年別アーカイブ:2026年

健常者に気を遣う障害者の視点

2026年3月1日   岡本全勝

2月17日の朝日新聞、近藤銀河さんの「「特別」なら許されるマイノリティー」から。

・・・高市早苗首相のSNSの投稿は衝撃的だった。彼女の夫のために公邸がバリアフリーに改装された、という報道を受け、その事実を否定しつつ「仮に貴重な税金を使って改修工事をする必要があるのであれば、私達は公邸に引っ越しませんでした」としていた。
健常者に対して気を使い、マイノリティーが堂々と主張できるはずの――けれど主張すれば批判を浴びるような――権利を引っ込める姿勢は、私の日常の中で選びたくないのに繰り返し浮かびあがってくる選択肢だった。それを政治のトップが口にしている。

私の日常を少し説明しよう。
外出のために車椅子を使って生きていると、たくさんの善意に出会うけれど、時には善意を断らないと自分を守れないことがある。
一番よく遭遇する例が、長い階段で「背負ったり車椅子を運んだりできるよ!」という申し出だ。運んでもらったり、背負ってもらったりすることは強い身体的な労作を伴う。車椅子だけを運んでもらって、自分は時間をかけてゆっくりはうように登らないといけないこともある。
そうした善意の申し出を受け入れたあと、私は人知れず数日、時には1週間ほど倒れ込む。そしていつも、悩む。差し伸べられた――優しいけれど取れば自分が痛みを背負うことになる――手をどうすればいいのかと・・・

・・・強く支持される政治家が示すマイノリティーの姿は、ほとんどの場合そのマイノリティー性以外では徹底的に規範に従順な姿だ。少なからぬ女性議員が差別的な姿勢を示すのはまさにそうした例だろう。それは明白なメッセージとなる。「あの人は〇〇だけどさ、他の〇〇とは違う、特別だからいいんだよ」と言われるような存在。マイノリティーはそれを目指して努力せよ、と。
私もそうした声に日々、従おうとしてしまう。無理なことでも平気な顔で「出来ます」と言ってしまい、後で数日寝たきりになってしまう。そんな自分にがくぜんとする。なぜそんなに健常者と同じように振る舞おうとしているのか、と。そんなこと出来やしないのに。

マジョリティーにとってあるべき姿を守るマイノリティーになるのか、そこから動き出してさらに社会の想定から外れた「マイノリティーの中のマイノリティー」になるのか。私はいつも悩んでいる。すでに理想的な姿から外れきっているのに、と。
けれど、健常者が想像する障害者像の内側に踏みとどまる限り、私は迷惑をかけないから許される存在としてのみ許容される。「何も気にしなくていいです、大丈夫です」と言い続ける限り合理的な調整はなされない。あとに続く人もまた苦しむことになる。
だから、いつも吐きそうになりながら少しだけの勇気を出して、物申したり出来ないと断ったりする。頑張らないで社会に存在するために頑張る。なんてむごい矛盾だろう。でも特別でなくても生きられるために今はそうするしかないと歯を食いしばる(時々は諦めているけど)・・・

伸びるチューリップ

2026年2月28日   岡本全勝

もう2月が終わります。
プランターと鉢に植えたチューリップの球根。今年は早く植えたこともあり、ずいぶん前に芽を出しました。こんな寒いときに芽を出して、春まで大丈夫かなと心配になりました。
先日、東京は20度を超える暖かさ。そのせいもあってか、さらに伸び、10センチくらいになっています。
今年も、きれいな花が期待できそうです。

ご近所の梅は盛りを過ぎました。ところが、我が家の玄関脇の椿、葉っぱはよく茂っているのですが、つぼみはつかず。

科学研究での英語の壁

2026年2月28日   岡本全勝

2月15日の日経新聞に「科学研究を阻む英語の壁 母国語以外、論文却下が2倍超」が載っていました。
・・・英語はビジネスを中心に世界で広く使われているが、苦手だと感じる人も少なくない。実は科学研究でも英語が大きな壁だ。複数の調査を通じて英語が母語ではない研究者の論文は学術誌に掲載を却下される頻度が2倍以上高く、作成にかかる時間も最大で5割長いと分かった。科学の発展を阻む恐れもある言葉の障壁にどう向き合うべきか。

研究者の母語が英語でないと、論文の出版数が最大で7割も減る――。オーストラリアのクイーンズランド大学が2025年に発表した内容は、国や地域を問わない科学研究の公平さに疑問を投げかけた。論文を科学誌「プロス・バイオロジー」に掲載した。
日本を含む8カ国で約900人の研究者を調べた。そのうちのバングラデシュやネパールなど英語圏以外の発展途上国の女性が書いた査読付きの英語論文は1人あたり平均で約7本で、同24本程度の英国の男性に比べて7割も少なかった。それぞれが研究者になって約20年後の時点で比べた。

なぜこんな不均衡が生じるのか。研究をまとめたクイーンズランド大の天野達也准教授は「非英語圏の科学者は英語の論文を書くのに不利なことが理由の一つだ」と解説する。
英語は科学の「共通語」だ。世界で科学分野の出版物は98%が英語で書かれているともいわれる。また天野准教授が生物学の700以上の学術誌を調べたところ、英語以外で書いた論文を発表できるのは21年末時点で46誌(6%)だけだった。非英語圏の研究者も英語で論文を書かないと業績をあげにくい・・・

・・・天野准教授は23年、英語圏以外の研究者は英語の論文を却下される頻度が2.5倍程度も高いという研究を発表した。英国やスペインなど8カ国で初めて英語の論文を発表するなどした若手同士を比べた。論文が受理された場合も英語の表記などを直す頻度は12.5倍に達した。
英語の論文を読み書きするのにも苦労がいる。この研究によると、日本やスペインなどの研究者は英語圏の人々に比べて最大で5〜9割程度余分に時間がかかった。台湾出身で英語を使う苦労をインターネットで発信している米グーグルのアンドリュー・チャン氏は「英語の意味を正確に理解し、円滑に表現するのは大変だ」と話す。
いくつかの研究が示す英語の壁は科学の進歩を阻む恐れもある。天野准教授は非英語圏の研究者が十分に活躍すれば「人材が多様になり、新たな発見や気候変動などの解決策の提案につながる」と話す。言葉の障壁が高いままだと研究者が能力を発揮できずに、科学の発見や知見が生まれにくくなるかもしれない。

壁を取り払うためにはどうすればいいのか。人工知能(AI)は英語の論文を読み解いたり、母語を英訳したりするのに役立つ。天野准教授の論文の共著者である米スタンフォード大学のバレリア・ラミレス・カスタネダ氏は「AIの登場で英語論文を書く手間などを大幅に省けた」と話す。同氏は南米コロンビア出身で母語がスペイン語だ。
英国の生態学会はAIを使って英語の論文を無償で校閲するサービスを提供している。こうした取り組みが広がれば、英語圏以外の研究者が活躍する場が増えそうだ・・・

ホームページが安定しました

2026年2月27日   岡本全勝

昨年11月から12月にかけて、このホームページの加筆ができなくなりました。管理をお願いしている社長のおかげで、復旧したのですが、その後も時々、拗ねることがあります。
2月11日頃にも、新しいページが閲覧できなかったり、左につけているカテゴリー欄が変に表示されたりしました。何人かの人から、「病気ですか」といった心配のメールが届きました。すんません、心配かけて。

今度も、社長に診断と処方をしてもらい、回復しました。ありがとうございます。

しっかり稼いで、社員を好待遇

2026年2月27日   岡本全勝

2月12日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」、西浦三郎・ヒューリック会長の「しっかり稼ぎ好待遇」から。

・・・ヒューリックは報酬や福利厚生など社員への手厚い待遇でも知られる。事業規模に比べて社員数は約230人と少数精鋭で、2025年の平均年収は2295万円と国内トップ水準だ。西浦三郎会長は「社員がしっかり稼いでくれるから、目指す経営を実現できる」と語り、人材への投資を重んじる。

―社員の給与や福利厚生の向上に力を入れています。
「対外的には言いにくいのですが、あらゆるステークホルダーのなかで、場合によっては従業員が一番上です。彼ら彼女らの満足度を高め、しっかり働いて稼いでくれなければやりたい経営はできません」
「給与、フリンジベネフィット(給与以外の便益)、オフィス環境の3つを重視してきました。社内カフェの朝食や昼食、飲料は無料です。住宅ローン金利で1%を超えた部分は会社が負担します。あらゆる面で『ヒューリックは良い会社だ』と思ってもらいたい。経営者として当然の望みです」

―こうした待遇に社員が慣れ、パフォーマンスが落ちることはありませんか。
「一定の成績を上げると賞与の支給月数を増やすなど、成果を上げた社員に還元し、モチベーションを高めています。能力がある人は積極的に評価します。女性社員が育児休業で1年休んでも、復職後の働きぶりを見て能力が変わっていなければ、飛び級で昇格させてブランクを防ぎます」
「この仕組みは公務員の方に『一番欲しい制度だ』と言われたこともあります。人口減少をなんとかしなければならないという問題意識があるので、出産や育児をする社員を支えて言行を一致させています」

―20年前の社長就任後は、銀行出身の執行役員全員から辞表を取る大胆な人事改革もしました。反発は恐れませんでしたか。
「(当時の)東証1部上場を目指して組織を大きく変える必要があり、執行役員を一般社員にしました。不満はあったかもしれませんが、僕の耳には聞こえてきませんでした。離反する社員に忖度(そんたく)するより、会社を良くするための決断をしました」
「今も人事部門には、退職者の引き留め工作をするなと言っています。人生は一度きり。本人がやりたいことを尊重したい。他の環境を一度経験するのはその人にもプラスになるでしょう。僕のところに退職の挨拶に来たときは『転職先が合わなかったらまた戻っておいで』と声をかけます。優秀な社員だけね(笑)」

―経営者に向いている人材をどう考えますか。
「考える力があるかどうかです。社員に対しても、これまでと同じビジネスを提案してきたら突き返します。コピーならAI(人工知能)でもできる。不動産の取引一つでも自分なりの工夫をしたり、問題の解決につながる方法を考えたりする姿勢が大事です。変化の激しい時代に持ち合わせているべき資質です」
「経営者は会社が誰に支えられているのかを一番に理解していなければなりません。お客や株主、取引先、社員に有益なことを考え続けることです」