年別アーカイブ:2020年

在宅勤務が変える仕事の仕方2

2020年4月23日   岡本全勝

4月15日の日経新聞オピニオン欄、水野裕司・上級論説委員の「テレワークを阻む壁 時代遅れの時間管理」から。

・・・新型コロナウイルスの感染拡大抑制策として、会社に出勤せずに働くテレワークが広がってきた。自宅で仕事が進むかどうか不安だった人からも「実践してみると、意外にいける」という感想をよく聞く。デジタル技術を使い、会議や打ち合わせもオンラインでできるのは便利だ。
通勤が不要になる利点は大きい。総務省が5年ごとに実施する社会生活基本調査によると、2016年の通勤・通学時間(往復)は全国平均で1時間19分。首都圏の1都3県が1位から4位までを占め、トップの神奈川県は1時間45分にのぼった。これだけの時間を省けるうえ、通勤ラッシュで疲弊せずに済む。仕事の効率は上げやすくなる・・・

・・・しかし一方で、テレワークをやりにくくさせているものもある。労働時間を厳格に管理しなければならないというルールだ。
労働法上、使用者(会社)には労働者が働いた時間を把握・管理する責務があり、これはテレワークでも変わらない。自宅にいれば仕事を中断することがしばしばあるが、在宅勤務をする人は原則として、始業・終業時刻はもとより業務から離れた時刻や戻った時刻をその都度、記録する必要がある・・・
・・・こうした厳正な労働時間の管理は、労働といえば工場で働くことを指していたときから続く仕組みだ。
戦後間もない1947年に施行され、労働時間や賃金の制度を定める労働基準法は、働く時間と生産量が比例する工場労働を前提としている。働いた時間は賃金を決めるための物差しであり、その正確な把握は必要不可欠だった。
ところがデジタル化を中心とした産業構造の変化で、働いた時間と成果が比例しない仕事が急増している。定型作業を除けば、労働時間を賃金算定の基準にすることは理にかなわない。時間管理の意味は薄れているといえる。
労務管理が「集団」から「個」へと変化してきたこともある。工場労働なら、製造現場に集合した従業員を管理者が直接、指揮命令下に置け、労働時間の把握が容易だった。働き方が多様化し、働く場所が会社の中とは限らない現在は、時間管理を徹底しようとしても限界がある・・・

・・・働いた時間の長さでなく、どんな成果を出したかで賃金を決める仕組みを広げていくべきだろう。
労働時間の把握には働き過ぎを防ぐという重要な狙いもある。仕事の時間配分を自分で決める裁量労働制でも、会社が日々の就労状況を把握しなければならないのは、社員の健康管理のためだ・・・

コロナウィルス対策、自治体と国との協力

2020年4月22日   岡本全勝

コロナウィルス対策を、国と自治体が力を合わせて実施しています。全国知事会と国とも意見交換を行っているようです。4月17日の際に「全国を対象とした「緊急事態宣言」の発令を受けての緊急提言」が出されました。そこに、次のような文章があります。

6 地方における円滑な執務体制の確立
・・・また、各省庁からの通常業務に係る照会への回答等が各都道府県の職員の大きな負担となっていることから、こうした通常業務については休止・延期するなど、全都道府県が新型コロナウイルス対策に全力で取り組めるよう、国においても配慮すること・・・

自治体現場、自治体職員にとっては、とても重要なことだと思います。
各府省の公務員は、それぞれの仕事を完璧にこなそうと、さまざまな資料を集めます。また、自治体に文書を送ります。それぞれは小さな業務でも、それが積み重なるととんでもない量になるのです。
今回のコロナウィルス対策では、ふだんでも目一杯の仕事を抱えている部署に、すごい量の照会やら指示が来ていると想像されます。それを処理できない自治体現場では、パンクしてしまいます。
限られた職員と時間の中で、どれを優先するか。国の側で優先順位をつけることも難しいでしょうから、受けた自治体側の判断になります。すると、文書は机の上、パソコンの中に放置されることになりかねません。

在宅勤務が変える仕事の仕方

2020年4月21日   岡本全勝

在宅勤務の処方箋」の続き、会社側の課題です。

20日の日経新聞は、「職場には戸惑いの声 時間管理「難しい」68%」が載っていました。エン・ジャパンが中小企業491社を対象に実施した調査です。
それによると、テレワークの導入で難しかったこと(複数回答)は「社員の時間管理」が68%と最多。このほか「利用条件の設定」や「業務ルールの設定」「社員への指導・業績評価」などです。
よかったことは、「通勤困難の社員が継続して働ける」「業務効率の向上」「多様性のある働き方を選べる」などだそうです。

在宅勤務は、仕事の仕方を変えるよいきっかけです。
4月14日の読売新聞夕刊に、柳川範之・東大経済学部教授へのインタビュー「働き方 今こそ変える!」が載っていました。柳川先生は、このページでも紹介したことがあります。独学で大学に進みました。「柳川範之・東大教授の独学勉強法

・・・柳川 もし今、このIT技術がなかったとしたら、どんな隔離生活になっていたか。無理して会社に行くか、家でじっとしているしかなく、かなり悲惨な事態になっていたはずです。それがこの技術があるからこそ、家でもある程度、仕事や勉強もでき、ネットでの注文や医療もできる。
会社に行けないから、仕方がなくオンラインで仕事するという空気もありますが、変革の契機と前向きに考えたほうがいい・・・

・・・柳川 第一に、働くイコール会社に行くこと、と思ってきた人は、意識を変えざるを得なくなる。家で仕事をするからには、それぞれがすべき仕事の中身を、自分で考えざるを得ない局面が増えるからです。
——部下を怒り、駄目出しばかりしていた人、「仕事が忙しい」と深夜帰りしていた人が家でガミガミ、ゴロゴロしていたら、仕事の内実がバレそうですね。
柳川 怒ることが必要な局面もあるでしょうが(笑)、オンライン会議になると大事な会議だけ開催することになるので、いらぬ説教は減るでしょう。
——在宅勤務は公私の区別がつきにくく、長時間労働が懸念されています。ストレス蓄積で虐待、DVの増加も心配されています。
柳川 技術革新の時代にあって、失敗がない体制をつくってから動こうとする日本は、米中に比べて対応が遅いとされてきた。しかし、もはやできる範囲でテレワークをせざるを得ない以上、やりながら真剣に試行錯誤するしかない・・・

仏教の変遷

2020年4月21日   岡本全勝

佐々木閑著「集中講義 大乗仏教  こうしてブッダの教えは変容した」(2017年、NHK出版)を読みました。これは、別冊NHK100分de名著シリーズの一冊です。

紹介に、次のように書かれています。
・・・同じ仏教なのに、どうして教えが違うのですか?
自己鍛錬を目的に興ったはずの「釈迦の仏教」は、いつ・どこで・なぜ・どのようにして、衆生救済を目的とする「大乗仏教」へと変わっていったのか・・・

釈迦が説いた仏教と大乗仏教(日本で信仰された仏教)とが全く違ったものであることが、よくわかりました。そして、なぜ大乗仏教に転換し、それが民衆に受け入れられたかも。というか、民衆に受け入れられるために、大乗仏教に転化したのでしょう。その中でも、奈良仏教から天台宗、真言宗、浄土宗、禅宗、日蓮宗と派生していったことも、よくわかります。

さらに知りたいことがあります。
仏教そして宗教に、関心を持っていました。人類の歴史で、長い期間そして多くの人をとらえてきた宗教。それを知りたかったのです。いくつか本をかじりましたが、よくわかりません。不勉強もあるのですが。
私の不満は、宗教について書かれた本の多くが、教団・聖職者側から書かれていることです。教義、教祖の教え、実践すべきことが書かれていますが、それを信じた民衆の側からの記述ではないのです。個人の側から書かれているとすると、ある人が宗教心に目覚める、悟りを開く話です。
この項続く