年別アーカイブ:2022年

消費者庁新採研修講義

2022年4月6日   岡本全勝

今日4月6日は、消費者庁の新採職員研修講義に行ってきました。新採職員のほか、消費者庁採用の先輩たちも数十人参加しました。
消費者庁は2009年(麻生内閣時代)にできた、新しい役所です。自前の職員採用を始めていますが、現時点では職員の多くは他の省の出身者です。
よく似た例では、かつての環境庁があります。環境庁も発足時には仕事を引き継いだ厚生省などの出身者で構成していましたが、その後の職員採用で環境庁・環境省育ちの職員が増えました。なお、復興庁はさらに新しい役所ですが、これは時限組織であり、自前の職員採用をしていません。各省からの出向と任期付き採用で構成しています。

霞が関のほとんどの省庁が、国民を直接に相手にせず、業界を相手にしています。これまでの行政の主な任務が、産業振興、公共サービス提供だったので、その手法が効率的だったのです。法務省や警察庁という取り締まりの行政はありますが、生活者、困っている国民を支援する役所はなかったのです。
産業振興と公共サービス提供を達成し、他方で成熟社会の課題が出てきています。21世紀の行政は、重心を業界育成から生活者支援に移す、移すべきだと私は考えています。消費者庁への期待を込めて話をしてきました。

構想は紙に書いて

2022年4月6日   岡本全勝

3月26日の読売新聞夕刊、石田衣良さんの「物語は余白に広がる 紙を使った小説発想法」から。
・・・原稿用紙のひとマスひとマスを手書きの文字で埋めていく。そんな小説家は今や少数だ。人気作家の石田衣良さんも、もちろんパソコン派。しかし、執筆前に構想を練る段階では紙にキャラクターの特徴や話の流れを書き込むという。なぜ、紙とパソコンを使い分けるのか・・・

・・・構想段階では、紙が持っている軽さとか自由さみたいなものがいいんですよね。ディスプレーに向かうよりは。余白が広いし、継ぎ足してどんどん広くできる。パソコンもウィンドーをたくさん開けますけど、紙の方がもっと自由に組み替えられますね・・・
・・・アイデアのメモ用には無地のはがきを1000枚くらい買ってあって、なくなれば補充。家にいるときは万年筆、外では水性ボールペンで書いていきます。
いいアイデアは机の前の壁に貼り、目につけばちょっと考えるということを繰り返します。今貼ってあるのは7、8枚。この段階では思いついたものを「こんなのつまらない」と捨てず、全て取っておいた方がいい。そういう無駄なことも紙だといいんですね・・・

白黒をつける、折り合いをつける

2022年4月5日   岡本全勝

世の中には、意見が対立する場合や、利害が反する場合があります。あちらを立てれば、こちらが立たない場合です。

新型コロナ感染対策でも、人の動きを制限すれば拡大を防ぐことができますが、それは社会活動や経済活動を止めてしまいます。ウイルスが強毒性で感染すれば直ちに重症化するのなら、厳しい行動制限をするべきでしょう。国民もそれを支持すると思います。しかし、それほどの強毒性でない場合に、どこまで行動制限をするかが議論になります。
厳しく外出を制限する案とふだん通りに生活をする案と、どちらを取るのではなく、その中間で折り合いを付ける必要が出てきます。

答が白黒の二つに分かれている場合と、右端は白く左端が黒で境目がなく次第に色が濃くなっている場合があります。
時代劇にあるような善人(庶民)と悪人(越後屋と悪代官)がはっきりしている場合は分かりやすく、最後に悪人がやっつけられると、見ている人もすっきりします。数学の問題で足し算や引き算も正解と間違いがはっきりしていて、答は100点か0点かです。
ところが、私たちの日常生活は、白黒がはっきりしている場合は少なく、どこかで折り合いをつけなければならない場合が多いのです。正解は一つに決まりません。

そのような演劇を見慣れている人は、早く結論を求め、白黒を付けることを望みます。込み入った事情を説明すると、イライラします。また、学校での正解がある勉強になれている人は、正解があると思い込みます。
残念ながら、現実世界はそうなっていません。だから、分かりやすい演劇が好まれ、明快な学問が好まれるのでしょう。

「今」を闘う7人の外相

2022年4月5日   岡本全勝

4月3日の朝日新聞「日曜に想う」は、曽我豪・編集委員の「「今」を闘う7人の外相」でした。

・・・将軍たちはひとつ前の戦争を戦う、という。勝利を約束するはずの戦略は既に古びて、逆に時流を見誤る。日本の満州事変もドイツの2度の世界大戦も米国のベトナム戦争も、彼我の戦力差に基づく戦略への過信が国策を誤らせた。
ウクライナ侵攻において古い戦争を起こした「将軍」は、69歳のプーチン・ロシア大統領に他ならない。軍事力により版図拡大を図った国家戦略が、ネットにより国境を超えて連帯した国際社会の反抗を蹴散らせる時代ではなかった・・・
・・・他方、前ではない今の戦略を持ち得たのは例えば、G7(主要7カ国)の外相会合に集った政治家たちだったろう。
年齢を順に記せば、フランス74、日本61、米国59、英国46、カナダ43、ドイツ41、イタリア35。アラフォー世代が目立ち、女性も英加独で3人いる。2番目に年かさの林芳正外相は証言する。
「初対面でまずはSNSのフォロワー数を尋ね合う世代だ。ただ、ここで権威主義国家の横暴を許せば取り返しがつかない、民主主義国家の知恵を出すのは今だ、という共通のリアリズムがある」
確かに、バイデン米政権によるロシア軍の機密情報の積極開示にせよ、国際決済網からロシアの銀行を締め出す経済制裁にせよ、前例のない対抗措置はいずれも「今」を意識した知恵の産物だった・・・

・・・思えば、ほんの少し前まで民主主義はその「使い勝手の悪さ」ばかりが強調されたのではなかったか。
ともすれば、合意形成に時間と労力がかかり過ぎ、民意と隔絶すると政治不信が、民意に迎合すればポピュリズムが危ぶまれた。コロナ禍を巡っては権威主義国家の優位性が指摘され、中国はそれを大国への道のよりどころとする。
それもまた、ひとつ前の古い思い込みに出来るか。非軍事の連帯を紛争解決のモデルとする道は、民主主義の優位性を固め直す道でもある。平均年齢約51歳の7人の外相はその闘いの最中にいる・・・

判断の4類型

2022年4月4日   岡本全勝

私たちが物事を決める場合に、いくつかの手法があります。よく考えて決めたとか、好き嫌いで決めたとかです。

さまざまな手法があるのですが、次の4つに分類すると、わかりやすいのではないでしょうか。
1理性(弁別)=冷静に考え、自分が正しいと思う、あるいは社会で正しいと思われることを選ぶ。
2欲望(利害)=欲得を考え、自分に得になることを選ぶ。
3感情(好悪)=好き嫌いで選ぶ。
4慣習(惰性)=いつもと同じものを選ぶ。

私は、仕事では1を心がけていますが、ビールを選ぶ場合は4です。俳優などは3で、ものを買うときは2です。毎日の生活で一つ一つ1を使っていては、時間がかかります。多くの人は、たいがいは4で済ませています。

重要なのは、どの局面でどの判断類型を使うかです。
仕事の際に2を使うと、下品になります。3を使うと、よい組織になりません。時に、それを間違う人がいます。