カテゴリーアーカイブ:人生の達人

低い在宅勤務の生産性

2020年12月13日   岡本全勝

12月9日の日経新聞経済教室「コロナ危機と生産性」、森川正之・一橋大学教授の「在宅勤務の適切な利用カギ」から。
・・・以下、アフターコロナの生産性向上のために求められることを考察したい。
第1は在宅勤務の適切な利用だ。緊急事態宣言前後から大企業のホワイトカラー労働者を中心に在宅勤務者が急増し、オンライン会議などデジタル技術の活用が進んだ。しかし筆者が経済産業研究所で就労者および企業を対象に実施した調査によれば、在宅勤務の生産性は職場に比べて平均で3~4割低い。在宅勤務の生産性は、業務の性質や労働者の属性による分散が非常に大きく、ごく少数ながら在宅の生産性の方が高い人もいる。だが感染抑止のために半強制的に実施された在宅勤務の生産性は、少なくとも平均的には職場の生産性に遠く及ばない。

デジタル化が進んだとはいえ、対面での緊密な意思疎通の効率性は高いし、雑談から新しいアイデアが生まれることも多い。また職場内訓練(OJT)や組織内の擦り合わせは遠隔では難しい面がある。在宅勤務の生産性には突然始まったことに伴う調整コストも影響しているので、学習効果や自宅の情報通信インフラへの投資を通じて改善するはずだが、職場並みの生産性になることは期待しづらい。実際、コロナ前から在宅勤務をしていた人でも、職場に比べると在宅の生産性は平均で2割ほど低い・・・

・・・職場か在宅かの二者択一ではなく、リアルとオンラインの長所・短所を考慮して業務の性質に応じて使い分ければ、本来はトータルでの生産性にプラスになる。ただし職場の方が効率的な業務の存在を考えると、完全在宅勤務が最適な労働者は例外的で、在宅勤務者でも週2~3日は職場に出勤するといった形での利用が主流になるのではないだろうか・・・

話しかけられて嫌なときほどうれしそうな顔をしろ

2020年12月7日   岡本全勝

12月3日の日経新聞夕刊、私のリーダー論は、野島広司・ノジマ社長の「部下の声にうれしい顔を」でした。

――理想のリーダー像はありますか。
「やはり部下から尊敬されていない人はリーダーとしては不適格だと思います。尊敬されるというと言い過ぎかもしれませんが、上司の悪い点を部下が言いやすい環境をつくらなくてはなりません。部下の意見などを抑え込む人はリーダーとしてよろしくないと思います」
「親子関係もそうです。親に何でも相談できる性格の子と、できない子がいますよね。でも子供が相談できないのは半分以上、親が悪いのだと私は思います。ですから『話しかけられて嫌なときほどうれしそうな顔をしろ』とリーダー候補と思う人には言っています。そうすると部下の姿が見えるようになります」

――でも、忙しいときに話しかけられるといらつきませんか。
「イラッとします。会社でも私が出かけようとするときに限って話しかけてきて了承を求める社員もいます。イラッとして『こんな忙しいときにまた持ってきて』と言葉に出しちゃいます。本人に面と向かって言うのが私のスタイルなんです」
「人を叱るときはオープンな場で叱ります。一対一で叱れ、と言う人もいますが、他の人が聞いている方がいいと思います。言い過ぎたと思ったときには謝ります。この年になって、その加減がようやく少し分かってきました」

上手な断り方

2020年11月29日   岡本全勝

11月24日の日経新聞夕刊「上手な断り方、どう教える? 誠実な姿、モデル示して/必要な場面を話し合おう」が役に立ちます。

・・・「遊ぼうよ」「ヤダー」。小学1年生ぐらいの子ども同士がきっぱり断る場面は珍しくない。ただ、考える力がつき、対人関係も広がると他者の気持ちが分かるようになる。同時に友人関係を重視する年代になるため、低学年までのときのように単純に断るという行動が難しくなる。
生まれ持った気質によって個人差はある。ただ、引っ込み思案だから「上手に断れないのは仕方ないね」とそのままにしておくと、その後の人生で困る場面が増えてしまう。本来なら普段の生活のなかで上手な断り方を学んでいくが、きょうだいが少なかったり、近所の大人との関わりが薄くなったりして、以前より経験を積む機会は減っている。
上手に断れない子は、悪い誘いを避けられないなどトラブルに巻き込まれる可能性もある。大事なのは断ることがダメなことではない、と知ることだ。断らないことで相手に後々余計な迷惑をかけることになるかもしれない。必要があれば断っていいのだ、という大前提を教えよう・・・

・・・上手な断り方の基本として、(1)相手に共感する(2)理由や状況を説明する(3)きちんと言葉にして断る(4)謝る(5)代案を示す――の5つのポイントも押さえておきたい。
親の例で考えてみよう。急きょ用事ができた親から、PTAの会議に代わりに出てくれないかと頼まれたとき。相手に「それはお困りですね」と共感する。次に「私も代わりたいがその日は仕事がある」と状況を説明する。「代わりに行けない」としっかり断り、「お役に立てず、すみません」と謝る。最後に「○○さんはどうでしょうか」と代案を示す・・・
全文をお読みください。

復興政策を社会の中に位置づける、その2

2020年11月27日   岡本全勝

復興政策を社会の中に位置づける」の続きです。

復興作業を、どのように位置づけるか。これは、事前に決まっているわけではなく、実行することで見えてきました。大震災は、これまでにない被害と行政です。従来にない手法を採用することで、行政の歴史の中で新しい位置を占めることができるのではないかと、考えるようになりました。

結果としては、次のようなことができたと考えています。
・「国土の復旧から暮らしの再建へ」。私は、これが一番の成果と考えています。インフラ復旧だけでは、人の暮らしや町のにぎわいはもどらないこと。産業と生業の再建、コミュニティの再建が必要なこと。政府はそれに取り組むべきこと。
・そのためには、行政だけでは実現できず、事業者やNPO、町内会の役割も重要なこと。それらの人と協働すること。
・資金だけでは事業やコミュニティの再建はできず、人とノウハウの支援が重要なこと ・復興庁という窓口で一元的に対応し、各項目は各省やNPOなどの専門組織に委ねることが効果的なこと
など、 行政運営や地域経営に、新しい知見をつくることができたと思います。参考「復興がつくった新しい行政ーまちのにぎわいの3要素

その時々の出来事や仕事を、いくつも羅列される事件の一つではなく、社会と歴史の中で意義あることとし、位置を占めるようにしたい。それを、関係者も自覚し、報道機関や国民にも理解して欲しいと考えていました。

この復興政策の成果と変化が、今後の行政の中で位置を占めることができるかどうか。いくつかの施策は、災害復旧の「標準装備」になりました。避難所の生活環境改善、グループ補助金など。ただし、一般的な災害に関しての復興政策を所管する「復興庁」はできていません。

それとともに、未曾有のことが起きたときに、迅速かつ的確に組織をつくり対応すること、新しい事態に柔軟に対応していくことです。これは、災害復旧政策ではなく、行政運営の仕方です。
最近では、未曾有の出来事として新型コロナウィルス感染拡大があります。その対応の際に、大震災対応の経験と教訓が活かされたかどうかです。

モンテプルチアーノ

2020年11月26日   岡本全勝

11月22日の日経新聞文化欄、 坂井修一さんの「うたごころは科学する ワインの力」は、次のような書き出しで始まります。
・・・私は今、一杯の赤ワインを呑みながら、ノートPCでこの原稿を書いている。葡萄はモンテプルチアーノ。イタリアの大衆ワインだ・・・

小説「モンテ・クリスト伯」で脱獄した主人公が、モンテ・クリストという島にたどり着いて飲んだ酒が、モンテプルチアーノなのです。このワインを飲む度に、モンテ・クリスト伯が獄中で抱いた絶望と希望など主人公の心が、坂井さんの心の中でよみがえってくるのだそうです。

私は小説のことは知りませんでしたが、モンテプルチアーノを気に入っています。かつてイタリアのシエナを訪れた際に、食事に出てきたのがこれでした。街中のレストラン、天気も良く、仲間とも話が弾み、とてもおいしかったのです。
日本の酒屋さんでも置いてあります。値段はいろいろありますが、安いので、時々、日本酒から浮気して飲みます。おいしいのですが、あの日の味は再現できません。モンタルチーノは、よく似た名前のイタリアワインですが、こちらの方は高いようです。