年別アーカイブ:2022年

連載「公共を創る」110回

2022年3月6日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第110回「社会意識の変化」が、発行されました。
政府による社会への介入のうち「この国のかたち」の設定として、倫理と慣習について議論してきました。今回は、社会意識を取り上げます。ここでは、私たちの行動に表れるものを慣習とし、行動に表れないものを社会意識とします。

戦後70年、特にこの半世紀で、日本社会での寛容度は大きく広がりました。かつてはミニスカートや男性の長髪は批判される身なりでしたが、現在では許容されています。これは、国民が豊かになったこと、女性が社会に進出したこと、宗教や地域での制約が弱くなったことが背景にあります。
社会意識は政府が関与しなくても、つくられ変化するものです。しかし、政府の関与が行われる場合もあります。男女共同参画や働き方改革は、夫は仕事に出かけ妻は家庭を守るという社会意識を変えようとするものです。ボランティア活動は、政府が主導したものではありませんが、阪神・淡路大震災から若者が積極的に参加するようになりました。

課題は、社会をよくする際に問題となる社会意識を、どのように変えていくかです。
その一つが、集団主義と画一的教育です。日本人の特徴と指摘される集団主義、実は受動的なものであって、能動的には参加していません。自分を大切にして世間の目を気にする、個人主義なのです。

霞が関、統計軽視の人事

2022年3月6日   岡本全勝

2月23日の日経新聞「統計不正、再びの衝撃(3)」「知識も情熱もない 統計軽視、国の人材育成進まず」から。

・・・1月25日、建設受注統計のデータ復元を目的に国交省が立ち上げた専門家会議の初会合。委員長を務める青山学院大名誉教授の美添泰人は「この20~30年の間で予算も人員も大きく削減された」と嘆いた。「任期が短いままに異動させられることが頻発している」とも指摘した・・・
・・・国交省は常勤約3万8千人を抱えるうち統計職員は50人しかいない。問題の建設受注統計は実質的に1人で仕事をこなしていた。
経済産業省で統計に携わった職員は「通常業務と掛け持ちで負担は大きい」と打ち明ける。集計に追われる繁忙期は休日返上も珍しくない。「どこの部署も忙しく、統計業務のために応援を頼む発想はない」

予算や人員の削減の背景に根深い問題もある。国交省の検証委員会による聞き取り調査で、歴代担当者は口々に「必ずしも体調が万全でない職員や時間外労働に従事することが難しい職員が多かった」と証言した。検証委は「専門知識が乏しく、情熱もない職員にとっては先人の統計手法を踏襲するやり方は安直で実践的だった」と断じた。
専門人材の育成や職員の研修体制強化。長く指摘されてきた課題は、18年末に発覚した厚生労働省の毎月勤労統計の不正問題で改めてクローズアップされたはずだった。その後も統計を軽視し、閑職とみなしがちな風潮が変わらないままであることが今回、露呈した。
統計行政をつかさどる総務省統計委員会の委員長、椿広計は危機感を強める。「データサイエンスの人材が日本全体で枯渇している。もっと大きな問題かもしれない」・・・

『ドイツ・ナショナリズム』

2022年3月5日   岡本全勝

今野元著『ドイツ・ナショナリズム 「普遍」対「固有」の二千年史」』(2021年、中公新書)が、良かったです。先に、「西欧的価値と普遍的価値」(2月5日)で一部を紹介しました。

副題にあるように、「西欧普遍」に対して、ドイツがいかにして「固有」を生み育ててきたか、西欧を取り入れてきたかという切り口で、ドイツの歴史を見たものです。もともと「ドイツ」という国家はなく、西欧特にフランスやイタリアとの対決の中で民族意識と国家意識をつくります。
しかし、西欧を鏡にするということは、西欧の意識の土俵で生きることでもあります。今野先生が示唆しておられるように、これは日本にも当てはまります。ドイツでは「西欧的価値」と呼び、日本では「普遍的価値」と理解したのです。

1789年(フランス革命)までを「発展」、1945年までを「抵抗」、1990年までを「萎縮」、その後を「再生」と位置づけます。また、政治の動きだけでなく、政治家や学者など指導層の政治的発言や論争を分析しています。
日本はドイツと同じく、西欧との対比の中で国家を作り、戦争をして負けた国です。この本のような分析は、日本にも役に立つと思います。ただし、政治家や学者による「日本のあり方の発言」は少ないので、その点での分析は貧弱になるでしょう。

ところで、ナチスがドイツ文字を廃止し、一般的なラテン文字などを使うようになったと書かれています。ドイツ文字とは、あの髭のような特殊な字体です。日本でも、私立高校の紋章などに使われています。
私は、ナチスがドイツ文化を称揚するために、ドイツ文字を使ったと思っていたのですが。占領地で読んでもらえるようにするためと、占領地では印刷のための活字がないので、ラテン文字にしたとあります。ドイツから欧州国家になるには、普遍を取り入れることが必要だったのですね。

民間人が発明した点字ブロック

2022年3月5日   岡本全勝

歩道や駅などで見かける点字ブロック、これって日本の発明、しかも在野の発明家が作ったのです。知っていましたか。「点字ブロック、岡山が発祥 まちの発明家が貫いた信念」2月21日日経新聞夕刊。

・・・「黄色い線の内側でお待ちください」。毎朝の電車通勤で耳慣れたアナウンス。この黄色い線、「点字ブロック」は半世紀前に岡山県で誕生した。目の不自由な人たちの命綱となるブロックの歴史をたどると、半生を開発と普及にささげた、まちの発明家の姿が浮かんできた。
視覚障害者の安全な歩行を手助けする点字ブロックは正式名称を「視覚障害者誘導用ブロック」という。駅のホームや交差点で見ない日はない。あまり知られていないが、この身近な存在は55年前、岡山県で世界で初めて設置された・・・

三宅精一さんという方が、旅館業の傍ら、発明家として作ったそうです。お金儲けにならず、事業が緒に就いたら病で亡くなられたそうです。詳しくは本文をお読みください。

しゃべると腹が減る

2022年3月4日   岡本全勝

50歳になったころに、お酒の量が減り、その後も酒量は減るばかりです。他方で60歳になると、同じものを食べても、太るようになりました。基礎代謝量が減るのだそうです。
休日や在宅勤務の日は、なるべく散歩するようにしているのですが、効果はありません。毎朝毎晩、体重計に乗って確認しています。キョーコさんが「女子高生じゃあるまいし」と笑います。とはいえ、太ると、しんどいですから。

ところがある日、普通に食べて、運動もしていないのに、500グラム以上も体重が減りました。
「なんでや?」と考えたら、その日は、旧知の大学教授と2時間も話し合いをしたのです。お茶1杯でです。
これですね、理由は。講演会でしゃべると、疲れますから。しゃべっただけで、500グラム減ったわけではないでしょうが。

昔は、本を読むだけで、お腹がすきました。頭に、たくさん血が巡ったのでしょうね。最近は難しい本を読まないので、お腹はすきません。
もっとも、2日で元の体重に戻りました。