年別アーカイブ:2020年

連載「公共を創る」第45回

2020年6月11日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第45回「日本は大転換期―スマホの普及で新たな商売・犯罪も」が、発行されました。

前々回から、平成時代の変化を説明しています。身の回りの変化について、昭和後期に新しい物が次々と増えたことに比べ、平成時代には新しいものはそんなに増えませんでした。
特筆すべきは、パソコンとインターネット、携帯電話とスマートフォンでしょう。例えば、買い物の仕方を大きく変えました。インターネット通販、クレジットカードや電子マネーによる支払いなどなど。現金で切符を買って電車に乗ることもなくなりました。

しかし、この便利さは、危険ももたらしました。インターネットやゲームへの中毒、匿名なのを良いことに嘘や誹謗中傷をまき散らす人、サイバー犯罪などなど。
街角や電車の中でスマホに熱中している人は、周囲への配慮がおろそかになります。「気配り」が死語となるのでしょうか。
これらの急速な普及に対し、私たちはまだその「作法」をつくりあげる途中です。

お願い対応は法に基づかぬ統治招く懸念

2020年6月11日   岡本全勝

6月8日の日経新聞経済教室、大屋雄裕・慶応義塾大学教授の「次の危険への備え、平時に 危機下の民主主義」から。詳しくは、原文をお読みください。

・・・多くの先進国では、それが日常とは異なるという点に注目し、戦争に対応するための法制度を危機へと当てはめる対策がとられてきた(表参照)。日本でも戦前の体制では、非常時に軍隊による治安維持を可能にすること(戒厳の布告)が憲法上想定されていた。
だが周知の通り、日本国憲法はそうした体制が引き起こした問題点への反省を契機として、平和から戦争へと移行することを厳に禁じるという特徴を持っている。軍隊や警察による強制的なロックダウン(都市封鎖)が実施されることなく、ただ自制と協力を訴えかける「お願い」のもとで、ある程度の日常生活が維持され続けるという、特に欧米の目から見れば奇妙な対策がとられた。その背景には、そもそもそれ以上の対応を認めた制度が存在しないという事情があった。

だが、それでも今回の危機は何とか抑えられたからいいだろうと、そうした手法を手放しに肯定することが許されるだろうか。
本来はある程度の自主的な判断や弾力的な対応が許容されるはずのお願いのもとで、自粛への過大な社会的圧力が生じた面もあっただろう。さらにはお願いをすら超える水準の対応を他者に強制して回る「自粛警察」と呼ばれる人々を生んでしまったことも事実だ。お願いの範囲や強度が適切だったか、補償や経済的支援など負担に相応する配慮がなされたかを検証するための制度が存在しないことも問題として指摘できる。

それでも建前上は平和の中にとどまることができ、それ以外の状況を認めない憲法の枠組みを傷付けなかったことに満足する人もいるかもしれない。しかしその結果、法の外側の圧力の存在を許容することによりかえってコントロール不能な状況を生み出さないか、様々な人権侵害や政府権限の拡大が放置される結果に陥らないかということは、再検討する必要がある。
むしろ危機を安易に戦争へと移行させないために、危機時にも決して手放せない自由や人権とは何か、逆に言えば政府にどこまでは許してもいいかについて、平和時に事前に定めておく必要があるのではないだろうか。あるいはその中で、ただちに憲法自体の改正に飛びつかないとしても、これまでの制度や理解のあり方について修正を図る必要が出てくるかもしれない・・・

コロナによる非日常、幸せの二極化

2020年6月10日   岡本全勝

6月7日の読売新聞「withコロナの日常」、前野隆司・慶應大学教授の「つながり 心の生活必需品」から。

・・・どうすれば私たちの幸福感は高まるのか。「ロボットを通じて人間を理解する」のではなく、人間の心が幸せを感じるメカニズムを直接的に解き明かし、一人でも多くの人に幸福を感じてほしいと考えるようになりました。
では、どんなメカニズムなのでしょう。一端を明かすと、収入や財産、社会的地位といった周囲と比べやすい指標の増加・上昇による幸福感は、一過性で長続きしないことが判明しています。一方、心と体、それに社会が良い状態であることで得た幸福感は、持続性が高い。具体的には、他者とのつながり、健康、愛情、自由、環境などです。これらは周りと比較しにくい特性があります。
前者を「地位財」、後者を「非地位財」による幸福感と呼んでいます。地位財だけではダメで、かといって非地位財さえあれば解決する話でもありません。両者が車の両輪のごとくバランスの取れていることが、高い幸福感を得るための前提として、とても大切です・・・

・・・世界が新型コロナウイルスとの闘いに苦しむ今、人びとの間に〈幸せの二極化〉が起きている可能性があります。想定外・非日常の事態が起きると、幸福を感じる人と、感じられない人の格差が、より開きやすくなるのではと危惧します。
幸福感の高い人は元来、物事を俯瞰ふかん的に見ることができ、利他的で、多様な仲間がいる傾向が強い。コロナ禍のさなかでも視野を広く持ち、みんなで助け合おうとします。幸福感がさらに高まることもあるでしょう。
逆に、幸せでない人は、悲観的であったり視野が狭かったりするので、不安が過度に助長され、なおさら身動きが取れなくなる。つながりも少なく、創造性が発揮しにくい傾向もある。急激な変化の中でどうしていいかわからなくなってしまいます。

花王や日本たばこ産業(JT)、サントリーなど国内の企業十数社の社員や経営者にお声がけして17年秋につくった「みんなで幸せでい続ける経営研究会」がゴールデンウィークの前後、緊急事態宣言以降の幸福度や働き方の変化について、会員・非会員計450人に緊急アンケートを行いました。
そこで寄せられた回答も「とても幸せになった」から「とても不幸になった」まで、やはり二極に分かれていました。「幸せになった」という人たちは、リモートワークの浸透で家族と過ごせる時間が増えたことが影響しているようです・・・

読まないうちに新版が出る

2020年6月10日   岡本全勝

本を買って積ん読にしておくと、新版が出ることがあります。悲しいですね。

連載執筆のために「現代日本人の意識構造 第八版」(2015年、NHKブックス)を引っ張りだしました。この調査は5年ごとに行われるので、「ひょっとして」と調べたら、第九版(2020年)が出ていました。吉川徹著『学歴と格差・不平等』(2006年、東京大学出版会)は、増補版(2019年)が出版されていました。

文庫本になって(寝転がって読むには)読みやすくなり、かつ解説もついている場合があります。解説があると、その本の位置づけがわかって、理解しやすいのですよね。
小坂 敏晶著『責任という虚構』(2008年、東京大学出版会)は、ちくま学芸文庫で増補版が出ました。宣伝で見つけたリン・ハント著『フランス革命の政治文化』(2020年、ちくま学芸文庫)。買おうと思って、ちょっと待てよと本の山を探したら、単行本(1989年、平凡社)を買ってありました。ロナルド・H. コース著『企業・市場・法』も、ちくま学芸文庫になりました。
中古典を文庫で出してくれる、ちくま学芸文庫、講談社学術文庫、岩波現代文庫は、ありがたいです。

時間が経つのは、早いですね。
いずれも、「いつか読もう」と買って、積んどくだった本です。まあそれでも、これらは引っ張り出して読もうとしたことをもって、良しとしましょう。本の山の中には、忘れ去られた本が、たくさん眠っているのですから。

政府専用機貴賓室

2020年6月9日   岡本全勝

6月8日の日経新聞夕刊に「旧政府専用機の貴賓室公開」が載っていました。写真が出ていたので、懐かしかったです。
11年前に総理秘書官をしていたときに、出入りしていました。保秘の関係で写真撮影は禁止でしたので、この写真を見て「おや?」と思ったのです。

日経新聞夕刊コラム第8回「いつ寝るか」(2018年2月22日)に出てきた、政府専用機です。
この部屋は、ジャンボジェットの1階先端部分です。陛下や総理が、使われます。秘書官たちは、この後ろの部屋を使っていました。
専用機が新しくなって、古い機材を解体し、組み立てて展示したそうです。