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世界をリードする教育研究を

2020年6月9日   岡本全勝

6月8日の日経新聞教育欄、大西隆・東大名誉教授の「国立大学の使命 教育・研究で世界をリード 日本の優位性見極め/政治と大学人が対話を」から。詳しくは、原文をお読みください。

・・・筆者には、政治やその有力なバックボーンとしての産業界と国立大学の対話不足という現実があるように思えてならない。少子化が進み、英語が教育・研究言語としてさらに普及して優秀な学生の国際流動性が次第に増している現実のもとで、国立大学の多くは、現在のままの運営を続けていけばいいとは考えていない。

日本が比較優位に立つ分野を見極め、国際競争力のある、つまり教育と研究で世界をリードする大学へと改革していかなければ、日本の将来も大学の将来も暗いと考える学長や大学人は少なくない。さらに付言すれば、筆者のような工学分野では、とりわけ情報化をふんだんに取り入れたモノづくりへの応用が、日本が世界から一目置かれており、世界の若者が日本で学びたいと考えている分野だと思っている。

既に実績も上がっている。3月まで学長を務めた豊橋技術科学大学でも全学生の14%程度が留学生であった。また、表のように、全分野で世界に約400万人いる留学生の中で、日本着の留学生は日本発の4.4倍であり、英語圏に次ぐ人気国である。
とはいえ絶対数はまだまだ少ない。日本は自由貿易の重要さを標榜するのであるから、それを支える国際的な人材育成を日本の得意分野で進めることが国益にかなう。この点を日本の大学は重視すべきであり、国も特に国立大学を活用し、そのために運営費交付金を重点的に投入すべきだ。

日本の大学が進むべきこの方向性について、政治リーダーと大学人が対話を通じて、共有することが急務である。もちろん、工学分野だけが重要というのではない。医学、農学、理学、さらには人文社会科学等の中にも日本が優位に立てる分野があるだろう。
もし政府の諸会議が大学、とりわけ国立大学の運営形態にばかり目を向け、その果たすべき役割を見失うとすれば、無益な議論を重ねることになる・・・

各国の留学生の受け入れと送り出しとの比率が、表になっています。アメリカ16.2、イギリス14.7は別格として、日本は4.4です。フランス2.7、ドイツ1.9より多いのです。
韓国0.5、中国0.1です。

石舞台古墳の画像

2020年6月8日   岡本全勝

このホームページ「私の略歴」に貼り付けてある、石舞台古墳の写真を新しくしました。略歴欄を作ったころに貼り付けた写真なのですが、画像が粗く、良いものにしようと考えました。
明日香村の村長に相談したら、村が持っている写真を紹介してくれました。そんなたいそうな写真でなくても良かったのですが。

教育委員会が貸し出し用に、いくつも持っています。その中から選んで、申請して許可を得ました。画像はポスターにも使えるような大きなデータなので、私のホームページに載せるために、小さくしました。ありがとうございます。

子供のころは、この巨石の上に登ることができました。ある方向からだと、子どもでも楽に登れるのです。今は、登ることは禁止されています。

人との接触が仕事を進める

2020年6月8日   岡本全勝

6月7日の日経新聞1面コラム春秋から。

・・・人が幸せと感じる度合いを測る技術がある。開発したのは日立製作所だ。気持ちが弾んだり、軽やかな気分になったりすると、無意識のうちに微小な体のゆらぎが表れる。その動きをスマートフォンに内蔵したセンサーがつかみ、心の状態をデータで示すというものだ。

開発リーダー、矢野和男フェローの分析によれば、メンバーが幸せを感じる職場にはいくつかの特徴がある。対等な人間関係があって、5分程度の短い会話が頻繁に交わされている、話すときは体の動きも相手に同調させながらが多い……。そう、これらは人と人とが濃厚に接触する「3密」の状態と、かなり重なるのだ。

人は置かれた状況への満足度が高いほど、いい仕事ができ、能率も上がるといわれる。生産性が高まる状態が、新型コロナウイルス対策で避けなければならない環境とは困りものだ。急速に広がる在宅勤務は通勤時間が不要になり、仕事の効率を上げやすいのが利点だが、生産性の向上には限界もあるということだろうか・・・

緊急事態宣言から2か月

2020年6月7日   岡本全勝

4月7日に、東京などに緊急事態宣言が出されてから、2か月が経ちました。地域別に、また行動別に、規制が緩和されつつあります。少し振り返ってみましょう。社会の問題はマスコミに任せるとして、身の回りのことです。

仕事については、自宅勤務が推奨されました。皆さんの仕事の仕方も、変わったのではないでしょうか。やってみると、意外とできるものですね。もちろん、すべてを自宅でできるものではありませんが。そしてこのページで書いているように、仕事の仕方の見直しが進むでしょう。「在宅勤務が変える仕事の仕方4
しかし、自宅勤務は、生活にメリハリがでません。朝ネクタイを締めて出勤することが、体に染みついているからでしょう。

外出自粛は、しんどいですね。本屋や商店が閉まっているのは、困りました。
夜の意見交換会は、4月から自粛しているので、2か月以上飲みに行っていません。やればできるものです。家では、毎晩のように飲んでいますが、量が行きません。太るかと思ったら、健康生活で体重は少し減りました。キョーコさんの料理のおかげです。
天気の良い日は、夕方に散歩を続けました。家に引きこもっていると、運動不足になりますから。人通りの少ない道を選んで、1時間から1時間半ほど。ゆっくり歩いても4Kmから6Kmくらいは、歩いていることになります。ビールをおいしくするためです。

元通りの生活には、まだまだ戻りませんね。治療薬も予防薬も、まだできていません。一時よりも感染者数は減りましたが、まだ断続的に発生しています。知らないうちに感染して免疫ができていた、とはなりませんかね。
マスクは日常になり、このあと半年や1年は外せそうにありません。柄物の布マスクをしている人が、増えてきたようです。いずれ、オシャレになるでしょう。

社会では、大きな被害をうけた生業と経済、生活が苦しくなった家庭など、広範囲に影響が出ています。まずは、感染に気をつけつつ、生活を取り戻すことが重要です。

世界を覆う「まだら状の秩序」

2020年6月6日   岡本全勝

雑誌「アステイオン」第92号、特集 世界を覆う「まだら状の秩序」。池内恵さんの「すばらしい「まだら状」の新世界」から

・・・冷戦が終結した時、30年後の世界がこのようなものになっていると、誰が予想しただろうか。フランシス・フクヤマは『歴史の終わり』で、自由主義と民主主義が世界の隅々まで行き渡っていく、均質化した世界像を描いた。それに対してサミュエル・ハンチントンは『文明の衝突』で、宗教や民族を中心にした歴史的な文明圏による結束の根強さと、それによる世界の分裂と対立を構想した。
いずれの説が正しかったのだろうか?・・・

・・・むしろ「文明の内なる衝突」の方が顕在化し、長期化している。イスラーム過激派は世界のイスラーム教徒とその国々を、国内政治においても、国際政治においてもまとめる求心力や統率力を持っていない。実際に生じているのは、イスラーム教徒の間の宗派対立であり、イスラーム諸国の中の内戦であり、イスラーム諸国の間の不和と非協力である・・・

・・・これに向き合って、自由主義と民主主義の牙城となるはずの米国や西欧もまた、求心力を失い、内部に深い亀裂と分裂を抱えている。「欧米世界」の一体性と、その指導力、そしてそれが世界を魅了していた輝きは、多分に翳りを見せ始めている。「欧米世界」は、外からは中国やロシアによる地政学的な挑戦を前にじりじりと後退を余儀なくされ、内からは、英国のEU離脱、米国のトランプ政権にまつわる激しい分断に顕著な、揺らぎと分裂の様相を示している。冷戦後に「欧米世界」に歓喜して加わった東欧諸国をはじめとしたEUの周縁諸国からは、あからさまに自由主義や民主主義をかなぐり捨て、ポピュリズムと権威主義の誘惑に身を投げるかのような動きが現れている。
歴史は自由主義と民主主義の勝利で終わったわけでもなく、まとまりをもった巨大文明圏が複数立ち上がって世界を分かつこともなさそうである・・・