連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第51回「日本は大転換期―成熟社会で見えてきた問題」が、発行されました。
前回まで(第39回から第50回まで)、日本が大転換期にあることを、「成長から成熟へ」として、昭和後期と平成に分けて見てきました。今回からは、これらの変化が、私たちの生活と意識に与えた影響を議論します。それが、行政に変化を迫っているのです。
私たちは、人類誕生以来の3つの敵に、初めて打ち勝ちました。それは、飢餓と貧困、病と死、戦争と暴力です。そのほか、隷属、社会からの束縛、不平等などの「壁」も乗り越えました。豊かさと自由だけでなく、苦痛や困難を克服したのです。
このようなかつてない豊かな生活に満足しながら、国民は不安を感じています。そして、成熟社会では、これまでのような消費と生産の好循環は期待できません。