年別アーカイブ:2022年

高校生の就職、1人1社慣行

2022年2月13日   岡本全勝

2月4日の読売新聞1面に「高校生就活の「1人1社」、「見直す」は2府県のみ」という記事が載っていました。
・・・高校生の就職活動で、最初に応募できる企業を1社に限定する長年の慣行「1人1社制」について、2022年度以降に「見直す」としたのは2府県にとどまることが読売新聞の全国調査で明らかになった。
高校生の就活では、3年以内の早期離職者の割合は4割近くに上っている。今年4月に改正民法が施行され、成人年齢が18歳になるのを前に、47都道府県の教育委員会に1月下旬までの検討状況を尋ねた。
今年度、就活開始時から複数社に応募できたのは秋田、和歌山、沖縄の3県。今回、新たに大阪府と奈良県が「見直す」と回答した・・・

社会面には、「就職先 生徒が選択 納得感高めミスマッチ防ぐ」が載っています。3社の中から一つを選び、無事就職が決まった学生の事例です。
・・・山口教諭は「今の子どもは『でも、だって』と何でも人のせいにしがち。自分の道を決めるのは自分の責任だと、就職活動を通じて理解してほしい」と話す。
高校生の就活では、早期離職が多いことが課題だ。文部科学省などによると、昨春就職した高校生は約15万8000人で、就職率は97・9%。その一方で2018年3月の卒業生の3年以内の離職率は36・9%に上る。要因の一つは「1人1社制」によるミスマッチと指摘されている。

名古屋市の男性(23)もそのうちの一人だ。三重県の県立高校を卒業後、プラスチック製品のメーカーに就職したが、わずか2年で辞めた。
「自分に合う会社を教えてください」。先生に相談し、選んでもらった3社のうち、資本金が一番多い企業に入社した。どんな製品を作る会社か詳しくは知らず、配属された工場ではすぐに単調な仕事に飽きた。
今は人材サービス会社で働く。人と接する仕事に向いていると思ったからだ。成果に応じた報酬制度にも魅力を感じている・・・

日本の従業員の、職場への愛着度や満足度の低さの原因の一つだと思います。

連載「公共を創る」108回

2022年2月12日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第108回「「国のかたち」の設定─平等と倫理」が、発行されました。
前回から、政府による社会(狭義)への介入を説明しています。公共秩序の形成、国民生活の向上の次に、「この国のかたちの設定」をとりあげます。

それは、倫理、慣習、国民の共通意識(社会意識)などへの関与です。これらを政府の役割として取り上げると、疑問を持つ人もいるでしょう。「内心には、国家は関与すべきではない」「慣習は、社会で自然とできるものだ」とです。
日本国憲法は、この国の基本を定めた法律です。そこでは、統治機構と人権について定めています。人権の規定は、基本的人権の尊重、幸福追求権、法の下の平等など、「社会の善悪」を規定しています。社会倫理の基本を定めているのです。

政府が行う「この国のかたち」の設定について、倫理、慣習、社会意識の順に検討します。今回は、平等、差別の禁止について考えます。憲法が法の下の平等を定めただけでは、平等は実現しません。その事例を取り上げます。

なぜ思いつかなかったのか

2022年2月12日   岡本全勝

2月2日の日経新聞経済教室、森川博之・東京大学教授の「気づきと共感が価値の源泉 製造業のデジタル化」に次のような文章があります。

・・・経営学者のピーター・ドッラカーの言葉に「イノベーションに対する最高の賛辞は『なぜ思いつかなかったのか』である」というものがある。もちろん、隠れたニーズに気づくことは容易ではない。容易ではないと認識しながら、現場を深く見直し、デジタル化すべきプロセスに気づく努力を続けるしかない・・・

そうですよね。私たち行政の仕事も、「世紀の大発見」や「人類初の・・・」といった発明や発見ではありません。でも、改善することは、いくつも出てきます。
それを、どのようにして早く見つけるか。一人で自席で考えていても、思いつきません。
発見する方法の一つは、住民やマスコミからの「苦情」です。改善のきっかけが含まれている場合があります。
もう一つは、外に出て外の人と意見交換することです。広い視野から見ると、違ったものが見えてきます。

おわびの過剰?

2022年2月11日   岡本全勝

今朝2月11日の朝日新聞東京版1面に、おわびが出ていました。
「降雪で配達遅れ おわびします
降雪のため、けさの新聞は特別輸送態勢を取りましたが、配達が遅れる場合があります。ご迷惑をおかけすることをおわびいたします。」

昨夜から大雪が予想され、電車の運休や高速道路の通行止めもありました。新聞配達が遅れることもあるでしょう。でも、それって、お詫びをすることでしょうか。新聞社にとって、避けることはできません。もし、通常通りに配達しようとするなら、とんでもない経費がかかるでしょう。
「降雪で配達が遅れることもあります。ご了解ください」というお知らせで、十分だと思います。

鉄道でも、人身事故や急病人救護のために遅れが出て、それを謝る放送があります。
これもおかしいです。鉄道会社の責めによる遅れなら、おわびをすること、そして再発防止に努めることが必要でしょう。でも、乗客の責任での人身事故や急病は、会社が防ぐことは無理です。

たぶん、新聞配達の遅れや鉄道の遅れに文句を言う客がいるので、会社としてはこのようなおわびをするのでしょう。でも、このようなおわびは、責任の所在を不明確にします。

がんは治る病気に

2022年2月11日   岡本全勝

2月2日の日経新聞夕刊、中川恵一・東京大学特任教授の「がん社会を診る」は「がんは「治る病気」の時代へ 治療前の離職は早計」でした。

・・・大変残念ではありますが、がんと診断されると、1年以内の自殺率が20倍以上になるというデータがあります。また、がんと診断された会社員の約3分の1が離職し、自営業者では17%が廃業したという調査結果もあります。
別の調査でも、がんと診断されると約2割の人が仕事を辞めていました。さらに問題なのは辞めたタイミングです。仕事を辞めた人のうち、32%は診断が確定した時点で、9%が診断から最初の治療までの間に離職していました。つまり、4割以上が、実際に治療を受ける前に辞めてしまっているのです・・・

それに続く文章で、多くのがんが簡単な治療で治ることが書かれています。成人のがん全体の5年生存率は7割、10年生存率も6割です。
早く見つけて適切な治療を受ければ「治る病気」になったのです。医学の進歩はすごいです。これを知れば、仕事を辞めたり、自殺することが少なくなると考えられます。