年別アーカイブ:2022年

原発避難者の医療費支援段階的廃止

2022年4月19日   岡本全勝

4月9日の朝日新聞に「復興庁、段階的廃止を発表 原発避難者の医療費支援 27年度までに」が載っていました。

・・・東京電力福島第一原発事故で避難を求められた住民の医療費支援をめぐり、復興庁は8日、2027年度までに一部を除いて段階的に廃止すると発表した。地元自治体からは「激変緩和の措置は評価したい」という声もあがった。
原発事故後、政府は避難指示などが出た福島県の13市町村の約15万人(11年8月時点)を対象に、医療・介護の保険料や窓口での支払いの全額または一部を免除してきた。支援廃止の対象は17年4月までに避難指示などが解除された11市町村。それぞれ解除から約10年後にむけて段階的に支援を打ち切る。帰還困難区域と原発がある大熊、双葉の両町では支援を継続する・・・

医療費無料化は、津波被災地では発災数年後に終了したのですが、原発避難者については、なお継続していました。避難指示が順次解除され、医療費を負担している人との不公平が問題になっていました。今回、段階的に廃止することとなったのです。関係者の理解も得られたようです。

余裕がなくなった霞が関

2022年4月18日   岡本全勝

霞が関官僚の地位の低下が言われてから、久しくなります。しかし、嘆きの声は聞かれても、対策が打たれてはいません。官僚機構が不要、あるいは現在の状況がよいというならそれまでですが。世界と社会で次々と起こる課題の対策のために、政治家だけで対処できず、官僚の役割も重要です。
日本が経済発展を遂げたことで、かつての官僚の役割(先進国をお手本にした産業振興と公共サービス充実)は終わりました。また、政治主導が進みました。すると、過去への復帰は考えられません。官僚が機能するためには、官僚に何を期待するのか、そしてそのためには何を変えるべきなのかを議論すべきです。

私は、現在の官僚の機能不全は、大きく2つの理由があると思います。一つは、目標が不明確になっていることです。もう一つは、余裕がなくなっていることです。前者についてはしばしば書いているので、省略します。余裕がなくなっているとは、次のようなことです。

一つは、時間的な余裕です。
長年の職員数削減、他方で心の病を抱える者の増加、働き方改革。長時間残業が当たり前だったところに、これらが重なりました。
そして、業務は増えこそすれ減っていません。新しい法律がつくられ、調査統計なども増えています。企業なら儲からない業務はやめるのですが、行政は法律に基づき業務を行っているので、簡単には廃止できません。
人員や予算は総数が示され、その範囲内でやりくりします。すなわち、どこかを増やせばどこかを減らすしかないのです。しかし業務は総量を示すことはできず、総量規制が効かないのです。法律の数は一つの指標ですが、それで霞が関の業務量を表すことはできません。で、法律の数は増えこそすれ減っていません。国会対応も変わっていません。

もう一つは、政策を考える余裕です。
その原因の一つは、官邸主導が進んだことです。かつては、官邸は大きな政策の方向を示したり、外交において主導権を持っていましたが、最近ではより下位の政策もたくさん官邸から指示が出ます。かつては、官僚が新しい政策を考え、予算に盛り込んだり与党に持ち込んで、実現しました。しかし、官邸の意向をおもんぱかることが増えて、官僚が自由に政策を考えることが少なくなっているようです。
その一つの表れが、新聞の一面に、大臣が出なくなりました。各省が新しい政策を提示することがなくなったのです。新しい政策は、官邸が提示することになりました。
官邸の指示を待ち、官邸の意向に沿った政策をつくることになると、「自分で考えなくてもよいから楽だ」とはなりません。指示待ち職員には、楽な状況ですが。多くの官僚にとって、自由に政策を考えることが少なくなります。しかし、世の中の課題は数多く、官邸がすべて把握し対策を考えることができるようなものではありません。
官邸と各省の役割分担、政策の分別ができていないことが、この原因です。

ヤングケアラー調査

2022年4月18日   岡本全勝

4月7日の新聞各紙に、厚生労働省が行ったヤングケアラー調査結果が載っていました。朝日新聞「小学生の15人に1人はヤングケアラー 長時間ケアが学校生活に影響」。厚労省ホームページ調査結果

・・・大人の代わりに介護や家事など家族の世話をする「ヤングケアラー」が小学6年生の15人に1人、大学3年生では16人に1人いることが7日、厚生労働省の調査でわかった。この年代を対象にした国の調査は初めて。小学生では長時間のケアが学校生活に影響し、大学生は就職とケアの両立に悩むなど、課題の変化も浮かび上がった・・・
・・・小学6年生で世話をする家族が「いる」と答えたのは6・5%。ケアの対象は、きょうだいが最も多く71・0%、母親が19・8%で続いた。きょうだいの割合が高い傾向は、昨年調査の中高生と同じだった。

「父母」の世話をする子のうち、父母の健康状態を33・3%が「分からない」と回答。子ども本人が状況を理解できずにケアをしている可能性がある。調査報告書は「周囲の大人へ相談しづらい理由の一つと考えられる」と分析した。

長時間のケアをするほど小学校生活に影響が及んでいた。ケアが7時間以上の子は学校を「たまに欠席する」が28・9%。3~7時間未満の21・5%を上回った。自由記述では「お母さんがいない間、弟、妹の世話をして、学校へ行くのがおくれてしまう」「つらさを分かってほしい。私の気持ちを聞いてほしい」などとつづられていた・・・

消費としての批判、建設的な批判

2022年4月17日   岡本全勝

人や組織が失敗をした場合、他人がそれを批判します。失敗したのだから、批判されても仕方がない場合があります。ところが批判には、建設的なものと消費でしかないものとがあるようです。

失敗の問題点を分析して改善案を提案するような批判は、建設的です。批判された人も関係者も、次回は失敗しないように参考にするでしょう。しかし、失敗をあげつらうだけの批判は、建設的ではありません。特に匿名の批判は、無責任ですよね。間違った批判でも、反論や議論のしようがありません。

反省とおわびも、建設的なものと消費としてのものがあります。「ひとまず謝っておけばよい」という風潮があるようです。直ちにおわびしないと、批判が強くなることがあるからです。世間もおわびを求めます。
ところが、おわびだけでは物事は終わりません。損害を与えたならその穴埋めと、原因究明・再発防止策がないと、反省は意味がありません。おわびより、その後の対応が重要です。「責任を取る方法2

「批判をしてすっきりした」「おわびをしてひとまず切り抜けた」「おわびをしたから、水に流す」で終わっては困るのです。
報道機関にも、おわびの記者会見を伝えることより、その後どのように対処されたかを、追いかけてほしいです。時に「詳しいことが分からないので、コメントできない」なんていう会社の説明で終わっては困ります。3日後に再取材に行って、「あの件はどうなりましたか」と質問してください。

サイバー警察局、発足

2022年4月17日   岡本全勝

4月1日に、警察庁にサイバー警察局とサイバー特捜隊が発足しました。朝日新聞「サイバー特捜隊、発足

・・・警察庁の新たな組織、サイバー警察局とサイバー特別捜査隊が1日、発足した。サイバー特捜隊は、都道府県警の監督・調整が従来の役割だった警察庁が自ら捜査を担う初の部隊で、重大な事案に限って捜査する。他国と連携した国際共同捜査にも参加していく・・・
・・・サイバー局は、各局に分かれていたサイバー関係の業務を一元化。約240人体制で情報収集・分析や捜査指揮などにあたる。
サイバー特捜隊は東京都内に拠点をおき、約200人で構成。約半数は東京で勤務、ほかは都道府県にある警察庁の地方機関にいながら兼務し、データ解析などにあたる・・・
・・・今後は重大な事案は警察庁のサイバー特別捜査隊が捜査し、海外との共同作業も担う。警察庁幹部は「これまでは警察庁は窓口に過ぎなかったが、捜査の主体として海外と直接やりとりできるようになり、情報の共有が進む」と話す。
一方、国が自ら捜査する形は日本の警察制度の大きな転換だ。従来、捜査の執行事務は都道府県警が担い、警察庁は指導監督、調整する立場だった・・・

記事に書かれているように、国の機関である警察庁(各省庁に相当。正確には国家公安委員会が省庁に相当)は自らは捜査をしませんでした。戦後改革で警察は自治体警察となり、現在のような分担になりました。しかしサイバー犯罪のように被害地域が特定しにくく、海外からも攻撃される犯罪では、各都道府県警察に委ねるのは限界があります。首都を管轄し規模も飛び抜けて大きい東京都公安委員会(警視庁)に全国のサイバー犯罪を担当させることも選択肢としてはありますが、今回のように国の直轄部隊をつくるほうが合理的でしょう。