投稿者アーカイブ:岡本全勝

変転経済

2007年6月2日   岡本全勝
2日の朝日新聞「証言でたどる同時代史」は、「賃上げ春闘の終焉」でした。高度成長期以来、「みんなで一緒に豊かになろう」と、春闘方式で給料を上げてきました。それは、労働組合が横並びで交渉し、賃金表を引き上げる(全員の給料が上がる)というものでした。ベースアップ=ベアです。それが、2002年に終わりました。
企業の業績が悪化したこと、企業間のばらつきが大きくなったこと、右肩上がりでなくなり、また業績評価の導入によって全員の賃金を引き上げることが難しくなったことが、背景にあります。
このような労組もまた、右肩上がりの時代の産物だったのでしょう。みんなで一緒に給料を上げようというのは、右肩上がりの時代でないとできません。給料のパイが大きくならないとき、そして年功序列・平等取り扱いが崩れ業績評価が大きくなると、そのようなことは続けることはできません。正規職員と非正規職員との間に大きな差がつくときに、正規職員を組織した労組は既得権擁護となります。パートや派遣が3分の1を占め、その人たちが労組に入っていません。労組の組織率が、20%を下回りました。しかも日本の労組は、産業別でなく企業別です。

2007.06.02

2007年6月2日   岡本全勝

ある地方公務員の隠れ家」 というブログが、このHPを紹介してくれました。匿名のHPには「関わらない」ことにしていますが、今回は作成者が実名で連絡してこられたので、ここに紹介します。

眼の誕生

2007年6月2日   岡本全勝

眼の誕生―カンブリア紀大進化の謎を解く」アンドリュー・パーカー著(草思社、2006年)が、面白かったです。
35億年の生物の歴史で、5億4300万年前・カンブリア紀に、なぜ生物が爆発的に進化したのか。NHKテレビでも紹介された、あのバージェス頁岩の奇妙な動物たちです。この本は、その理由を「眼の誕生」、すなわち光を感覚としたことにあるとしています。それまでは、近づいてくる食物を食べていたのが、目を手に入れることで、目標を見分けることができるようになったのです。すると、食われる方も身を守る必要ができ、まさに食うか食われるかの闘いが始まりました。攻撃と防御の「軍拡競争」が始まったのです。軍拡競争から逃れ、身を隠す生物も出ました。
学会でどこまで賛成を得られているのか知りませんが、なるほどねえと、納得しました。このような本は、寝る前に布団の中で読むのですが、楽しく読めます。それに比べ、本業の本・副業の本は、なかなか進みません。

公務員制度

2007年6月1日   岡本全勝
日経新聞「やさしい経済学」は、清家篤先生が「人的資本」を連載しておられます。
・・企業特殊的な生産能力の向上と、それに対応した長期雇用は、「人的資本」の主要概念だった。この特殊性は、最近の公務員制度改革を考える際にも重要な意味を持つ。というのは、もともと民間ではできない仕事を公務員が行っているとすれば、その仕事能力は公務部門でのみ役に立つ特殊な種類のものと考えられるからである。
典型的な例として、国の予算作成といった仕事をするための能力は、民間ではあまり使えそうにない。そうした高度に公務特殊的な能力を高めるための費用は、国、すなわち国民が負担しなければならない・・
公務員が民間ではできない特殊性のある仕事能力を磨いてきたとすれば、彼らが民間に転職することは容易ではない・・そうした公務員には、最後まで公務員として仕事をしてもらわなければならない。
もちろん公務員の中にも、民間企業で役立ちそうな能力によって仕事をしている人もいる。たとえば経済分析といったような仕事をする能力は民間企業でも使えそうだ。そうした仕事に従事する公務員なら、比較的容易に民間に再就職できるかもしれない。しかし、よく考えてみれば、民間でもできる仕事なら、それをわざわざ公務員にやってもらう必要はなく、外注すれば良いともいえる・・
こう考えると、公務員制度改革の柱が、民間企業への再就職支援制度というのは、やはり変である。むしろ改革の中心は、職業生活の最後まで、安心して公務員として仕事をしてもらえる制度(適切な年金制度も含む)をつくることであるべきだ・・・

非官僚政権

2007年5月31日   岡本全勝
30日の朝日新聞変転経済は、「小泉構造改革」「非官僚でやるしかない。始まりは00年の裏官邸だった」です。
・・バブル崩壊後、改革を一向に進められない政府・与党に国民は失望していた。そこに登場したのが「自民党をぶっ壊す」と宣言する小泉純一郎だった。変人宰相に期待する学者や経済人らが政権に集まった。官主導経済を壊そうとする、初の本格的な「非官僚政権」の試みは、しかし未完に終わる・・
牛尾治朗さんの発言から。
・・郵政民営化こそ彼(小泉総理)の政治信条。総理になるのは単なる手段だった・・05年に郵政民営化が決まり、そこで「おれの出番は終わった」という気持ちになったと思う。
小泉後の政権は、グライダーのように勢いで飛んできたが、第2のエンジンが出ていない。リーダーにとっては難しい時代だ。小泉改革は不良債権処理や郵政などの国内問題ですんだ。いま立ちはだかるサブプライム危機、原油などの資源高騰、食糧不足などのグローバルな問題は、国内の民営化だけでは乗り越えられない・・