年別アーカイブ:2020年

政治家とは、正直でも嘘つきでもなく・・・

2020年3月6日   岡本全勝

3月1日の朝日新聞「日曜に想う」、福島申二・編集委員の「お友達より、持つべきは敵」から。

・・・評論家の故加藤周一さんが20年前、本紙連載の「夕陽妄語(せきようもうご)」でユーモアまじりにこう書いていた。〈庭の桜の木を切った少年が、親に叱られるのを怖れて、切ったのは自分でないと言えば、嘘である。切ったのは自分だと言えば、それがほんとうで、少年は正直である〉
そして、〈そのときもし少年が「切ったという記憶はない」とか、「そういう質問に答える義務はない」とか、「誰が切ったかは後世の歴史家が決定する問題である」などと言えば、それはごまかしで、少年には将来政治家になる資質が備わっているということになろう〉・・・

大震災、9年目の教訓

2020年3月5日   岡本全勝

3月5日の日経新聞オピニオン欄は「震災復興 9年目の教訓」でした。

大山健太郎・仙台経済同友会代表幹事の発言から
・・・仙台市は人が集まっているのでよいが、それ以外は産業構造が急速に縮んでいく。企業は10年先をみる。東北の生産年齢人口は2030年に秋田県は21%減、青森県は19%減、福島県は17%減。山形県と岩手県は15%減だ。10年後に東北の市場は間違いなく2割減る。人がいなければビジネスは成り立たない・・・
・・・政府はなりわい支援でグループ補助金を出したが、水産加工は5割しか戻らない。なりわい支援の目標は元に戻すことで、それでは商圏を奪われた分は戻らないからだ・・・

・・・福島県の沿岸部は避難指示が徐々に解除されているが、人は戻らず、農地が放っておかれている。復興庁に言っているのは、ここで土地を集め大規模農業ができる制度をつくること。作ったものはアイリスが全部買い取る。そうした福島モデルをつくり、成功したらほかに展開していけばよい。ほかにできないことが今の福島にはできる。ピンチをチャンスに変えるときだ・・・

御厨貴・東大先端研客員教授の発言から
・・・驚いたのは、市町村が作る復興計画がどれも人口増加が前提の成長プランだったことだ。首長に「そんなに大きな街をつくっても人は戻らないのでは」と話したら「縮小プランなんて作ったら次の選挙で落ちる」と怒られた。
あとで聞くと「プラン通りにはならないから大丈夫だ」と言っていたが、結局、復興住宅はどんどん作られた。あれは地元負担を求めなかったのがまずかった。ある程度、地域が痛みを感じてやらないと、どうせ作るなら大きい方がよいとなってしまう・・・

・・・復興庁は残ることになったが、今後はこうするという選択肢、モデルを示して、地元に選んでくださいと言えるような組織にする必要がある。ここは仕方ないというところも出てくるだろう。縮小モデルの未来像まで検討する官庁にしなければならない・・・
・・・この堂々巡りを断つには、人口減少を踏まえた日本列島全体のグランドビジョンをあらかじめ作っておく必要がある。自然災害が恒常的に来るとすれば国として平時から復興のあり方を考えるべきだ。それを常に考えているのと、全く考えていないのとでは、いざという時に違う。これは政治家が先導すべきだ・・・

町の復興、つながりの再建

2020年3月5日   岡本全勝

読売新聞は、3月4日から連載「震災9年 新しいつながり」を始めました。
自治体が用意した公営住宅や宅地に住宅が建ちました。津波被災地ではほぼ出来上がりました。しかし、しばしば指摘されているように、新しい町や、新しい住宅でのつながり作りが課題です。国も市町村も、自治会の設立を支援しましたが、全ての住宅でうまく行ったわけではありません。

連載の初回は、「緩やかにコミュニティー」です。
記事では、住民たちが知恵と汗を出して、コミュニティーを作っている例を紹介しています。宮城県塩釜市清水沢の復興住宅と、東松島市のあおい地区が紹介されています。あおい地区は、このホームページでも、何度か取り上げました。
住民たちの熱意には、敬意を表します。また、それをまとめた役員さん、支援した役場もです。補助金では、町内会は作れないのです。

双葉町、避難指示一部解除

2020年3月4日   岡本全勝

4日午前0時に、福島県双葉町で、避難指示が初めて一部で解除されました。
解除されたのは、放射線量が比較的低い「避難指示解除準備区域」に指定されていた北東部と、「帰還困難区域」のJR双葉駅周辺の道路などです。
これで、避難指示解除準備区域は全地域で解除されました。帰還困難区域で避難指示が解除されたのは初めてです。

ただし、避難指示解除準備区域だった地域は、津波に襲われた場所で、住宅の建設は制限されています。産業団地と祈念公園の建設が進んでいます。
JR双葉駅周辺は、復興拠点に指定して、除染、家屋の解体を進めています。ここも、まだ除染やインフラ復旧がすんでいないので、まだ人は住めません。町役場の出張所が開設されました。
立ち入りが自由になることで、工事などが進めやすくなります。これから、それらを進めて、住民が住める町をつくります。

また、帰還困難区域のうち、大熊町の大野駅前が5日に、富岡町の夜ノ森駅前が10日に、避難指示が解除されます。
14日には、常磐線が開通する予定です。どの駅でも、乗り降りできるようになります。ただし、この場所も、まだ除染などがすんでいないので、住むことはできません。

数値による問題点の指摘。部分と全体と

2020年3月4日   岡本全勝

3月2日の読売新聞1面は、「復興住宅、孤独死243人…高齢・単身者の入居多く」でした。詳しくは記事を読んでいただくとして、復興住宅での孤立防止、自治会やつながりつくりが、次の課題です。これは、国が直接できることではなく、現場での住民や自治体の活動、NPOの支援が必要です。

ところで、この243人(3県、7年間累計)。大きな数字ですが、孤独死は復興住宅だけの問題ではなく、全国的な問題です。全国では年間2万7千人との推計もあります。他の地域の公営住宅などと比べ、発生率が高いのかどうか。この記事だけでは分かりません。大まかに言えば、高齢者の数に比例すると思われますが。

新型インフルエンザについても、同様の問題があります。今回の新型インフルエンザは、旅客船での患者を含めて千人近くの患者と、10人を超える死者が出ています。
これを例年のインフルエンザと比較してみます。厚労省によると、例年のインフルエンザの感染者数は、国内で推定約1000万人いると言われています。年間の死亡数は214人(2001年)~1818人(2005年)です。
また、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によるインフルエンザによる年間死亡者数は、約1万人と推計されています。

まだ薬ができていないので、例年のインフルエンザと比べるのは問題がありますが。この数字を見る限り、「とんでもなく恐ろしい病気」とは言えないようです。「いつものインフルエンザと同程度に注意しましょう」というのは、素人の考えでしょうか。
今年は、国民が注意しているので、国立感染症研究所によると、例年に比べインフルエンザ全体の流行は低いようです。とはいえ、高齢者や持病を持っている人にとっては怖い病気です。注意しましょう。