年別アーカイブ:2025年

復興庁オーラルヒストリー2

2025年4月6日   岡本全勝

復興庁オーラルヒストリー」(3月16日)の続きです。「東日本大震災に関するオーラルヒストリー」に、順次、関係者の話が載っています。被災者生活支援本部事務局を立ち上げたときに直ちに呼び寄せ、支えてもらった右腕と左腕(助さん格さん)の山下君と福井君の記録もあります。
山下 哲夫 元被災者生活支援チーム事務局参事官
福井 仁史 元東日本大震災復興対策本部事務局参事官、元復興庁参事官(調査1班)

北村 信 元復興庁設置準備室参事官、元復興庁審議官
前島 明成 元東日本大震災復興対策本部事務局参事官、元復興庁参事官(復興特区班)
阪本 克彦 元東日本大震災復興対策本部事務局参事官、元復興庁参事官(法制班)
といった、初期に一緒に苦労してくれた官僚のほか、助けてもらった非営利団体の方も載っています。
田村 太郎 震災ボランティア連携室企画官、復興庁上席政策調査官、復興推進参与

それぞれに、苦労した点と、うまくいった点やそうでなかった点を話しておられます。よい記録になっています。読んだ地方公務員からも、「このような過程を記録し検証するところにも、その組織の強さが感じられます」との意見もありました。
私の知らなかったことも多いです。私一人でできることは限られていて、それぞれの職員に委ねていたからでもあります。

スーツを着ないゼレンスキー大統領

2025年4月6日   岡本全勝

3月19日の朝日新聞に「スーツを着ないゼレンスキー氏は「敬意欠く」? 服装の政治性を読む」が載っていました。
・・・脳会談でスーツを着ないのは「敬意を欠く」か――。先月28日に米ホワイトハウスで開かれたトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談で、報道陣からゼレンスキー氏の服装に対する批判が飛びだした。外交や政治の場で、装いはどんなメッセージを発するのか。識者に読み解きを聞いた。

「なぜスーツを着ないのですか。あなたはこの国の最高レベルのオフィスにいるのに、スーツを着るのを拒否している。スーツは持っていますか?」
会談の中盤、米国の新興保守派メディア「リアル・アメリカズ・ボイス」のブライアン・グレン記者が、こんな質問をした。ゼレンスキー氏は「この戦争が終わったら着ますよ。あなたと同じようなものかもしれない。もっと良いものかもしれないし、安いものかも」と冗談を交えて回答。会談後、グレン氏はXでやりとりの映像を引用し「彼の服装はゼレンスキーが我が国に敬意を払っていないことを端的に表している」とポストした。SNSにはゼレンスキー氏の服装や、記者の質問に対する賛否があふれた。

会談でゼレンスキー氏が着ていたのは、胸にウクライナの国章が入った黒い長袖シャツ。2022年のロシアによる侵攻開始以降、ゼレンスキー氏はカーキ色のTシャツやトレーナーで公の場に姿を見せており、装いによって軍との連帯を示しているとされる。米ニュースサイト・アクシオスの報道によると、トランプ氏の側近は会談に先立ち「ホワイトハウスでは軍服を脱ぐ方が礼儀正しい」とゼレンスキー氏に何度も伝えていた。一方、ウクライナ外務省は騒動を受け、「戦禍の中、ウクライナのスーツは(普通とは)違って見えるかもしれないが、究極の尊厳とともに身につけられている」とSNSに投稿した・・・

・・・一方、井上雅人・武庫川女子大学准教授(ファッション史)は、今回、ゼレンスキー氏の服装に物言いがついたのは「白人男性だからでは」と推測する。
「戦時服や軍服が礼服の代わりに用いられることはどこの国でもあるし、イスラム教徒の民族衣装や北朝鮮の人民服、女性のノーネクタイであれば何も言われなかったはず。白人男性指導者が従うべき『オールドボーイズクラブ』の服装マナーに沿っていないとみられたのではないか」・・・

「近代発明家列伝」

2025年4月5日   岡本全勝

橋本毅彦著『近代発明家列伝ー世界をつないだ九つの技術』(2013年、岩波新書)を読みました。なぜこの本を読もうと思ったのか、思い出せないのですが(反省)。

なぜこの9人が選ばれたのかは、次のように説明されています。
最初の3人は、時間、動力、空間に関わる技術で、地球規模での一体化をつくる先駆けでした。
ハリソン──世界時刻の計測
ワット──産業革命の原動力
ブルネル──大英帝国の技術ビジョン

次の3人は、音声や通信技術に革命をもたらしました。
エジソン──発明と経営の間で
ベル──電信から電話へ
デフォレスト──無線通信とラジオ放送

最後の3人(4人)は、現代人の活動範囲を飛躍的に拡大させる交通技術をもたらしました。
ベンツ──ガソリンエンジン搭載の自動車
ライト兄弟──空間意識を変えた飛行機
フォン・ブラウン──宇宙ロケットとミサイル

皆さん、どれだけ知っていましたか?
もう一つ、この本が訴えているのは、技術が革新的なだけでは普及せず、それを社会の需要に適合させること、「売れる」ようにすることが必要です。この部分は、発明家ではなく、起業家の役割になります。本人が行う場合もあります。「人に知られることなく研究していた」では、社会に認められず、普及もしません。時には、発明家の意図とは違う目的で使われる場合もあります。
科学の社会史

鎌田浩毅先生「天災危機の今 伝わる表現で」

2025年4月5日   岡本全勝

4月4日の読売新聞夕刊「言葉のアルバム」は、鎌田浩毅先生の「天災危機の今 伝わる表現で」でした。
・・・4年前の2021年3月、京都大で行った最終講義には約100人が詰めかけ、インターネットでの視聴者は1500人を超えた。最終講義は異例の前置きで始まった。
「過去を振り返っている場合ではない。これから大変なんですよ。日本列島が。未来に向けて皆さんに伝えたいことがある」。少し早口で訴えたのは、南海トラフ地震や富士山噴火への警告だった。

テレビや雑誌で自然災害について分かりやすく語るコメンテーターとしておなじみの顔になった。ところが、1997年に京大教授に就任した当初、講義の評価は散々だった。英語を交えながら90分。学生に「難しすぎて理解不能」と陰口をたたかれた。岩石や地層の基礎研究に没頭してきたことが災いした。
なぜ評判が悪いのか――。理由を探ろうと講義を録画し、研究室の学生に“ダメ出し”をしてもらった。「声が小さくて早口」「専門用語がわからない」「内容を盛り込みすぎ」などの指摘が続き、「好きな研究を追究しているだけでは、防災に敏感になってもらえない」と考えを改めた・・・

この欄は、私も2019年4月12日に、「批判受けても復興の決断」として取り上げてもらいました。版画は記念にいただき、執務室に飾ってあります。

鎌田先生が、PIVOTに出演して、新著を解説しておられます。

「南海トラフ地震と首都直下地震/東日本大震災を超える甚大な被害/首都直下地震はいつ起きてもおかしくない/南海トラフ地震は2030年代に起こる/防災知識が未来を守る」
PIVOTは、「ビジネス」+「学び」に特化した映像コンテンツを毎日無料で配信しているとのことです。

福井ひとし氏の公文書徘徊

2025年4月4日   岡本全勝

アジア時報』4月号に、福井ひとし氏の「連載 一片の冰心、玉壺にありや?――公文書界隈を徘徊する」の第1回「一五〇年に一度だけ、摂政設置の詔(御署名原本周辺)」が載りました。詳しくは、記事を読んでいただくとして。

「一片の冰心、玉壺にありや」とは、難しい表現ですが、唐の王昌齢の詩に基づいた言葉だそうです。唐詩と公文書の関係は、本文を見てください。筆者の学識と意図がわかります。

今回の話は、1921年(大正10年)に書かれた「摂政設置」の公文書を扱っています。大正天皇がご病気になられ、皇太子(後の昭和天皇)が摂政になります。では、その決定は、どのようになされるのか。大正天皇が御病気で指名・署名できない(できないから摂政を置くんです)となると、皇太子が行いますが、すると自分で自分を摂政に任ずることになります。ほんとにそれでいいのか。法的な根拠は? 筆者だけでなく、当時のやんごとない人たちも心配していたようです。牧野宮内大臣たちはどう説明するのか。
今回は、それだけでなく、もう一つの事件が絡んできます。摂政設置準備を進めていた原敬首相が、突然暗殺されるのです。摂政設置作業はどうなってしまうのか。
二つが絡むので、この文章は難しいですが、それなりにスリリングです。お楽しみください。

最後に、略歴が載っています。現在は国立公文書館首席研究官です。「役人時代、国会予算委員会で答弁、総理と米大統領を先導、両憲法の原本と毎日一緒に暮らしている、のが人生三大レガシー」とのことです。
挿絵も、本人が書いているとのことです。