失敗した際の償い

原子力災害伝承館が伝えることと残っていること」の続き、その2です(その1事故後の対応検証)。
もう一つ残されていることは、事故・失敗を起こした後の、責任の果たし方についてです。これについては、このホームページ「責任をとる方法」1~4で整理しました。特に「責任を取る方法2」の表「失敗した際の責任の取り方」をごらんください。

事故を起こしたことは批判されることですが、いくら努力しても起きた事実は変えることができません。しかし、その後の被害拡大を抑えることや、再発防止、そして被害者への償いなどは、関係者の努力が問われます。この点について、政府、特に経済産業省はどの程度、責任を果たし、償いをしたでしょうか。
前回述べた、事故後の対応について対応について検証がされていないこと、そしてその後の責任の果たし方が明確に示されないことの理由の一つが、その担当組織であった原子力安全・保安院が廃止されたことだと、私は考えています。「お取りつぶしのパラドックス」に書きました。

原発事故及びその後の対応について、政府は国民の信頼を大きく失いました。例えば「第2回 双葉郡住民実態調査」(2018年1月、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター)は、大震災発生当時、双葉地方7町村に居住していた全世帯を対象にした調査です。そこでは、いくつかの組織について「どのくらい信頼しているか」を聞いています。
それによると、「信頼していない」+「あまり信頼していない」の回答が多かったものは、東京電力(76%)に次いで、政府(69%)、学者・研究者(50%)の順になっています(P22)。自治体やマスコミなどに比べ、格段に低いのです。
官僚は、改めて自覚すべきです。この落ちた政府への信頼を、どのように回復するか。それは、責任の取り方を、被災者や国民が評価してくれるかどうかによると思います。

さて、そのような視点からは、県が伝承館をつくり、東電が廃炉資料館をつくりました。では、国はどのように、この失敗を後世に伝えていくのでしょうか。
その3に続く