投稿者アーカイブ:岡本全勝

2007.04.07

2007年4月7日   岡本全勝
林宏昭先生と橋本恭之先生の「入門地方財政」第2版(中央経済社、2007年3月)が、出版されました。地方財政のわかりやすい教科書です。さらに、財政理論や地方財政の仕組みだけでなく、三位一体改革、道州制、民間活力の利用など、最新の状況も紹介されています。コンパクトでバランスの取れた、最も優れた教科書の一つでしょう。お勧めします。(2007年3月2日)
(地方財政学の理論書)
中井英雄近畿大学教授が、「地方財政学-公民連携の限界責任」(2007年3月、有斐閣)を出版されました。これまでの地方財政の教科書と違い、財政学でなく、地方財政学固有のテーマを取り上げておられます。
すなわち、足による投票、全国平均の行政水準保障と地域ごとの受益と負担、地方政府組織の選択、福祉給付の引き下げ競争、財政調整などです。それらが、制度解説でなく、経済学の理論、数式と図表で解説されます。その意味で「地方財政解説」や「財政学の地方適用」でなく、本当の地方財政学となっています。
さらに、コミュニティ・NPOなどを「私的プロバイダー」と位置づけ、国・地方団体だけでない地域のサービス提供主体を含めた、地方財政学となっています。副題の「公民連携の限界責任」がそれを示しています。そして、その観点から、イギリス・ドイツ・日本が、類型化されています。すると、地方財政は、世界各地で標準化されるモデルでなく、各地域の社会構造に規定されたものになります。
私は、この点に、とても納得します。経済学・財政学は、ものごとをモデル化・純化し、世界中で適用されると主張します。お金やモノの取引は、そうなのでしょう。しかし、私たちの暮らしを見たら、決してそうではありませんよね。
これまでの教科書を超えた、意欲的な本です。数式の部分はとっつきにくいかもしれませんが。冒頭に、リーディング・ガイドがついていて、全体像が分かるようになっています。ご関心ある方に、お勧めします。

熟年に残された使い切れない時間

2007年4月6日   岡本全勝

5日の読売新聞「団塊退職の衝撃」は、「7万時間どう使う」でした。定年退職から80歳までに、一日のうち家事睡眠に使う14時間を除いた、自由時間の合計です。小学校から大学までに受けた授業時間の、3倍とのことです。
実は、私はこのような「人生時間」に、びっくりしたことがあります。39歳でフルートを始めました。まさに、40の手習いです。みんなから「今から始めてどうするんだ」と笑われました。でも、60歳まで続けると、20年になります。小学校でピアノを始めた子どもが、大学卒業まで続けても、6+3+3+4=16年です。もちろん上達度合いからすると、柔軟な子どもの時と、指も頭も固くなった中年とは違います。でも、「使用時間」「消費時間」からすると、同じ1年です。
あることに毎日1時間を使うとして、1年で365時間。10年で3,650時間です。1日8時間に換算すると、456日分になります。学校だと2年分ですね。それを有効に使うか、浪費するかの違いです。もちろん、ゆったりと時間を過ごすことも貴重ですが。もっとも私のフルートは、その後、冬眠に近いです。

分権改革推進委員会

2007年4月5日   岡本全勝

5日の読売新聞は、丹羽宇一郎分権委員会委員長のインタビューを載せていました。
・・・3年間と時間が限られているが、5月末までに分権改革の基本方針を決める。柱は、「骨太の方針」に入るだろう。
分権とは、住民がゆとりと豊かさを実感できるような地域づくりや、安心して暮らせる社会を、実現するためではなかったか。なぜこれまで、うまくいかなかったかにメスを入れ、実行力ある分権改革を目玉にする。時の利、人の利、地の利がそろった。少子高齢化や経済のグローバル化が進み、戦後の仕組みが制度疲労を起こしている今を逃したら、新しい国のかたちを議論する機会を失う。地方分権は、自己決定、自己責任、自己負担が原則だと思う。首相の指導力は、極めて重要だ。ただ、官僚が動かなければ、改革はできない・・

再チャレンジ支援の概説

2007年4月5日   岡本全勝
「時評」4月号に、拙稿「再チャレンジ可能な社会へ」が載りました。今進めている再チャレンジ支援施策を、簡単に(6ページで)説明してあります。
あるところでの講演録に、手を入れました。それで、ところどころ、変な言い回しが残っています。これでも、かなり手を入れたのですがね。しゃべっているときは、分かってもらっていると思っているのですが、そのまま活字にすると、読むに耐えませんね。

慶応大学での講義

2007年4月5日   岡本全勝

2007年4月から、慶応大学法学部で非常勤講師を勤めています。
2007年度春学期は行政学特論Ⅰ「行政管理論」秋学期は、行政学特論Ⅱ「地方自治論」です。2008年度春学期も、行政学特論Ⅰ「行政管理論」です。
2010年秋学期も出講することになりました。

2017年、2018年はこちら

2007年春学期
行政学特論Ⅰ「行政管理論」土曜日第2時限(10:45~12:15)

授業科目の内容
日本の統治において、執政(executive)を担うのは内閣(政治家)であり、執行(administration)を担うのは各府省(公務員等)です。地方にあっては、前者は首長で、後者は市役所などです。つい最近まで、日本の公務員は世界一優秀であると評価されていました。それが近年、大きな批判にさらされています。その一つは官僚の失敗と呼ばれるものであり、もう一つは官僚主導への批判です。なぜこのように、評価が急激に変化したのでしょうか。ここに、行政と官僚だけでなく、それを包含した日本の政治や社会の転換が表れているのです。
この講義では、従来型の行政管理論にとどまらず、転換を求められている日本の官僚制と行政について、同時代的視点から分析します。(以上、シラバスから)
このように、これまで東大大学院や一橋大学大学院で講義した「日本の行政の成功と失敗」を基本に、改めて、現在日本の行政の問題と官僚の役割を考えてみます。日々報道されるように、日本の行政には、次々と問題が生じています。また、私は昨年から、内閣府(経済財政諮問会議の事務局)と内閣官房(再チャレンジ支援)に勤務しています。その経験から、最近の動きも含めて、同時代的問題を具体的に、お話ししたいと考えています。

授業予定
4月14日 講義の狙いの説明。はじめに(行政管理論、私の視角)
4月21日 (私の視角)続き。第1章日本行政の成功と失敗(1私たちの成功)
4月28日 (休講)
5月12日 第1章(2私たちの失敗)。宿題提出日。
5月19日 宿題講評。第1章(3政治と行政の評価)。第2章行政機構と官僚制(1官僚制とは、二つの批判)
5月26日 (休講)
6月 2日 (早慶戦で休講)
6月 9日 第2章(3日本の行政機構)
6月16日 第2章(2官僚の失敗への批判、4官僚制の限界、5責任の所在と対応策)
6月23日 第3章行政改革(1行政改革の分類、2行政改革の進化)。レポートの課題発表
6月30日 第3章(3行政構造改革)。第4章政治の役割と行政の役割(1政治と行政)
7月 7日 第4章(2政と官、3与党と内閣)
7月14日 第4章(4政治の役割)、第5章転換の方向終わりに

配付資料
レジュメ p1~4(4月14日)、p5~7(4月21日)、p8~11(5月12日)、p13,14(6月23日)、p16、17(6月30日)、総目次(7月14日)
資料 1-1、1-2(4月14日)、1-3~1-6(4月21日)、1-7(5月12日)、1-8、2-1~2-5(5月19日)、2-6~2-10(6月9日)、3-1~3-8(6月23日)、4-1、4-2(6月30日)、拙稿「再チャレンジ支援施策に見る行政の変化」(7月14日)
パンフレット 「ここまで進んだ小泉改革」(4月21日)、日経新聞小冊子、朝日新聞小冊子2種類(5月12日)、人事院案内、内閣府案内、総務省案内、国家公務員受験案内(5月19日)

成績評価
平常点(出席状況)とレポートにより、評価します。

参考
同時期に、平井文三講師(総務省)が、「現代日本行政論」を講義される予定です。そこでは、日本の行政の仕組みや制度について、理論的に解説がなされると聞いています。また、秋学期は、行政改革を取り上げるとのことです。それに対し、私の講義では、現在の日本の行政、特に官僚を中心に、成果と問題点を明らかにします。その際には、日本の政治、社会、経済といった、広い視点から分析します。

参考書
拙著「新地方自治入門-行政の現在と未来」(2003年、時事通信社)は、東大大学院での講義録を加筆したものです。この本は、地方行政から日本の行政を分析したものですが、今回の講義内容と視点は同じです。
また、このホームページにこれまで書いた、さらに書き続けている「日本の行政」、特に「政治の役割」「政と官行政機構」「官僚論」(それぞれ増殖中)が、参考になります。