単身高齢者サービス契約の問題

10月15日の朝日新聞「おひとりさまの「困った!」対策は? 日本総合研究所・沢村香苗さんに聞く」から。後段で提案されている、自治体の役割は必要でしょうね。

・・・身寄りがない高齢者を主な対象に、入院時の身元保証、死後の葬儀や遺品処理などのサービスを提供する事業者が増え、トラブルも起きています。いま求められることは・・・

・・・私たちが単身世帯に実施した調査では、夫を亡くした高齢女性と、未婚の男性が多くいました。一人暮らしではない高齢夫婦も、どちらかが入院すればそれぞれが「おひとりさま」になるかもしれない。困ったとき、それを助ける人が周りにいないことが問題です。
たとえば、入院するときに保証人がいない。介護保険制度は、本人にふさわしいサービスを選んで契約することになっていますが、その手続きをする家族がいない。調子が悪いなかで終末期医療をどうするかも考えないといけない。退院して5階建ての団地には戻れないから転居するとしても、新しい家を探したり契約したり。実際に動いて手伝う人がいません。
死んだ後、残った空き家やペットは。自分の葬儀は。決めておいたとしても、決めてあることさえ誰にもわからなくなる可能性があります。
ケアマネジャーらが本来業務を超えて支えてきた面もあります。事例が増えすぎ、これ以上支えられないという声を聞くようになってきました。
さまざまなニーズに応えるように、民間の事業者が増えています・・・

・・・契約書も、いろいろな項目があってわかりづらい。体調を崩すなどして、これから入院、入所しようかという高齢者がしっかり理解して契約するのは相当難しい。
生活支援を提供するといっても、本当に必要なときだけ支援するのか、電球をかえるなど日常の困りごとにも対応するのか、事業者によって範囲が全然違います。
利用者としては、やってほしいことは何かを決め、事業者に「これはやってくれるのか」「いくらでやってくれるのか」と確認しながら選ぶしかないのが現状です。

短期的には、標準的なサービスや、「重要事項は説明してください」など注意事項をまとめた公的なガイドラインを示す必要があります。静岡市は、自治体が事業者を認証して優良なところの情報を提供する仕組みを始めようとしています。
中長期的には、国なり自治体なりが何をするのかを改めて考えていく必要があると思います。未婚の人や離婚が増えており、今後、さらに多くの人にかかわる問題になっていきます。特に都市部では高齢期を「おひとりさま」で迎える人が、すごく増えるでしょう。
その際、どういう人がどう困るのかを整理しないといけません。「おひとりさま」も、お金や判断力の有無によって、困っていること、その解決策は違います。一様ではないのです。そして、全員に少なくともこれを担保するべきだとしっかり決められるなら、そこに公的なお金が入ることに、社会的な合意がえられるかもしれません・・・