2026年版」では正社員の転職率は25年で7.6%と、比較可能な16年に比べて2倍に。経験豊富な世代を即戦力として中途で迎える企業の動きも活発で、転職率は30代男性で10.7%、30代女性は6.1%だった。
「応募者の少ない公募型研修は整理した方がよさそうです」。26年3月、研修関連会社から第一ライフグループ(第一生命の親会社とのこと)に転職した多田大祐さん(35)は、人事部門で同社の社内研修に関する違和感を上司に伝えた。必要がなくなっても慣例的に続いた研修もあり、誰も手を付けられずにいた。
第一ライフグループでは近年、中途採用を強化している。新規入社者に占める中途割合は20年度は3割弱だったが、24年度には新卒入社数を上回り、25年度は69%になった。多田さんが職場で意見を言いやすい背景には、同社が積極的に中途社員の声を聞き取るように社内研修を強化してきたことがある。中途入社研修では25年度から年4回、入社3カ月程度の社員を集め、グループワーク形式で会社の改善点を聞き取る時間を設ける。これまで「社内では口頭説明が多く、資料が残っていない」「案件の数が想定より多い」など様々な角度から声が上がった・・・

中部電力、原発データ不正

2026年9月23日   岡本全勝

9月14日に、中部電力が、浜岡原子力発電所について地震動のデータ不正問題の調査報告書を公表しました。各紙が詳しく伝えています。例えば15日の朝日新聞「浜岡再稼働、申請取り下げ 中部電、社長・会長辞任へ データ不正」。
・・・中部電はこの日、外部の弁護士でつくる調査委員会の調査報告書を公表。報告書によると、原発の耐震設計のもととなる最大の地震の揺れ「基準地震動」が、審査申請時の1200ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)を大幅に超えないよう、恣意的にデータを選ぶなどしていた。
不正は遅くとも2012年に始まり、地震動を算定した225件のうち少なくとも208件で不正があった。「再稼働のスケジュールに影響が出ることを避ける」狙いがあったと認定した。
また、審査への対応の遅れに対する経営陣からの叱責が現場への「圧力」になったと指摘。不適切行為を容認する「独自の正当化理論」が社内に広がっていたとし、中部電のほかの不祥事でも「同じような考え方が根底にあるように見受けられる」とも指摘した。
社内では不正を問題視する声も複数回出たが、不正を監視・牽制する仕組みが「実効的に機能しなかった」と認定した・・・

会社の調査報告書、反省と決意に次のように書かれています。
・調査委員会からの報告書では、社会や地域からの視点よりも当社内の論理を優先した「独自の正当化理論」が通底する要因として存在し、一部の社員が確信的に不適切行為をおこなったことが指摘されています。それをもたらしたのは、経営(注)が法令やルールよりも当社内の論理を優先する考え方を是正できず、コンプライアンスを最優先とする組織風土を確立できなかったことが大きな要因であり、経営の責任として、極めて重く受け止めています。
(注)経営の監督を担う取締役会および経営の執行を担う執行側経営陣
・経営が、実務者に寄り添い、不適切な情報も含め正しい情報を共有し多様な観点から議論を尽くすことができませんでした。その結果、組織が一体となって課題を解決する機能を十分に発揮できず、この組織の機能不全こそが、本事案を発生させた本質的な問題であると考えています。

遅れに対して、経営陣が現場を「叱責」したとのこと。
職場での不正には、害虫型とカビ型の2種類があります。中部電力の場合は典型的なカビ型、しかも職員の習慣で上司が知らなかったのではなく、幹部主導のよるカビ型です。部下にできもしない業績達成を強要した、東芝、ニデックを思い出します。
私のホームページでは「明るい課長講座」に分類しているのですが、「暗い職場講座」ですよね。

「時短」勤務者の活用

2026年9月16日   岡本全勝

8月31日の日経新聞に「「時短」勤務者は重要な戦力 人員確保に効果 管理職の意識変わる」が載っていました。

・・・1日6時間など、フルタイムより短い時間で働く「時短」勤務者を、特に重要な戦力とみなして活用する組織が増えてきた。人手不足が深刻になるなか、フルタイム勤務という条件を外せば新たな採用がしやすい。短時間で成果を上げようとする意識が広がると、組織全体の働き方も変えられる可能性がある。

高知県は2026年度、週10時間の無給休暇が取れる「短時間正職員」の採用を始めた。職種を限定しない短時間勤務の正職員採用は全国で初めて。長らく職員の残業時間削減が課題だったが、人員の確保が難しかった。そこでフルタイムにこだわらず、短時間でも働ける人を増やし、1人あたりの仕事量や勤務時間を減らそうと試みた。
短時間正職員として働く市川明子さん(45)は、職員厚生課で公務災害の審査などを担う。過去の災害事例を丁寧に調べ、周囲の職員の助言を得ながら仕事を進める。週10時間の休暇は、水曜日を休みにし、他の日は始業時間を30分遅らせることで活用する。高校生から小学生まで4人の子どもがおり、始業が遅くなれば、下の子の登校時間に合わせて出勤できる。水曜日は平日にしかできない用事を済ませる日にあてる。
「フルタイムなら応募しなかっただろう」と市川さんは話す。大学卒業後、中国で日本語教師として働き、帰国後に結婚。専業主婦やパート勤務を経て生活は充実していたが、40歳を過ぎて「自分の生き方はこのままでいいのか」と悩んでいた。短時間正職員の募集を偶然見つけ、「私にも力を発揮できるチャンスがあるかもしれない」と応募した。今は仕事で周囲から感謝されると「社会の中で役に立っていると実感する」。

採用した短時間正職員は市川さんを含めて計10人。人事評価や昇給制度はフルタイムと同じ。行政職5人の募集には約100人の応募があった。その多くは育児中の女性だった。
高知県では約3400人の職員を対象に、時間外割増賃金率を通常の25%から50%にする施策も実施中だ。「管理職が早く帰ろうと声掛けを始めるなど職場が変わってきた」(行政管理課)

ビースタイルホールディングス傘下で、求人サイト「しゅふJOB」を運営するビースタイルメディアは3年前に大手顧客向けの営業部で時短社員の採用を始めた。「夕方5時までの勤務で募集すれば圧倒的に応募が増える」(同社)からだ。
ただ当初は「顧客対応のある営業部門で時短は無理ではないか」という社内の声もあった。そこで営業部で午後5時以降の顧客からのメールをすべて確認してみたところ、5時以降に対応が必須だったのは月1件ほど。多くは翌日対応で問題なかった。
心配は杞憂だったと分かり、現在はチーム14人のうち3人が通常より1時間短い午後5時までの勤務を実践している。第一営業部部長の中畝拓輝さんは「時短勤務者の採用で、短時間で成果を上げる方法を管理職が積極的に考えるようになった」と、その効果を口にする。