年別アーカイブ:2022年

強い自民が、知事選分裂を誘う

2022年7月16日   岡本全勝

7月12日の日経新聞に、斉藤徹弥・編集委員の「強い自民、知事選分裂誘う」が載っていました。今回の参議院選挙の結果を受けたものですが、それが知事選挙に与える影響です。このような分析もあるのですね。目の付け所が違います。

・・・参院選は自民党の地方基盤の強さを浮き彫りにした。ただその強さは自民党の地方組織に野党を気にすることなく権力闘争に走りやすい環境をもたらす。統一地方選が控える2023年にかけて各地で相次ぐ知事選は、自民分裂の激しい選挙が増えそうだ・・・
・・・今後しばらく国政選挙がないとみられることから、自民党内の関心は県議を中心とした地方組織の権力闘争に向く可能性が大きい。その舞台になるのが知事選だ・・・負けた県連はもちろん、勝った県連でも知事選に向けて県議の主導権争いが激しくなりやすい・・・

・・・地方政治に詳しい東北大学の河村和徳准教授によると、自民党の県議はもともと分裂傾向にある。理由の一つが県内の地域格差だ。地方では人口の県都集中が進む。都市部の県議は無党派を重視する傾向を強め、古くからの自民党支持層の多い郡部の県議と対立しがちになる。
小選挙区の定着で県議から国政への道が狭まったことも背景にある。当選回数を重ねるベテラン県議が増え、若手県議は不満を抱きやすい。県連運営の主導権を狙い、県連執行部とは別の知事候補を担ぐ例も目立つ・・・無風の国政選挙は激しい知事選のゆりかごである・・・

連載「公共を創る」第123回

2022年7月15日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第123回「政治参加の現状─主権者教育と地方自治」が、発行されました。国民の政府や政治に対する意識を議論しています。

民主主義国家における国民は、政府や政治に関して、政府を「信頼や失望」で評価する受動的な意識とともに、自分たちの意見を提案するなど政府を支え、必要に応じて変えていくという能動的な意識も持つことができます。ところが、日本では政治参加の意識が低く、行動も少ないのです。どのようにすれば、政治参加を増やすことができるか。
その一つが学校教育ですが、学校では民主主義の制度は学びますが、「政治的中立性」の名の下に、政治には深く立ち入らないようです。

もう一つは、地方自治です。「地方自治は民主主義の学校」とは、イギリスの政治家ジェームズ・ブライスの言葉です。その元となったのは、フランスの政治思想家アレクシ・ド・トクヴィルの『アメリカのデモクラシー』です。彼は、民主主義の三つの学校を指摘しています。自由の小学校としての地方自治、法的精神の学校としての陪審(裁判参加)、共同精神の学校としてのアソシアシオン(結社)です。

オールド・ボーイズ・ネットワーク

2022年7月15日   岡本全勝

7月4日の日経新聞女性欄に「男性向き合う「閉鎖的人脈」」が載っていました。

・・・女性のキャリアアップを阻む壁の1つとして指摘されるのが「オールド・ボーイズ・ネットワーク(OBN)」。男性中心の組織が作り上げてきた独特の仕事の進め方や人間関係を指す言葉だ。近年はイノベーションを阻むものとしても見直す機運が高まっている。男性が中心となりこのOBNを考えたり、他の人に知らせたりする取り組みも広がってきた。

「女性活躍推進の阻害要因となっているのは大きく3つ。1つめが将来像が見えないこと、2つめは仕事と家事・育児の両立。そして実は1番大きい壁が、オールド・ボーイズ・ネットワークです」。企業の女性活躍を支援するJ-Win(東京・千代田)会長理事の内永ゆか子さんは6月上旬、会場とオンラインで集まった70人ほどの男性の前で協調した。
OBNとは、男性同士の独特の文化や目に見えない約束事、人間関係のこと。海外発祥の言葉で、その閉鎖性から米国などでも女性の活躍を阻む要因といわれてきた。国内では例えば「男性同士の雑談やコネ・人脈で物事が進む」「たばこ部屋・飲み会・ゴルフでの話が決定事項になる」といったことがあげられる・・・

人事院の初任行政研修講師2

2022年7月14日   岡本全勝

今日14日は、人事院の初任行政研修その2に行ってきました。先週4日に基調講義をした初任行政研修です。
90人の研修生たちが15班に別れて、与えられた課題を議論し、発表します。指導教官は、私のほかに2人。それぞれ5班ずつを指導します。後の二人は、被災者支援本部で一緒に苦労してくれた、福井仁史君と、辻恭介君にお願いしました。私たちは研修所(別々の部屋)ですが、研修生たちは新型コロナ対策で自宅や職場からのオンライン参加です。

各班ともよく調べてあって、論点の整理、資料の作成、発表も良くできていました。とても、入省して4か月目の新人たちとは思えない出来でした。各課題とも、正解のない問題です。他省庁の職員と集まって、議論をして、一定の結論を出す。それがこの研修の狙いです。成功でした。

霞が関、増える業務、増えない人員

2022年7月14日   岡本全勝

7月1日の朝日新聞連載「2022参院選」「きしむ霞が関 増える業務・増えぬ人員、180人で7400船舶事業者カバー」から。
・・・観光船業者へのずさんな監査や基幹統計の不正――。国土交通省で相次いだ問題の背景にあるのが「人」の「不足」だ。現職官僚からは「ブラック霞が関の悪い部分が表れた」との声も漏れる。省庁のきしみは市民生活にも響きかねないが、選挙戦ではあまり語られない。識者は、官僚のあり方について「候補者はスタンスを明らかにして」と訴えている・・・

・・・4月に起きた北海道・知床半島沖の観光船「KAZU1(カズワン)」沈没事故では、乗客・乗員計26人のうち14人が死亡、12人が行方不明になっている。
事故をめぐっては、運航会社の安全管理のずさんさが明らかになったが、あわせて浮き彫りになったのは国交省側の監督の甘さだった。同省は昨年、運航会社に特別監査に入り、その後は改善の事後確認まで行っていたが、今回の事故後、改善されたはずの点を含め、17件もの安全管理規程違反が判明した。
国会では「国の確認がずさんだ」との声が相次ぎ、斉藤鉄夫国交相は「確認や指導が十分にできていなかったと認識している」、岸田文雄首相も「国交省として責任を十分に果たしていなかった」と認めた。

背景に見えてきたのは仕事量が膨らむ一方で人員は減らされてきた現場の厳しい実態だった。観光船の監査などを担う同省の「運航労務監理官」は2005年、安全担当の「運航監理官」と労働担当の「船員労務官」を統合してできた。「公務員の定数削減が求められる中で人減らしの側面があった」(同省幹部)とされ、1人が担う仕事が一気に増えた。
以降も業務量は増え続け、ここ数年に限って見ても、技能実習生の保護(17年)、飲酒規制の強化(19年)、働き方改革に向けた労働時間の管理強化(今年)などが加わっている。
一方で人員はここ10年で微減。今は180人で旅客船・貨物船計約7400事業者をカバーし、船員約7万6千人の労働にまで目を光らせる。北海道内に限れば16人で、カズワンの運航会社がある道東の広大なエリアの約70事業者をカバーするのは、わずか2人だ。
事故を受け、業務量はさらに膨らむ見通しだが、人員が手当てされるかどうかは、あくまで「政治の判断次第」(同省幹部)という・・・