年別アーカイブ:2021年

連載「公共を創る」第84回

2021年6月25日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第84回「社会の課題の変化―成熟社会が生みだした孤独と孤立」が、発行されました。

本稿では、成熟社会になって生まれて新しいリスク、人間らしい生き方への被害を、格差と孤立として整理しています。
前回まで、格差について説明したので、今回から孤立について説明します。

一人で暮らすことは自由であり楽しいことです。しかし、さみしさを感じると孤独になります。他者とのつながりが薄くなった場合です。
それがひどくなると、孤立になります。一人で悩んだり、助けを求めることができない場合です。一人暮らしでなくても、引きこもりになると孤立です。
孤立や孤独の問題は、近年「発見」されたものですが、最近でも、若年介護者(ヤングケアラー)が「見つかり」ました。

朝日新聞ポッドキャストに出ました

2021年6月24日   岡本全勝

朝日新聞ポッドキャストに出演しました。「霞が関とNPOは、社会を支える仲間だった 「官邸の怪人」が受けた衝撃」(6月24日配信)。秋山訓子さんのインタビューです。ポッドキャストは、インターネットで聞くラジオです。私のような元官僚の話を誰が聞くのか、疑問はあるのですが。36分にもなります。
・・・かつて政権の中枢を支えたこともある元復興庁事務次官の岡本全勝さんは、東日本大震災の現場でNPOの働きに目を見張ります。行政がNPOを「使う」のではない、社会を共に支える存在だ。現場で何があったのか、秋山訓子編集委員が聞きました・・・

官僚だった私が、どのようにして非営利団体と親しくなったのか、復興行政で非営利団体とどのように協働したのか。その点を、お話ししました。
今となっては、非営利団体と行政との協働は普通ですが、10年前はそうではありませんでした。行政にとって、非営利団体はかつての呼び方では市民活動団体であり、別の世界の人たちでした。いまなら許されるでしょうが、行政にとっては異議申し立てをする「やっかいな人たち」と思っていました。いまでも、そう思っている人もいるでしょう。

10年経って、地域おこしや子どもの貧困など孤独問題において、非営利団体は、なくてはならい存在になりました。行政も、当初から彼らをアテにしています。先日も、湯浅誠さんと、そんなやりとりをしました。
「水と油が混ざった」と表現してもよいでしょうか。大震災時の被災者支援、復興という過程において、彼らとの協働を進めたことは、私にとって大きな発見と挑戦であり、いささか自慢です。

朝日新聞のポッドキャストは、たくさんの人が聞いているとのことです。多くの人は何かをしながら、聞いているのでしょう。
ところで、朝日新聞のポッドキャストのページには、記事になったものだけ掲載され、私の出演した番組は出てきません。番組表のないラジオなのですね。誰がどのようにして見つけるのでしょうか。不思議です。この項続く

連載「公共を創る」執筆状況報告

2021年6月23日   岡本全勝

恒例の、連載「公共を創る 新たな行政の役割」の執筆状況報告です。続きを書き上げ、右筆たちに提出しました。第4章1(2)「新しい不安への対応」のうち、「変わる安心提供の手法」についてです。

格差と孤立といった、社会生活の新しく生まれている不安は、これまでの政策では効果が少ないです。失業対策では、非正規雇用格差は是正されません。引きこもり、社会保障給付では、自立につながりません。これまでに書いてきた、これら新しい不安への対策について、何が変わるかを整理しました。

もう一つは、私が提唱している「生活省構想」です。
行政の主要な課題が、インフラやサービス提供から、生活の不安に変わっています。政府も、孤立など社会生活問題に取り組んでいますが、バラバラです。これらを、一つの省にしようというものです。
これまでの省庁は、生産者や提供者側でした。これれに対抗して、生活者を軸にした省をつくって、国民に政策をわかりやすく提示し、また行政の変化を象徴したいのです。

先月に7月掲載分を書き上げたときは、余裕だったのですが。時間はあっという間に過ぎます。遂に追い込まれて、早朝の頭のさえている時間帯と、夜のビールを控えて夕食後に執筆しました。事前のめどでは、今回は分量も少ないはずでしたが、どんどん膨らんで。書き終えると、400字詰め原稿用紙で60枚にもなりました。
ひとまず、右筆たちに提出して、ほっとしています。右筆さん、よろしくお願いします。

ところが、この余裕がくせ者なのです。「まだ時間があるわ」と思っているうちに、時間が過ぎていきます。たぶん来月の今頃も、「追い込まれています」と同じことをぼやいているでしょう。そうならないように、ぼちぼちと次の執筆に取りかかりましょう。

宇野重規教授「民主主義の危機」

2021年6月23日   岡本全勝

6月17日の朝日新聞オピニオン欄、宇野重規・東大教授のインタビュー「民主主義を信じる?」から。
・・・民主主義の危機があちこちで語られている。ポピュリズムの広がり、日本政治の現状、権威主義体制の台頭、巨大プラットフォーム企業の影響の高まり……。背景に様々な動きがある中、政治学者の宇野重規さんに聞いた。危機の本質は何ですか? 本当に危機なのですか? そして、民主主義を信じられますか?・・・

――昨年10月、日本学術会議の会員に推薦されたのに菅義偉首相から任命を拒否されました・・・学問の自由、日本学術会議法の問題として批判されました。民主主義とつながりますか。
「政権が判断の理由を一切説明しなかったことが問題だと考えました。各人が自分の判断や意見の理由を説明するのは、民主主義が機能するための基本的な条件だからです。私個人の任命拒否が妥当かどうかとは別問題です」
「なぜそう考えるか。どんな判断・意見であっても、まずはその理由が示されることで、議論が始まります。今回の問題であれば、政権が理由を明らかにして初めて、世論の側から疑問や批判も生まれる。政権側もさらに応答していく。こうした意見の応酬こそが、民主主義の基盤なのです」
「民主主義は短期的には誤った結論を導き出すこともあります。ただ、多様な意見が示され続ける社会であれば、振り子のように修正がきく。一方今回のように『理由の提示』がない状況では、健全な論争ではなく、臆測と忖度が誘発される。結果的に、言論や学問の自由も損なわれてしまいます」

――ポピュリズムや権威主義体制の台頭も「危機」と言われます。警鐘を鳴らすのは重要ですが、常に「危機だ」と言われると釈然としない部分があります。
「『オオカミ少年』のように見えてしまうということですよね。ただ、私はいま『これまでの危機』とは違う局面にあると考えています。民主主義の基本的な理念の部分が脅かされているのです」
「私たち自身の中に、『平等な個人による参加と責任のシステム』自体を否定する感情が生まれつつある。自分たちが意見を言おうが言うまいが、議論をしようがしなかろうが、答えは決まっている。ならば誰か他の人が決めてくれればそれでいい――そういう諦めの感覚に支配されること。これこそが民主主義の最大の敵であり、脅威だと思います」

コロナワクチン接種第1回目

2021年6月22日   岡本全勝

今日22日、新型コロナウィルスのワクチン接種第一回目に、近くの区の施設に行ってきました。65歳以上枠で、杉並区から通知が来たのが、5月の連休明けです。インターネットで申し込んだら、今日になりました。
私の接種は、よそ向いているうちに終わって、どんな注射器なのか見損ねました。

既に経験を積んでいるからでしょう、円滑でした。入り口での誘導、待合、受付、予診、接種、経過観察、終了確認と、導線も係員も良くできていました。
いろいろな方が受けに来ます。車いすの人、高齢者で子どもさんが付き添っている人、耳が遠く聞き取りにくい人、心配で待っている間に係員にいろいろ話しかける人、ワクチンの仕組みや効果を聞く人。
高齢者で、たぶん一人暮らしの人も多いのでしょう。相談する相手がいないので、ここで聞いているのでしょう。係員は手慣れたもので、上手に相手をしていました。

各所に案内掲示がありますが、次のような言語が並んでいました。
やさしい日本語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、タイ語、ベトナム語、シンハラ語、インドネシア語。なるほどね。今は65歳以上枠なので、まだこれらの人は来ていないとのことでした。
次回は、明日予約できます。