子ども食堂6000か所

7月23日の日経新聞1面「データで読む地域再生」は「子ども食堂、6000カ所超 世代超えた交流拠点に」でした。
・・・子どもに低額や無料で食事を提供する「子ども食堂」が広がってきた。2012年に東京都内でボランティアが始めた取り組みが自治体や民間企業などにも担い手を広げ、21年には全国6000カ所を超えた。沖縄県、滋賀県などで加速する。経済的困難を抱える世帯の支援にとどまらず、幅広い世代が集う場としても欠かせない存在になりつつある・・・

・・・沖縄県は子どもの貧困への危機感が極めて強い。15年に県が実施した調査で3人に1人程度(29.9%)が貧困状態との結果が示され、対策が本格化した。県は16年、30億円の「子どもの貧困対策推進基金」を創設し、国も10億円の予算を確保した。
市町村はこれらを原資に食堂の規模に準じた補助金を交付する。21年10月時点の子ども食堂は241カ所と、18年比114カ所増えた。那覇市社会福祉協議会の担当者は「財政支援に加え、自治体と社会福祉協議会の担当者が連携を強めたことなどが奏功した」と説明する。
2位の滋賀県、3位の鳥取県でも行政が支援に取り組む。滋賀県では制度や財政面で後押しする体制を整えた。助成金のほか、営業許可を特例で免除し、開設のハードルを引き下げた。鳥取県では食材費なども補助対象とした。
18年から21年にかけて食堂を最も増やしたのは山口県で7.9倍となった。保険加入や講習の参加など一定の要件を満たせば食堂を開設できる独自の登録制度を設け、手続きの負担を軽減した。

子ども食堂は交流拠点として幅広い役割を併せ持つ。東京都健康長寿医療センター研究所の村山洋史研究副部長は「コミュニティーが醸成されている地域ほど食堂が多い傾向がある」と指摘する。
同研究所は全国約2万5000人を対象に地域の協調性や信頼関係を測るソーシャルキャピタル(SC)と呼ばれる指標を算出し、20年の各都道府県の子ども食堂数との相関を分析した。「地域の人は信頼できる」と答える人が多かった高知県や鳥取県などは、人口あたりの食堂数の割合も高かった。
鳥取県の子ども食堂では子どもと運営ボランティアの信頼関係が強まったことで「家庭内で困っていること」などの本音を引き出し、直接的な世帯支援につなげた。Uターンなどで地域との関わりが乏しくなっていた母子世帯の母親が地域住民とのつながりを育んだケースも多い。
「とっとり子どもの居場所ネットワーク”えんたく”」の福安潤一コーディネーターは「食堂は年代を問わず、住民間の孤立を防ぐ役割を果たしている」とみている・・・
子ども食堂の活動」「こども食堂