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本業

今日は、新旧大臣の引き継ぎ、さらには職員を前にして交代式がありました。麻生前大臣からは、「名実ともに霞ヶ関のナンバーワン官庁になった」というお言葉を、竹中新大臣からは「改革を進めよう」とのお言葉がありました。新聞にもあるように、総務省は重要な改革課題を担う省、そしてそれを担当する主要閣僚を戴く省になりました。記事に取り上げられるほど、それだけ責任が大きくなります。そして、今取り組んでいる課題は、これまでと違い、霞ヶ関を敵に回す改革です。大臣のリーダーシップと、それを支える事務方とが、一丸となって取り組まないと進みません。逆に言うと、それがうまくかみ合えば、改革は進むでしょう。

三位一体改革61

17日は、先に官房長官が各省に、補助金改革案の数字を提出することを求めた期限です。一部の新聞では、ゼロ回答の省もあると報道されています。まあ、去年のことを思い出せば、そんなところですかね。官僚は改革ができないだけでなく、抵抗勢力ですわ。
地方案の実現度」の表をご覧下さい。今年の欄には、どんな数字が入るのでしょうか。各省の回答が何であれ、去年は2.4兆円が決まりました。今年も、総理・官房長官・総務大臣が、「残る6千億円は達成する」と明言しておられます。(10月17日)
今朝の各紙によると、各省からの回答は、各紙の予想通りゼロ回答だったそうです。「地方案の実現度」の各省回答欄に、0を書き込みました。(10月18日)
19日の読売新聞は、「三位一体改革、月末に基本方針。中教審、官邸と対立。補助金削減、施設整備費が焦点」を大きく解説していました。
もっとも、「文教族は妥協やむなし」として、「文科省内でも、国庫負担割合を2分の1から3分の1に下げたり、負担金の使途を広げたりする交付金を創設したりする案が取りざたされている」とありました。
うーん、文科省もこれを書いた記者さんも、全然わかっていませんね。あるいは、地方団体や三位一体改革をバカにしているのですかね。地方団体が一番嫌がっているのが補助率引き下げ、次が交付金化です。これでは、税源移譲にならないのですから。
なお、別表で各省の対応案が出ていました。いくつかの省で「補助金削減」の数字が出ています。昨日、私は、「各省0回答」と書きました。明日、職場で確認します。もっとも、この記事でも、6000億円の目標に対して、52億円ですがね。
囲みの中で、塩谷裕一記者が「官から政も必要」を書いていました。「小泉構造改革の2大フレーズは『官から民へ』と『国から地方へ』。前者の具体策が郵政民営化、後者が三位一体改革だ。ただ、抜け落ちている視点がある。それは『官から政へ』だ。道路公団民営化など一連の改革では、首相らが重要な政策判断を官僚に丸投げするケースも目立った。三位一体改革や公務員の総人件費削減、政府系金融機関の統合などは、官僚の既得権益に切り込む改革ばかりだ。骨抜きに終わらせないためには、政治家自身の決断が必要だ。小泉改革の真価が問われるのはこれからだ」
「官から政へ」とは、良いフレーズですね。使わせてもらいます。(10月19日)
20日に、三位一体改革の4大臣会合と、各大臣を呼び込んだ協議が行われました。東京新聞は、「省庁は譲歩姿勢見せず。ゼロ回答、手放さぬ力の源泉」として、詳しく解説していました。
朝日新聞は、社説で「国と地方、首相の力量が試される」を書いていました。「首相は『官から民へ』と唱えて、郵政民営化法を成立させた。こんどは『国から地方へ』の第一歩として、この改革を有意義な内容に仕上げる番だ。 」「3兆円の税源移譲ができれば、首相は改革は成功だと胸を張るかもしれない。しかし、単なる数字合わせでなく、自治体に権限と税源を渡すことが重要だ。来年度以降も分権改革を進める道筋をつけることも、首相の仕事である。」
各省の回答で「削減」とあったのは、縮小(スリム化)であって地方への税源移譲に結びつくのではないそうです。よって、各省回答は、やはり「0」です。(10月21日)
22日の毎日新聞社説は「三位一体改革、ゼロ回答とはどういうことか」でした。
「地方財政の三位一体改革で中核をなす補助金削減で、06年度政府予算編成に向けた関係省の対応はゼロ回答だった。地方6団体が約1兆円の削減要求を策定し、小泉純一郎首相も地方の意見を尊重することを求めていたことに対しての返答である。・・それがゼロ回答では問題にならない。補助金改革では文部科学省が義務教育国庫負担金の地方移譲に執ように反対している。これと併せて、この後ろ向きの姿勢は何なのか。」
「では、政府はいま、何をやるべきなのか。第一は、補助金削減、税源移譲をやり切ることである。これがすべての出発点なのだ。・・小泉首相が昨年来、地方団体に改革案の提示を求めてきた。そのことを考慮すれば、今回の関係省のゼロ回答は、地方支配を維持しようという露骨な行動と言わざるを得ない。」
「第二は、補助率の引き下げや交付金化などで、数字の上で3兆円を確保する姑息(こそく)な手は許されない。」「第三には、施設費も聖域ではない。」
また、24日の毎日新聞「闘論」では、「義務教育費移譲の是非」を巡って石井岡山県知事と梶田兵庫教育大学長が、紙上討論をしておられました。(10月24日)
各紙が伝えているように、25日は官邸で、政府与党の協議会が開かれ、26日には国と地方の協議の場が開かれました。皆さん、これが当たり前のように思っておられますし、「協議をしても進まない」との批判もあります。
しかし、分権について、しかも各論について、官邸で各大臣が出席し、与党幹部を巻き込み、地方団体代表が出席して議論するということは、数年前には考えられませんでした。せいぜい、陳情に行くか、全国知事会議が儀式的に開かれるだけでした。それが、地方団体代表が首相官邸で対等の立場で議論するのですから、隔世の感があります。他のテーマで、これだけ官邸で議論している会議はないでしょう。
もちろん、そう簡単には、地方団体の希望通りには進みませんが、このような場を積み重ねていくことが重要だと思います。また、たとえ中教審で主張が通らなくても、出席して議論する。そして、中教審がどんなものであるかを国民に見せる。そういったことも、効果があると思います。内政の責任者になる、そう国民から認知されるには、努力と積み重ねが必要です。(10月26日)
30日の朝日新聞は、義務教育費国庫負担金について「中教審の100時間振り返る」を解説していました。また、読売新聞社説は「中教審答申に重なる地方の声」を書いていました。(10月31日)
1日の日経新聞は「三位一体改革-私の意見」(上)で、北城経済同友会代表幹事の「国との決別を」を載せていました。2日の日本経済新聞「三位一体改革-私の意見」(中)は、増田寛也岩手県知事の「地方の創意後押し、補助金は削減、内閣の優先課題」、3日(下)は、沼尾波子日大助教授の「住民の利点、説明を」「長期的視点で交付税考えよ」でした。

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31日には、内閣改造が行われ、総務省は竹中平蔵大臣をお迎えしました。大臣がお代わりなると、総務課長もいろいろと仕事があります。組閣が始まると、官邸で待機します。そして、新大臣が決まると、ご挨拶します。大臣はすぐに、官邸で記者会見に臨まれます。これは、テレビで放映されるので、皆さんご存じの通りです。その後、大臣は宮中で国務大臣の認証式に行かれますが、竹中大臣は横滑りなのでこれはありませんでした。その後、官邸で初閣議、全大臣がそろって記念撮影、そして総務省に初登庁です。その合間を縫って、私は今後の日程などを打ち合わせします。所管事項・事務も、取り急ぎ簡単にご説明します。明日は、新旧大臣引き継ぎなどの日程が入っています。

自治と分権の実践

沖縄自治体職員ネットワーク(いちゃりば)の仲間が、がんばっています。夏にお世話になった幸地さんが、ホームページに「地域づくりで三方一両得」を書いています。南風原町では、わかりやすい予算書の試みとして、「ハイさいよーさん~見るだけで、すべてがわかる町の予算~」を作りました。沖縄自治研究会は、「沖縄自治州あたなはどう考える?-沖縄自治州基本法試案-」というブックレットを出版しました。「紹介せよ」との指示(依頼)を受けましたので、このHPで紹介します。ご関心ある方は、ご覧下さい。

審議会政治の終焉

25日の朝日新聞では、「首相の下、強まる官邸主導」「省庁の審議会、埋没」を解説していました。委員がわいろをもらっていた中央社会保健医療協議会の「地位低下」は論外ですが、政治主導の政治になるなら、審議会はお役後免になるはずです。
ある分野の政策を決めることや、利害対立する政策を調整することは、本来、政治家の仕事です。それを官僚が行い(政治家が逃げ)、官僚が決めるのでは国民が納得しないので審議会の形を借りる(実質は官僚が原案を書く)、というのが審議会です。
審議会にはもう一つ、法律を施行する際に専門家が事実認定をする「審査会」というグループがあります。航空・鉄道事故調査委員会とか、恩給審査会とかです。不服審査や行政処分に関与するものです。これは審議会と名が付いていますが、審議会とは別物で、「良い審議会」です。問題となるのが、政策を審議する審議会で、これが「悪い審議会」です(詳しくは拙稿「中央省庁改革における審議会の整理」月刊『自治研究』2001年2月号、7月号をご覧下さい)。
大臣が政策を決定する際に、専門家の意見を聞くことは悪いことではありません。審議会という「権威」を借りて、責任をそこに預けてしまうことがいけないのです。専門家の意見を聞くなら、個別に聞くか、勉強会を作ればいいのです。先日、住民基本台帳の閲覧制限を議論した専門家の集まりは、審議会ではありません。専門家の意見を聞いて、政治家が決定するのです。