年別アーカイブ:2022年

発言が載りました。復興庁発足10年の評価

2022年2月24日   岡本全勝

地方紙に、私の発言が載りました。例えば、河北新報2月10日「復興庁発足10年「橋渡し役」被災地評価」、2月19日東京新聞。共同通信社の配信記事です。
記事は復興庁発足10年の評価についてです。そこに、町の復旧に巨大な事業をしたのに空き地が目立つと指摘して、次のような文章があります。
・・・15~16年に復興庁事務次官を務めた岡本全勝さんは「震災前から進んでいた人口減少を踏まえずに復旧したことで、無駄を生んでしまった」と悔やんだ・・・

この経緯や原因について詳しく話したのですが、記事ではこのような表現になりました。空き地もこれから活用されれば、無駄ではないのですが。人口が戻らないと、過大な復旧になる場所もあります。
この原因については、「復興政策、終わってからの教訓」「復興事業の教訓、過大な防潮堤批判」をご覧ください。参考「復興10年関連記事の目次

オリンピック、感じる崇高さより軽さ

2022年2月24日   岡本全勝

2月16日の朝日新聞スポーツ面、バルセロナ五輪出場、法政大・杉本龍勇教授の「五輪、崇高さより“軽さ”感じる」から。

――五輪の価値が下がってきていませんか。
「自分もその舞台に立った人間ですし、現役の選手には申し訳ないのですが、今は他の娯楽とさして差がない軽さを感じます。五輪に出ている側からすると崇高な場であっても社会の評価としては消耗品。スポンサーの広告ツール、そしてメディアのコンテンツとして瞬間的に視聴率を稼ぐための材料となっています」

――その軽さはどこからくるのでしょうか。
「メディアには、選手やスポーツの価値を高める発想が欠けていると感じます。東京五輪は多くの人がコロナ禍で苦しむ中で開かれ、あれだけ五輪やスポーツの価値を社会的に考えようとなった。それなのに大会後、メダリストがメディアに出るケースが多くはバラエティーで、いじられ役になっている。選手の本来の姿を見せることを優先させず、別の側面ばかりを見せ、当座のコンテンツにしています」

――他にもスポーツの価値を高める選手像はありますか。
「大リーグの大谷翔平選手です。こちらは、余分なセルフマーケティングをせず、自分のプレーだけを見せている。自己欲求を達成するために、自分の持てる力を高め、それを試合で披露することに集中しています。余分な装飾をはずしている分、スポーツが持つ本質的なエンターテインメント性を高めることにつながっています」

――五輪と人々の距離を近づける方策はありますか。
「メディアの伝え方は考え直した方がいいかもしれません。テレビを見ていても、コメンテーターや音楽、映像を駆使して番組を盛り上げようとする雰囲気に、視聴者が付いていけていない気がします。自分は、粛々と競技を見せて欲しいというのが本音です。それぞれに閉塞感を抱えたコロナ下では特に、演出はいらない。選手のすばらしいパフォーマンスをリアルに見てもらい、何かを感じてもらうためにも、あおることなく、良い意味で淡々と見せることが一番いいと思います」

笑えるけど笑えない、無駄な会議

2022年2月23日   岡本全勝

2月13日の朝日新聞「無駄な会議撲滅への道:上 秘密文書が教えるダメ会議」から。
・・・会議の人数はできるだけ多く。少なくとも5人以上▽長くスピーチせよ。逸話や個人的経験を説明せよ▽前の会議の決定事項を再び持ち出し、決定の妥当性を問い直せ――。
これはダメな会議について記した啓発書の一節ではない。米中央情報局(CIA)の前身の情報機関「戦略事務局(OSS)」が作成した秘密文書の内容だ。
題して「簡易サボタージュ・マニュアル」。1944年に作成され、様々な妨害手段を講じて敵国や敵組織を弱体化させるための具体例が記されている。情報機関が当時、ダメな会議のパターンを見抜いていたのだ。会議についての妨害工作も列挙されていた。
例えば会議を長引かせる方法は、「関係のない話を可能な限り持ち出せ」「文書や議事録、決議の細かな言い回しについて掛け合え」とある。無駄な会議をつくる手法については、こうだ。「正規の手続きを経るよう要求せよ。決定の最短経路を選択させるな」「重要な業務があるときほど会議を開け」・・・

ダメな例が列記されています。
会議では、演説をして経験談など長話をする。すべての案件を会議にかけ、さらなる調査を求める。一人でできるのに、3人の承認が必要な手続きにする・・・
上司では、延々と質問し長話をする。重要でない仕事から始め、重要な仕事は非効率な作業者に割り当てる。すべての規則を一字一句まで適用する・・・

読んでいて、笑えますね。
私は『明るい公務員講座 仕事の達人編』で、職場の無駄として、会議、資料作り、パソコンの3つを挙げました。無駄な会議をなくす方法を書いたので、参考にしてください。
一番の方法は、会議を開かないことです。次に、人数を絞り、終わる時間を決め、結論を書くことです。無駄な会議は、この逆をやってください。

なお、この秘密文書を元に、対応策を書いた本があります。R.M.ガルフォードほか著『アンチ・サボタージュ・マニュアル 職場防衛篇: 組織を破壊から守る9の戦術』(2018年、北大路書房)

民主主義国家は団結せよ

2022年2月23日   岡本全勝

2月13日の読売新聞言論欄、アメリカの政治学者、ラリー・ダイアモンドさんの「民主主義国家は団結せよ」から。

・・・20世紀の潮流は民主化でした。特に1989年の冷戦終結後、民主主義は旧社会主義圏に一気に拡大した。94年頃には人口100万人超の国々の過半数が「選挙民主主義」の基準を満たします。複数政党の参加のもとで普通選挙を実施するという、民主主義の最低限の基準です。20世紀末、その数は6割を超えました。その中に、法の支配・基本的人権の尊重・政治的自由の保障などを実現した「自由民主主義」が含まれます。米国、西欧、オーストラリア、日本、台湾などはここに分類できます。
21世紀に逆流が起きます。
東南アジアで言えば、タイは2006年のクーデターで軍の支配に後戻りし、民主主義の歩みを始めたミャンマーは21年に軍が権力を握り直した。選挙民主主義国は今日、5割を切っています。
質も劣化した。為政者が説明責任を 蔑ろにし、任期を破棄して居座り続け、権力を乱用する傾向がある。腐敗も伴います・・・

・・・民主主義の後退の一つの要因に経済の不振があります。民主主義と資本主義は車の両輪です。新参の選挙民主主義諸国は中間層が薄く、教育程度は低く、民主主義の土台はもろい。景気後退で民主主義は言わば侵食されてしまう。欧州連合(EU)で言えば、ユーロ危機後のハンガリーとポーランドが該当します。両国とも権威主義に染まりつつある。
世界的には経済グローバル化で不利益を被った大衆の不満がある。職を失い、生活に困窮すれば、移民を敵視するようになる。大衆の不安を糧に右翼ポピュリストらが横行し、グローバル化を非難し、移民排斥を叫び、民主主義をエリート支配と糾弾する。4月の仏大統領選を争う国民連合のマリーヌ・ルペン氏はその一人です。
トランプ前米大統領は右翼ポピュリストの代表です。大衆の心に響く言葉遣いの巧みな扇動家です。16年の大統領選で負かした、ヒラリー・クリントン元国務長官は有能な公僕でしたが、国家指導者に必要なカリスマがなかった。
米国はトランプ前政権の4年間で政治対立が先鋭化し、SNSを通じて党派的な情報・虚言が拡散して社会分断が深刻化した。民主主義は劣化しました・・・

・・・民主主義は権威主義にも脅かされています。最大の脅威は中国です。習近平氏はアジアの覇権樹立に加え、世界支配の野望さえ抱いているように見えます。
特に台湾が危うい。台湾問題は20世紀半ばの朝鮮戦争に並ぶような、世界秩序を左右する危機へと拡大しかねないと私は考えます。この点で、米国が昨年、日豪印3か国と構築した外交安保協力体制「クアッド」を私は高く評価します。アジア太平洋地域での中国の強引な軍事的拡張を抑止するための重要な戦略的一歩です。
権威主義諸国からのサイバーテロを含む侵犯行為に対抗し、民主主義の後退に歯止めをかけるためにも民主主義諸国は団結すべきです。バイデン大統領が昨年末にオンライン形式で開いた民主主義サミットはその試みです・・・

引っ張るリーダーと支えるリーダー

2022年2月22日   岡本全勝

2月10日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」ALE・岡島礼奈社長の「メンバーの力を引き出す」から。

・・・リーダーには自分についてこいというタイプと、メンバーを支えながら進めていくタイプの2つに分けられると思います。私は完全に後者です。会社は社長の器より大きくならないと言われますが、私はそうは思いません。自分よりも優秀な人を集め、さまざまな意見を取り入れて事業を拡大させていきたいです・・・

もっとも、この会社の方向を示しているのは、岡島社長です。この発言では、謙遜しておられますが。
先頭に立って引っ張ることと、部下を前に立てて後ろから支える。この二つの兼ね合いが、リーダーや管理職の役割です。

次のようなことも言っておられます。同感です。
「リーダを目指すあなたへ」
経営者仲間、同世代の人、先輩など、様々な人からアドレスをもらうことです。修羅場を含めて実際に経験していく中で成長するしかないと思っています。生まれながらの経営者はいないのではないでしょうか。