昨日、「お詫びの仕方・形も大切」を書きました。しかし、本当に大切なのは、もちろんその中身です。
基本は簡単です。「嘘はつかない、よけいな言い訳はしない」です。人間だれだって、穏便に済ませたいです。でも、世の中は、そんなに甘くはありません。後でばれたときのことを考えれば、分かった時点ですべてを公表し、素直にお詫びすべきです。天網恢々疎にして漏らさず。隠すと必ずばれます。また、「いつばれるか」とびくびくして暮らすのは、健康によくありません。
私が、県庁の不祥事を知ったときに考えたのは、次のようなことです。その問題を上司として知らなかったことは、私の責任である。しかし、これはいわば受動的な責任である(この極端な例が、前任者の時代の問題が後任者の時に発覚した場合です)。管理職になったら、このようなことも覚悟しなければなりません。業界では「地雷を踏む」と言います。
それに比べ、その後始末をし、再発防止をすることは、私の責任であり、これは能動的責任です。前者は「すみません、監督不行届でした」と言えますが、後者はそんな言い訳は通じないのです(この点については「富山県庁の挑戦-私の行政改革論」(1998年、富山県職員研修所)に書きました)。
さて、お詫び記者会見に戻りましょう。あなたがカメラの前でお詫びするとき、その映像を市民が見て、納得するかどうかです。もし、あなたが、企業の幹部がお詫びしている映像を見て、「あれじゃ納得できない」と思うなら、あなたが頭を下げるときに同じことをしては、市民は納得できないのです。事故を起こし、被害を与えていながら、「ご迷惑をおかけし」とか「世間をお騒がせし・・」はないですよね。日本語として間違っていると思いませんか。被害と迷惑とは違います。
有名企業の幹部のお詫びが下手なのは、一つには経験がないこと、もう一つには取り巻きがイエスマンになって十分な助言ができないからでしょう。エリート街道を歩いてきた人は、そのような経験がないのです。民間企業も同じとのことですが、事前に記者会見用の想定問答をつくります。その時に、部下に任せては、彼らは答えやすい問を並べるのです。そして、当たり障りのない答弁を書くのです。でも、そんな想定問答は、役に立ちません(ここで、ふだん部下にどれだけ自由に発言させているか、上司のことを思っていてくれるかが、分かります。その点、私は厳しいことを言ってくれる部下を持って幸せでした。「部長。そんな説明では、記者達は納得しませんで」と)。
自分が市民だったら、またその代表であるマスコミの記者だったら、「何を聞くか」を考え、それに対し「どう答えれば、納得してもらえるか」を考えればいいのです。それは、自分で考えるしかありません。私は、よく風呂の中で模擬試験・シミュレーションをしていました。もっとも、どう答えても簡単には許してもらえそうにないので、模擬試験の最後の解答は、しばしば「開き直って、お詫びする」でした。
記者会見の質問には、逃げずに最後まで答えること、分かっていることはその通り答え、分からないことは分からないと言うこと。これしかないのです。
恥をさらすようですが、後輩達に少しは役に立つかと思って、書いてみました。笑わないでください。この項、続く。
投稿者アーカイブ:岡本全勝
新しい仕事55
昨日、国家公務員の中途採用枠について書いたら、何人かの人から問い合わせがありました。「詳しく知りたいのですが」とか「私の知人も受けたいと言ってます」と。再チャレンジ室にも、たくさん電話があったそうです。私も昨日の記事を書くときに、インターネットで人事院のページなどを探したのですが、見つからなかったので、今日確認しました。まだ、広報はしていないとのことです。早く、HPに乗せて欲しいですね。
お詫びの仕方・形も大切
有名企業での事故や不始末が相次ぎ、幹部がお詫びする映像や写真がニュースで流れています。あれを見るたびに、「みんな下手だなあ」と思います。
私は、富山県総務部長の時に、何度もお詫びをする機会がありました。ある年は、1年に4回記者会見しました。「日本の記録保持者だ」「お詫びのプロだ」と変な自慢をしていました。
記者会見場で、テレビカメラが回り、フラッシュがたかれ、頭を下げている間中、前から横から写真を撮られるのです。翌日はその写真が、地元紙に大きく載ります。ふだん仲良くつき合っている記者からも、厳しい質問が突き付けられ、長時間受け答えするのです。緊張する場面でした。こんな経験は、ない方が良いのでしょうが、勉強になりました。
富山では大ニュースなので、夕方6時の地方ニュースの間、ずーっと私のお詫びがテレビに流れるのです。当時私は、お茶とお花を習っていました。謝罪記者会見を見たお師匠さんから、「私はあんな頭の下げ方を教えていません」と、おしかりを受けました。しかられたのは頭の下げる角度ではなく、手の置き方です。テーブルに手をついたままだったり、資料を持ったままだったのです。お茶やお花の時は袴が正式ですが、スーツの場合は、両手の指をズボンの前の折り目に沿わせるか、横の縫い目に沿わせるのが作法です。「ああそうだった」と思いだし、次の回は早速これを実行したのです(すぐ実行する機会があったのが悲しいです)が、今度もおしかりの電話。「指先が開いていました。ちゃんとそろえて伸ばすのです」。とほほ。
お詫びの内容も重要ですが、形も大切ですよね。私も心して、濃紺のスーツ、白いシャツ、暗い色のネクタイで臨んだのですが。作法が身に付いていませんでした。
記者会見の最初に、簡単に「主文」を読み上げ、直ちに起立して頭を下げたことは、後で記者さん達にほめてもらいました。また、カメラが光っている間、ずーっと頭を下げていたこともほめてもらいました。
ほとぼりが冷めたころ、知人に誘われ初めて入った居酒屋で、女将から「私、あなたを知ってます」と言われました。「僕は、この店初めてです」と言ったのですが、いすを引くとき前かがみになったら(頭を下げる格好になったら)、「ほら、よくテレビに出てて、名字は陳謝とかいう人でしょ」と。場は盛り上がりましたが、ちっともおいしくなかったです。
10年ほど前の話です。続きは、次回に。
新しい仕事54
31日の読売新聞夕刊の「今週のZOOM UP」は「再チャレンジ」で、「39歳フリーター・・・公務員になれるかも」を紹介していました。これまで17~21歳未満が受験資格だった国家公務員3種試験に、29~39歳の中途採用枠を新設することです。若者向きの、なかなか楽しい記事でした。記者さんは、上手に書きますねえ。官庁だと、こんな風には紹介できません。