岡本全勝 のすべての投稿

今年は読売新聞

このHPでは、毎年この時期に、勉強不足あるいは説明不足の記事を批判しています。今年は忘れていたのですが、ある人から指摘を受けました。以下に、その要旨を転記します。
「今年は、読売新聞でした。23日朝刊に、しかも大きく見出しで『警官3000人増員3億4500万』と出ています。一人あたり11万円です。お手軽警察官ですね。いろんな事情もあるのかなと思って本文を読むと、『全国の警察官を3000人増員する予算として、3億4500万円が復活折衝で認められた』と詳しく書いてあります」
この記事を書いた記者さん、それを載せたデスクは、どう思っていたのでしょうか。これが事実としても、それなら解説が必要ですよね。

新しい仕事32

再チャレンジ寄付金優遇税制を、創設することになりました。再チャレンジ支援の事業を実施する民間企業に対する寄附(直接型)と、再チャレンジ支援の事業を実施する民間企業等に対して、助成を行う公益法人に対する寄付(間接型)の2種類です。このうち、公益法人への寄付についての優遇税制の仕組みは今でもありますが、直接型は初めてです。
「日本には寄付文化がないので、そんな寄付をする人がいるのかね」という指摘もあります。その通りだと思いますが、この税制はそれを変えるために=日本に寄付文化を広めるための口火になることを願っています。
初めてのことなので、ここにこぎ着けるまでには、多くの人の協力を得ました。ありがとうございました。まだ、政府での方針と与党の了解を得た段階で、これから法律改正が必要です。西脇君、ご苦労さん。(12月22日)
このHPで、22日に再チャレンジ寄付金優遇税制を書きました。早速、指摘を受けました。もっと他にも、苦労している職員がいる。その人達にも、感謝せよと。すみません。内閣官房構造改革特区推進室・地域再生推進室の小林補佐、飯島君、白垣君、ありがとう。これでいいかな、井上君。

2006.12.23

23日の朝日新聞では、坪井ゆづる論説委員が「分権改革へ再出発」を大きく解説しておられました。分権推進委員の顔ぶれが、注目されること。諸井委員会は第一次分権を進めたが、西室会議は分権より財政再建を重視し混乱したこと。道州制特区では、権限移譲がほとんどなかったことなどを紹介し、次のように書いています。
「分権改革は霞ヶ関全体の猛反発にあってきた。旧法での推進委員会は、橋本政権時代、首相から『実行可能な勧告』を求められ、税源移譲を封印された。そこには政治家が官僚機構と戦う姿勢がなかった。この構図を変えたのが小泉首相だ。三位一体改革で3兆円の税源移譲が実現したのは、首相が経済財政諮問会議の結論を閣議決定したからだ。政治の力業が官僚を押さえ込めることを示した」
「いま首相に求められるのは、分権によって自治体を強化した先に道州制への展望が開けてくる、という大きな構図を描くことだ」

新しい仕事31

22日の日経新聞は「進化する北欧モデル」として、高福祉・高負担のスウェーデンが、一方で規制改革で競争を促していることを紹介していました。企業が解雇しやすい代わりに採用もしやすく、転職が自由だとのことです。会社に職業訓練を義務づけ、職業紹介を民間に開放したりしています。

政治主導・党との関係

このHPでも何度か取り上げていますが、政治主導には、政治家が官僚に代わって主導することと、内閣が党の政治家を主導することの、2つの局面があります。前者がよく言われますが、後者もまた重要なことです。
後者については、政治家がめいめい勝手に官庁(行政)に口を挟むのではないことと、党が内閣とは別に方針を立てることを止めることの、2つがあります。政治家がめいめい口を挟むのは「政治家主導」、内閣とは別に党が方針を立てることは「二元政治」です。
最近は、この面でも変化が生じています。昨日書いた、与党の事前承認を廃止しようとする動き、総務会の決定を全員一致でなく多数決にすること、与党調査会の力を削ぐことなどは、これに当たります。
このほか、予算編成や税制改正での、族議員の低下や調査会の力の低下が伝えられています。
15日の日経新聞夕刊は、「永田町インサイド」で「予算編成、官邸が主導」「熱き折衝、今は昔。族議員、活躍の場減る」を大きく書いていました。「永田町・霞ヶ関で年末の最大イベントといえば、予算案の編成だ。かつては予算獲得に奔走する自民党族議員と、応援する関係省庁・団体、地元の支持組織などが入り乱れ、異様な熱気をはらんだ。しかし、そうした光景も今や昔。復活折衝などの儀式は残るものの、官邸主導で淡々と調整が進むパターンが定着しつつある」。
11月30日の東京新聞は、「自民税調、様変わり」「出席者まばら。強力官邸、部会ひっそり」を書いていました。
また、12月17日の日経新聞は、「税調会長自ら税調批判」を書いていました。「自民党の柳沢伯夫税制調査会長は16日、党本部で開いた新人議員勉強会で、自民党税調が主導権を握る税制改正のあり方に疑問を投げかけた」
「柳沢氏は『英国の税制改正は財務相の専権事項だ。日本では財務相が税制改正にかかわっていないことは、皆が知っている。めちゃくちゃな国だ』と強調。『(政府との関係を)直さなければいけない。税調幹部は怒るかもしれないが、私の方が絶対に正論だ』と持論を展開した」。
その通りだと思います。これまで、予算編成で族議員が活躍できたこと、また財務大臣を抜きに党税調が税制を決めることができたのは、利益の配分だったからです。