年別アーカイブ:2020年

『地方財政改革の現代史』

2020年7月7日   岡本全勝

小西砂千夫著『地方財政改革の現代史 改革は何をもたらしたのか』(2020年、有斐閣)を紹介します。平成時代の地方財政制度改革の総括です。戦後の地方財政制度形成期と比較して、平成に相次いで行われた改革を評価しています。

1990年代と2000年代半ばまでは、行政改革の時代でした。いくつも改革が試みられ、その中に、分権や地方行財政も入っていました。しかし、当時その渦中にいた人の多くは、その全体像、進む方向を的確に把握していなかったようです。小西先生は、「その総括は、統治の知恵の継承が十分ではなかったことで改革論が迷走した」と主張しています。

当時の行政改革は、新自由主義的改革であり、戦後半世紀経って制度疲労を起こした「この国のかたち」の改革とも位置づけられました。もっとも、それぞれの改革についての議論や研究書はあるのですが、全体像についての研究は見当たりません。
私はかつて「行政改革の現在位置~その進化と課題」年報『公共政策学』第5号(2011年3月、北海道大学公共政策大学院)で、それを試みたことがあります。そこでは、大きく「小さな政府・財政再建」「官の役割変更・経済活性化」「ガバナンス改革」の 3 つに分類しました。参考「行政改革の分類
最近、待鳥聡史先生が、『政治改革再考―変貌を遂げた国家の軌跡―』(2020年、新潮選書)をまとめられました。この私の論考も、紹介してくださっています。この点については、別途書きます。

小西先生は近年、地方財政制度を、この国の統治の仕組みとして分析しておられます。「地方財政制度を統治の観点から考える」「小西砂千夫著『日本地方財政史』」。1990年代と2000年代半ばの改革を「この国のかたちの改革」とすれば、小西先生のおっしゃるように分権改革だけでなく、そのほかの地方行財政改革は日本の統治の仕組みの改革です。
しかし、改革は進んだものの、そのような視点からの位置づけ、改革は十分ではなかったようです。もちろん、実際の改革は関係者の政治ゲームの中で進むものなので、研究者や官僚の理想のようには進みません。三位一体の改革が、その象徴かもしれません。
地方分権改革だけでなく、その他の政治行政改革も、あの頃に比べ熱意は冷めたようです。再度燃焼させるには、目指す方向と、各改革の全体像、進める戦略をとが必要なのでしょう。

常磐線で双葉郡へ

2020年7月6日   岡本全勝

今週は、5日日曜日から、被災地視察のご案内です。今回は、常磐線を使いました。常磐線は、この3月に全線が復旧し、上野から仙台までがつながりました。

上野駅から仙台行きの特急で、3時間10分で双葉駅に着きます。途中、水戸まで1時間20分、いわきまで2時間20分です。
茨城県やいわき市は、大震災直後は地震と津波の傷跡が、車窓から見えました。沿岸部の家屋は流され、内陸部の家屋には屋根の修理を待つ間、青いシートが掛けられていました。いまは、災害を感じさせるものはありません。9年経つのですからね。

新幹線に比べ在来線の特急なので、少々揺れます。ところが、福島県内に入ると、揺れが小さくなります。JR東日本が線路を復旧する際に、除染も行い、路盤を作り替えてくれました。
特急ですが、双葉郡内は、各町村に止まります。それぞれの駅は、新しく作り替えられ、また駅前も再開発中です。
まだお客さんは少ないのですが、この地域が復興すると、増えるでしょう。また、復興のためにも、常磐線は重要なインフラです。

連載執筆状況

2020年7月6日   岡本全勝

連載「公共を創る」の原稿、第3章1(2)「成熟社会の生き方は」の執筆を続けています。
長くなりそうなので、3分割にすることにしました。その1を、右筆さんたちに送って、手を入れてもらいました。文章や考えの拙い点を指摘してもらい、また違った観点からの見方も助言してもらいました。いつもながら、ありがたいことです。
事実の確認や図表の作成など、その他の人たちにも協力を得ました。ありがとうございます。

編集長に提出して、ゲラの形にしてもらいました。4回分になりました。これで、8月が乗り切れます。
その2も、コツコツと執筆中です。

やさしい日本語ニュース

2020年7月5日   岡本全勝

6月29日の朝日新聞夕刊「凄腕しごとにん」は、山屋頼子さん「やさしい日本語にしたニュース、約3千本」でした。
NHKのウエッブサイトの「やさしい にほんごの ニュース」の担当者です。ニュース原稿を、1年ほど日本語を学んだ人でもわかるぐらいのやさしい日本語に書き換えます。

コツは3つあるとのこと。
1 文章を短くする。
2 伝えたいことを最初に言う。
3 書き換えたものを客観視する。
特に、英語などのシンプルな構文に書き換えられるかを考えると効果的だとおっしゃいます。
これらは、「明るい公務員講座」でお教えしたことですね。

肝冷斎の表紙

2020年7月4日   岡本全勝

先日「7月になりました」で紹介した「肝冷斎の表紙」、肝冷斎に聞いたところ、
・原紙はA3版です。
・作成には、2時間ほどかかるそうです。
あの絵を、2時間で描き上げるとは、大したものです。絵柄の配置に、悩むそうです。

絵だけでなく、古典紹介も良いことを書いているので、読んでください。
7月3日「説苑」より「魏国有宝」
7月2日「玉堂叢語」より「杯帽倶堕」
明るいサラリーマン講座(漢文篇)」もあります。