年別アーカイブ:2021年

親ガチャという不平等

2021年10月20日   岡本全勝

10月14日の朝日新聞オピニオン欄は、「親ガチャという「不平等」」でした。
・・・「親は選べず、親次第で人生が決まってしまう」。そんな人生観を表す「親ガチャ」を巡り、論争がわき起こった。SNSのスラングとされるこの言葉になぜ人々は反応するのか・・・

土井隆義・筑波大学教授の発言「実は親でなく社会の問題」から。
・・・親ガチャを巡っては、「自分の努力不足を親のせいにするな」という中高年に対し、若い世代は「分かっていない」と反発しています。
私は、世代間の認識ギャップとして、この問題を理解する必要があると思います。
まず努力の認識が世代によって違います。日本経済が大きく成長していた1990年代までを体感した中高年は、進学・就職・昇進などで自分のなした努力以上のリターンを得ることができた。一方、30代以下は経済成長率が1%台の世界を生きてきた世代です。努力しても、そのリターンは小さなものになっている。「人生は努力する価値がある」と言われても、「努力して成果があるのか」と疑念が先に立ってしまうのです・・・
・・・私は、親ガチャという言葉で自分の境遇を憂える若者にも、認識上の錯誤があると考えます。格差は私たちが作る社会制度によって解消されるべきものだからです。社会の問題を、個々の家庭の問題にすり替えてはいけません。
若者自身も、この状況を改善するため、社会に対して声を上げてほしいと思います・・・

五十嵐衣里・東京都議会議員・弁護士の発言「「頑張れば」は呪いの言葉」から。
・・・自分の置かれた境遇を嘆く人に対し、「頑張れば成功できる」と説く人はたくさんいます。私はこの言葉は「呪いの言葉」だと思っています。貧困を生んでいるのは政治や社会なのに、個人に責任を押し付けているからです。
私はたまたま勉強が苦でなく、勉強できる環境も整っていました。でも、環境が整っていない人や、何を頑張ればいいかわからない人もいます。そんな人たちにも、あきらめを強要する言葉です・・・
・・・政治の役割は家庭に恵まれなかった人のために環境を整えることです。必要な知識や技術を身につける学びの場を増やし、金銭的支援もする。多様な経歴や背景を持つ人たちが政治に関わり、それぞれの視点で支援策を提案していければ、「親ガチャ社会」を変えられるはずです・・・

教科書を覚える教育

2021年10月20日   岡本全勝

10月12日の日経新聞教育欄、中山迅・宮崎大学教授の「理科教育の課題 「科学とは」授業で欠落」から。

・・・経済協力開発機構(OECD)が15年、高校1年生を対象に行った学習到達度調査(PISA)で「科学とは何か」に関する認識を調べた結果も気になる。
その内容はこうだ。科学の特徴には、観察や実験から得られた証拠に基づいて真偽が決定される「実証性」▽同じ条件で何度繰り返しても同じ結果が得られる「再現性」▽定説とされる理論や法則も新しい発見があれば覆される可能性があり、「正しさ」は当面のものであるという「暫定性」――などが含まれる。
「何が真実かを確かめるよい方法は、実験することだ」という見解への賛否を尋ねる形で実証性に関する認識を調べたところ、この見解に賛成した日本の高校生は80.6%だった。
同様に「発見したことを確認するために、実験は2度以上行った方がよい」(再現性)には81.2%、「科学の本に書かれている見解が変わることがある」(暫定性)には76.9%しか賛成していない。数値だけ見ると高い割合と感じるかもしれないが、他国と比べると実は日本は最も低いグループに位置している。

例えば米国は実証性には90.0%、再現性には91.7%、暫定性には86.8%がそれぞれ賛成している。教科書に書いてあっても新事実の発見で学説が変わりうることは自然科学では当たり前であり、それこそが科学の発展の一部なのに、そのことを認めない若者が無視できない割合でいることに驚かされる。
どうも教科書の内容を絶対視しすぎているようなのである。日本人は全体的に高い科学的知識があるが、科学の本質についての理解が十分かというと、そうでもない。
原因の一つは学校の教科書に「科学とは何か」を教える内容が乏しいことにある。学習指導要領に、学習すべき内容として明記されていないため、教科書でもほとんど触れられていない・・・

コロナ対策に見る指導者像

2021年10月19日   岡本全勝

10月14日の朝日新聞デジタル「尾身氏が描くリーダー像とは…合理性と意思と言葉、あと「もう一つ」」から。

――菅義偉前首相のコロナ対策をどう評価しますか。
「前首相、政権も含めて全身全霊で頑張られたと思います。真摯に誠実に取り組まれた。敬意を表したいと思います。そのうえで、私の立場からみて不十分だったと感じたのは、分科会の提言をとりいれないと判断した場合の国民への説明です。分科会と政府の考えにときに違いが出るのは当たり前です。ただ、目標は同じなのか。別の目標があるのか。目標は同じだけど方法が違うのか。もっと説明があればよかったと思います」

――どんな時にそう感じましたか。
「観光支援策Go To トラベルの一時停止を求めたときや今年6月、東京五輪について無観客開催が望ましいと求めたときのことはよく覚えています。五輪に関連するリスクをどう認識し、いかに軽減するかなどを納得できるよう市民に知らせてほしいと政府などに求めましたが、十分ではなかったと思います」

――科学と政治の関係は長く議論されてきました。限界を感じますか?
「限界は感じました。ただしコロナで始まったことではなく、2009年の新型インフルエンザの時もその前も。各国みな、衝突したり仲良くしたり。専門家と政府の距離感に苦労しているのです。専門家の意見とは何なのか。政府がどう判断して採用したのか、しなかったのか。政府と専門家のありかたについて、何らかのルールづくりが必要でしょう」

――リーダーシップの重要性をよく口にされます。コロナ禍のいま、リーダーに何を求めますか。
「危機におけるリーダーは、非常に複雑で困難な問題に直面するわけです。多くの人々が不安や不満を感じている。でも答えがいくら難しくても、大きな方向性は絶対に示さないと。戦略と言ってもいい。合理性や根拠をまず求めます。2番目に、それを実行する意思が必要になります。3番目は、この人についていきたいという感覚。共感を得られる発言でしょうか」

――司令塔が見えにくい問題もありました。
「地域医療は、地方分権のもとで都道府県が一義的に責任を持ち、国が直接言えるようなシステムになっていません。しかし今回のような有事には、全体に関係することについては、国による大きな意思決定が必要になってきます。地方と国の役割分担、責任、どちらが最終決定するかについてもあいまいだった部分がある。結果、にらみ合いのようなことが起きてしまった」

――平時と有事の切り替えがうまくいかなかったと。
「平時と同じやり方のままでは意思決定が遅れ、アクションも遅れる。有事には国がリーダーシップをとらないと動きが遅いし、統一的な整合性のある施策にならない。有事向けの仕組みや法的な体系、ルール作りが必要です。指揮命令系統と役割分担を明確にしないと。保健所や検査、医療体制の問題も早くから認識はされてきた。だが、誰が責任をもって指揮、実行していくのか、はっきりしていなかった。そしてもう一つ。自治体と国の間に、情報共有が進まなかったことも大きな反省点です」

進化する職場の机配置

2021年10月19日   岡本全勝

10月11日の朝日新聞夕刊「凄腕しごとにん」は、「岡村英司さん 刷新したオフィス、5万坪」でした。良くない例として、役所の机配置が出てきます。

・・・カフェの周囲に、机を不規則に並べた。出入り口の数は絞り、動線をコントロール。一見、使いづらそうだが、社員同士が立場や部署を超えてふれ合いやすい。
まるで家のリビングのようなオフィスは、顧客企業である金融機関からの依頼でデザインした。合併で大きくなった金融機関から、旧組織の出身者の間にある心理的な距離を縮めたい、との要望があった。
オフィスのデザインを受注したら、顧客企業の経営者に必ず聞く。「どんな会社にしたいのか」「何を実現したいのか」・・・

・・・親会社の三井不動産でオフィスの営業をしていた10年ほど前までは、空間デザインとは無縁だった。がらんどうの建物に客を案内し、部屋のスペックを説明し、貸し出す仕事を重ねた。貸出先では役所のような島型のデスクを多くの社員が囲んでいた。社員管理が優先され、働き手が不自由に見えた。
雑誌で紹介された米国のIT企業のオフィスに衝撃を受けた。真ん中の吹き抜け空間に、らせん階段があった。階段の中心にいる社長が社員に対し、経営方針を肉声で伝えるためのデザインという。
オフィスをただ貸すのではなく、新しい価値を提供したい――。担当するオフィスビルにさっそく家具を持ち込み、モデルルームを作った。見よう見まねで始めたオフィス改革が、いまや本業となった。
人と人がフラットに出合い、リラックスして話すと、アイデアが生まれ、イノベーションが加速する――。世界中のオフィスをめぐって得た確信だ・・・

市町村アカデミー学長の仕事

2021年10月18日   岡本全勝

学長に就任したばかりなので、関係者への挨拶回りをしつつ、事務説明を受けています。今日は、入校式で挨拶をしました。
今日から、3つの研修が始まりました(リンクがうまく飛ばないときは、「研修一覧」の上にある「月別」の10月を開いてください)。「管理職を目指すステップアップ講座」「公共交通とまちづくり」「環境保全の推進」です。先週は、「感染症の危機管理対策」という研修もありました。

この夏は新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい、いくつかの研修が中止になりました。オンラインでできるものは、それに振り替えているのですが。市町村アカデミーは、集合研修を基本としています。全国から集まったほかの市町村職員と議論をすること、ネットワークを作って持って帰ってもらうことが、大きな柱なのです。

もちろん、入校に当たっては対策をしてもらい、学校側も十分な対策を取っています。初めて会った人たちが親しくなるには、お酒も重要なのですが、禁止です。
宿泊室は個室で、風呂トイレもついているので、その点も大丈夫です(10年ほど前に改修しました)。室内の様子を360度画像で見ることができます。

ところで、「管理職を目指すステップアップ講座」には、たくさんの女性職員が参加していました。かつては、管理職と言えば男性がほとんどでしたから、男女共同参画が進みつつあることを実感しました。