年別アーカイブ:2022年

関西大学で講義

2022年11月17日   岡本全勝

今日11月17日は、関西大学で講義をしてきました。林宏昭先生のお招きで、毎年この時期に出講しています。表題は「大震災復興で考えた社会を支える3つの仕組み-行政、取引、助け合い」としました。大震災から早11年が経ち、学生たちは当時小学生でした。大震災のことも知って欲しいのですが、経済学の授業なので、自説の「官共業」がふさわしいと思い、こちらに重点を置いて話しました。

学生(林ゼミ、佐藤雅代ゼミ)の対面授業と、録画による視聴との組み合わせです。教室では、約50人の学生が熱心に聞いてくれました。質疑の時間にも素晴らしい質問が相次ぎ、充実した授業でした。

新設官庁での民間人登用

2022年11月17日   岡本全勝

11月7日の日経新聞「My Purpose 政治を「じぶんごと」に」は、「令和生まれの官庁 新しい課題「解決型」で挑む」でした。
・・・デジタル庁、こども家庭庁、内閣感染症危機管理統括庁(仮称)――。元号が令和になって以降、新しい官庁の発足が相次ぐ。具体的な問題の解決を掲げた「ミッション志向」は、そこに活躍の場を見いだそうとする民間人材を引き寄せている・・・
内閣官房こども家庭庁設立準備室で参事官補佐を務める花房さんは保育大手ポピンズで働いていて、職員公募に手を上げて採用されました。総務省からデジタル庁立ち上げに関わった後、企業に転じた例も取り上げられています。

ここに見ることができるのは、職員の官民交流とともに、新官庁での民間出身者の採用です。デジタル庁、子ども家庭庁などは、明確な任務を持った組織です。そこでは、途中採用の人も明確な役割を与えられ、自分のしたいことやできることが明確でしょう。だから、転職しやすいと思います。
他方で、伝統的官庁での、職員の頻繁な人事異動、専門家を育てず何でもできる幹部を養成する仕組みが、技能を身に付けにくい、働きがいのない職場をつくっています。

そして、このような任務が明確な官庁がつくられることには、従来型の役所の分割が限界に来ているようにも思えます。先に「子ども政策、先行く自治体」で書いたことです。

京都府庁職員研修

2022年11月16日   岡本全勝

今日11月16日は京都府庁で、管理職研修講師を務めました。表題は、「不祥事を起こさない組織づくり」です。これは、なかなか直截な話です。

不祥事が起きるたびに、お詫びの記者会見が行われ、「二度とこのようなことが起きないようにしてまいります」と決意が述べられます。しかし毎日のように、企業や役所の不祥事が報道されます。石川五右衛門の辞世の句と言われている「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」をもじれば、「浜の真砂は尽きるとも世に不祥事の種は尽きまじ」です。根絶は難しいのです。

対策は、原因別に考える必要があります。会社や役所の不祥事には、個人が起こすものと、組織が起こすものがあります。横領や情報漏洩は前者で、性能偽装や統計不正などは後者です。個人の犯罪や失敗を防ぐことと、組織の不正や失敗を防ぐ方法は異なります。また個人が起こす失敗や犯罪でも、それを引き起こすような社風やそれに気づかない上司の責任もあります。
そして、根絶できないとすると、起きた場合の対処を考えておく必要があります。私は不祥事が起きた際の記者会見では、かなりの経験を積みました。変な自慢です。「お詫びの仕方・形も大切

一般論をしても退屈でしょうから、実例と私の体験を元に生々しい話をしました。職員研修では、『明るい公務員講座』に書いたように私の失敗を話すのですが、不正や失敗の防止、起きた場合の対応も、「豊富な経験?」を持つ私にしかできない話をしました。
会場では20人ほどの人が聞き、録画をして後で管理職が見るとのことです。みなさんの関心ある主題なので、熱心に聞いてくださいました。反応がよいと、元気が出ます。
また、西脇知事(私の復興庁事務次官の後任)とも久しぶりに会ってきました。

子ども政策、先行く自治体

2022年11月16日   岡本全勝

11月2日の日経新聞夕刊1面に「子ども政策、先行く自治体」が載っていました。
・・・子ども政策に関わる部署を一元化する自治体が目立ってきた。東京都や大阪府箕面市などが国に先行して着手。子育てや福祉、教育などそれぞれ個別に進めていた支援策の連携を深める。縦割りで分散していたデータを有効活用したり、当事者の子ども自身の声を取り入れたりして、課題の早期把握・解決を目指す・・・

明治以来、日本の行政は、産業振興、公共サービス充実、インフラ整備を主たる任務とし、その際には供給者育成という手法をとりました。企業だけでなく学校も病院もです。それは効率的だったのですが、消費者や生活者からの視点は落ちていました。
サービス充実という任務を達成した時に見えてきたのは、そこから漏れ落ちた人とその人たちからの視点です。それが、縦割り行政とともに、機能不全を生んでいます。私が、「生活者省構想」を主張しているゆえんです。

自治体のこのような試みは、現場での課題に対応する動きであるとともに、国の省庁に従って縦割りになっている(時に、下請けになっている)自治体内の組織と任務を見直す、よいきっかけだと思います。

外国語の本

2022年11月15日   岡本全勝

神田の古本市に行って、次のようなことを考えました。
外国語の本が少ないのです。いわゆる洋書(英語やフランス語)はいくつか並んでいました。ここで取り上げるのは、中国語(古典漢文ではなく)や韓国語をはじめとするアジアの本です。

一つには、日本人は、アジアの国々のことを勉強していないのか、ということです。もちろん、たくさんの本が翻訳されていますが、原書を読む人はいないのでしょうか。
明治以来、欧米先進国から学ぶことを「国是」としてきたので、アジアの事情は一部の関係者と関心ある人だけが勉強しました。英語は必須としても、大学で学ぶ第二外国語はフランス語やドイツ語が多かったのではないでしょうか。

もう一つは、日本にたくさんの定住外国人が来ています。その人たちは、どこで本を入手しているのでしょうか。古本市で求める人は少ないでしょうが、ベトナム語、タガログ語、インドネシア語、ベトナム語などを母語とする人たちは、どこで本を買っているのでしょうか。
その方面に詳しい知人に聞くと、各国の食材店に雑誌や本が置いてあると教えてくれました。
各地の図書館には、どの程度、外国語の本が置いてあるのでしょうか。全国各地にいる外国人が母国語の本を手にとって見ることができるには、どうすればよいのでしょうか。「日本に来たのだから、日本語を勉強せよ」でよいのでしょうか。

11月9日の日経新聞1面には、「日本語教室「空白地域」46% 教師の4割、東京に集中」が載っていました。
・・・外国人労働者やその家族らが通える日本語教室がない「空白地域」が自治体の46%に上ることが文化庁の調査で分かった。教師の4割超が東京都に集中し、地方では指導者が不足。山形・三重両県は教師1人当たりの生徒数が東京の約9倍に上る。日本語を学ぶ機会の確保をうたった日本語教育推進法の施行から3年たったが、環境整備がなお進まない現状が浮かんだ・・・