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官業の民間開放

日経新聞経済教室は21日から、「官民の役割を見直す」を始めました。初回は、八代尚宏先生の「公共サービス、市場に曝せ」「競争で効率性追求、民にできぬ範囲再検討を」です。
市場で得られない公共サービスは、政府が責任を持って供給しなければならない。しかし、公共サービスのすべてが、公務員でなければ提供できないわけではない。生活に欠かせない電力・ガスを供給する民間企業は、事業法の制約の下で公益性が担保されている・・・官が民と張り合って、財やサービスを提供することは、サッカーの試合で審判が選手を押しのけ、シュートするようなものである。選手に自由にプレーさせる一方で、不正を行う選手は一発退場させ、公平で熱気ある試合を作り出すことが、審判の本来の役割である。
・・いうまでもなく、官業の民間開放は万能ではない。官の独占体が民の独占体に変わることは、もっとも避けるべきだ。国が抱え込んでいた事業を市場の競争に曝す一方で、それが民の事業と対等な立場で競争するような事後規制を担保する必要がある。人々の安全を守る責任では、官民事業者の違いはない。「官でなければできない仕事」とは何かを、抜本的に検討する時期に来ている。

諮問会議の解説

日経新聞21日夕刊の「ニッキイの大疑問」では、清水真人編集委員が「経済財政諮問会議って何?」を解説していました。わかりやすく、諮問会議の機能を解説しています。また、「透明性の裏に周到な根回し」といった舞台裏も書かれています。

ワークライフバランスについての企業意識の変化

20日の日経新聞は、ワークライフバランスについて、400社の調査結果を載せていました。男性の育児休業取得者がいる企業は、2005年では25%だったのが、今回は55%に急増しています。仕事と育児の共立支援が従業員の意欲を高め生産性向上につながっているという企業は、2005年の48%から89%にまで増えています。急速に意識は変わっていますね。

市場経済と信頼

17日の日経新聞経済教室は、田幡直樹さんの「急がれる資本市場の信頼回復。自主規制の確立・順守を柱に」でした。
・・日本の金融・資本市場は、経営者や公認会計士による有価証券報告書虚偽記載など不祥事が続発し、世界の投資家の日本市場への信頼が大きく揺らいだ。この結果、日本への資金流入は停滞し、ニューヨークやロンドンどころか、香港やシンガポールにも劣後しかねないローカル市場になってしまう。失われた信頼を回復するためには、自主規制ルールの確立、市場参加者の倫理観向上、魅力的な新商品の提供などが必要である・・。
私のHPでは、国家間の争いの変化を、次のように説明しています(「魅力ある国を作る」など)。かつては、それは領土や資源を争う戦争でした。それが、工業製品を作って売ることに変化し、今やそれ以上に、サービスや情報を売る競争になっています。そして金融市場では、お金を呼び込む競争になっています。
また、市場原理の最先端の場である金融・資本市場で、信頼が大きな要素であることも、興味深いことです。社会において信頼が重要な要素であることは、「新地方自治入門」p256で、関係資本として論じました。お金という最もドライな分野でも、信頼が重要なのです。

日本経済の転換期

朝日新聞は19日から、「変転経済、証言でたどる同時代史」を始めました。
かつて輝いた日本経済は、1990年代に大きな転換期を迎えた。バブルからデフレへ、グローバル競争へと変転を繰り返し、21世紀の今また、日本は人口減少社会、団塊世代のリタイアという未経験の時代に入る。この20年、どこで、何が、なぜ変わったのか。
初回は、日本型経営の衰退です。日本的経営側として今井敬元経団連会長は、信頼を失ったら経営はできない、会社が従業員の雇用を守ることを主張しておられます。アメリカ型経営側として宮内義彦オリックス会長は、日本的経営ではグローバリズムに負ける不安が大きかったと述べておられます。