カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

「上位下達」

「上位下達とは、上位の者の意志や命令を下位の者に徹底させること。下意上達とは、下位の人たちの意見や考えが上位の人に届くこと」
この文章の間違いを正せ。

わかりますか。「上位下達」は、「上意下達」の間違いです。先日、やらかしてしまいました。
職員研修で使う投影資料でです。中間管理職の仕事を説明する際に図を描いて、その横にこの言葉を添えてあります。漢字変換する際に、間違ったようです。この資料はもう何回も使っているのですが、気がつきませんでした。反省。
見た人から指摘を受けました。ありがとうございます。

さらに調べていて、もう一つの間違いに気がつきました。「上意下達」は「ジョーイゲダツ」「ジョーイカタツ」のどちらの読み方もあると思っていたのですが、「ジョーイカタツ」が正しいのだそうです。「NHK放送文化研究所

社員の育て方改革、タテ組織のOJTに限界

3月11日の日経新聞オピニオン欄に、原田亮介・論説主幹の「Z世代社員の「育て方改革」 タテ組織のOJTに限界」が載っていました。

・・・人手不足で人材獲得競争が激しさを増すなか、企業が若手の育成に苦労している。転職も含めて自分のキャリア形成を重視する「Z世代」の価値観が、伝統的なタテ割り組織とかみ合わないからだ。職場内訓練(OJT)で育てる従来のやり方には限界があり、企業も「育て方改革」に動き出している・・・

・・・いま30歳までの若者は、一般には1990年代後半から2012年までに生まれたZ世代と呼ばれる。その育て方に一石を投じたパナソニックのイベントには他の会社からの照会が相次いでいる。実際どの会社も悩みは多い。
「40代以上は一定の価値観で育っているが、Z世代の価値観は多様。人事部もどうマネジメントすればいいか悶絶している」。20年も転職支援に取り組んできた人材会社のあるトップは今までにない世代、とみる。

第1の特徴は有給休暇の取得やリモート勤務を重視する層が増えていること。残業などで自分の時間を侵食される職場を選びたがらない。働き方改革、コロナの影響が意識を変えている。
第2の特徴は就職時に最初から転職を視野に入れている層が増えていること。リクルートワークス研究所が19〜21年に就職した人を対象にした調査によると、今の会社に定年まで働きたい人は2割にとどまる。「すぐにでも退職したい」と「2、3年は働き続けたい」を合計すると半数近い44.5%に達する。
3つ目はキャリア(仕事の専門性)を会社ごと、職場ごとに伝承してきた企業の組織文化に対し、キャリアは自分に蓄積され、転職しても持ち運ぶという意識が高いことが特徴にあげられる。
4つ目の特徴は、タテよりもヨコのつながりを重視する考え方だ。SNSを使い慣れ、同級生や同期のコミュニティーで立ち位置をいつも確認してきた。上司よりも異なる職場や違う会社の同世代がどう働いているかに関心が強く、副業にも意欲的だ・・・

・・・もう一つ気がかりなことがある。企業は年功部分を反映して従来厚めだった中高年への配分を見直し、初任給の引き上げなど若手に手厚い配分に改め、賃金カーブをフラット化させつつある。取り残される中高年は賃上げの実感に乏しく不満がたまりやすい。
また若手の指導役の中間管理職は通常業務以外に、若手のキャリアプランの作成などを求められており、負荷が増している。その処遇を手厚くし、コーチング研修などを強化しないとうまくいかない・・・

やる気を引き出す励まし話法

2月27日の日経新聞夕刊に、日本ペップトーク普及協会 教育普及部副部長・乾倫子さんの「やる気を引き出す励まし話法」が載っていました。部下育ての基本は、しかるより褒めるですが、子育ても同じですよね。詳しくは記事をお読みください。

・・・子どもにしてほしいことをうまく伝えるにはどうしたらいいか。ポジティブな言い方で相手のやる気を引き出す米国生まれの話法がある。スポーツ指導のほか教育やビジネスの現場でも活用されるこの話法を家庭で実践し、子どものやる気を引き出す方法について、日本ペップトーク普及協会の教育普及部副部長、乾倫子さんの助言を紹介する。

この話法は「ペップトーク(Pep Talk)」と呼ばれ、直訳は「励ましの言葉かけ、応援演説」という意味だ。米国発祥で、もともとはスポーツの試合前に監督がロッカールームで選手を励ますための短いスピーチのことを指す。
2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝戦の前に大谷翔平選手がチームメートに投げかけた「憧れるのをやめましょう。(中略)勝つことだけを考えていきましょう」という言葉は、典型的なペップトークだ。

ペップトークは次の4つのステップで進める。
【ステップ1=受容】事実や相手の感情を受け入れ、共感を示す。子どもの気持ちを聞く際はイエス・ノーで答える質問ではなく、「今どんな気持ち?」「何を頑張りたい?」など自分の言葉で答えられる質問をする。

【ステップ2=承認】次にとらえ方をポジティブに変換する。コツは「ない」ものでなく「ある」ものに目を向けること。例えば雨天のとき、「外で体育はできないね」とネガティブにとらえず、「お気に入りの傘が使えるね」とポジティブな面に目を向ける。

【ステップ3=行動】してほしいことを分かりやすく伝える。「走らないで」と伝えると、子どもの脳内には走る場面が浮かんでしまうので、「ゆっくり歩こう」などとしてほしいことをシンプルに伝える。

【ステップ4=激励】その上で子どもの性格に応じた言葉で励ます。「困ったら手伝うからね」と安心感を与える言い方や、「○○ちゃんなら絶対できるよ! 全力でやってみよう」と背中を押す言い方など、子どもが言ってほしいと思う言葉を選ぶのが効果的だ・・・

NTT西の情報漏洩、自治体8割「流出元知らず」 

先日紹介した、西日本電信電話の元社員による個人情報持ち出し事件「情報不正持ちだし、対策の不備と組織文化」。3月4日の日経新聞が、被害にあった自治体の8割が、漏洩元の企業を把握していなかったこと、知っていたのはゼロだったと伝えています。「NTT西系漏洩、自治体8割「流出元知らず」

・・・NTT西日本子会社から900万件超の個人情報が流出した問題を巡り、被害にあった自治体の8割超が漏洩元の企業を把握していなかったことが、日本経済新聞の調査で分かった。情報を取り扱う業者の監督は法律などで義務付けられているが、昨年10月の問題発覚後も実態を「把握すべきだった」と回答したのは3割にとどまった・・・
・・・同社に住民情報の取り扱いを委託した自治体側の対応についても、専門家は「個人情報の管理が企業任せになり、委託先の監督を義務づける法の趣旨が骨抜きにされている」と指摘する・・・

詳しくは原文をお読みください。皆さんの自治体、あなたの部署では、大丈夫ですか。

情報不正持ちだし、対策の不備と組織文化

3月1日の各紙が、西日本電信電話の元社員による個人情報持ち出し事件の調査結果を報道していました。約930万件の個人情報を持ち出し、名簿業者に売っていた事件です。西日本電信電話株式会社の発表(2月29日)

・・・NTT西日本の子会社の元派遣社員が約930万件の個人情報を不正流出させた問題で、NTT西の森林正彰社長は29日、3月末に引責辞任すると表明した。社外の弁護士らを入れた調査委員会の調査では、情報流出の確認を求めた顧客への虚偽回答が判明。グループ全体の企業統治に課題が突きつけられた・・・(朝日新聞「NTT西社長、引責辞任 個人情報928万件流出 調査委「重大な不備」」

もちろん不正に持ち出した社員が悪いのですが、それを防げなかった組織、顧客から指摘を受けて行った調査の杜撰さが明らかになっています。そして、それを生んだ組織文化(社風)も。
調査報告書は、280ページに及ぶ大部なものです。社員に学習させるためにも、要約版をつくってほしいです。要点は次のようなものです。日本を代表する情報通信企業がこのような実態にあることは、唖然とします。

1 個人情報不正持ち出しを防ぐことができなかったことについて(23ページ、26ページ、29ページ)
・サーバーにアクセスするアカウントが共有されていた
・外部記録媒体への書き出しが禁止・制限されているのに、私有USBへの書き出しがされていた
・情報漏洩を監視するためログを定期的に確認することになっていたのに、行われていなかった
・犯罪を行った社員は上長による監視がなく、野放し状態

2 顧客の依頼で行われた社内調査での隠蔽(69ページ以降)
・USBで情報が持ち出されたのに、USBポートが「ない」と回答
・暗号化ソフトは未整備なのに、「整備済み」と回答
・ログを改変し隠蔽した上で、「問題なし」と回答

3 社内調査の評価(58ページ)
・社内調査では、調査担当者たちは不正持ち出しを発見することすらできておらず、問題点の見直しも行わず、不正持ち出しの継続を許していた。(本委員会は、社内調査担当者が隠蔽したのではないかと調査したが)隠蔽より問題がある。
・調査とは似ても似つかない杜撰な作業。事なかれ主義的対応を繰り返し、果てには虚偽回答まで至ったことは唖然とする

4 組織文化
・情報セキュリティ社内規則が守られていない(29ページ)
・自主点検において不正確な報告がなされている(35ページ)
・外部からの不正侵入への意識はあるが、内部不正による情報漏洩リスクへの意識が希薄(45ページ)
・顧客の依頼で行われた社内調査は、上司への状況報告(エスカレーション)が行われていなかった(67ページ)
・自主点検結果には○をつけなければいけないという「無謬性への執着」があった(182ページ)
・自己の責任範囲でなければ積極的に解決にあたらないという「自分事として捉えない行動様式」「前例踏襲」「事なかれ主義」「現場任せ」(182ページ)