年別アーカイブ:2019年

連載「公共を創る」執筆状況、第2章1

2019年11月2日   岡本全勝

先週、提出した「第2章暮らしを支える社会の要素 1公私二元論から、官共業三元論へ」の原稿が、ゲラになりました。
編集長が5回に分割してくださって、連載では第24回(11月7日)から28回(12月19日)になります。これで、一息つくことができます。よく頑張りました。

第2章1では、公共を考えるために、公私の区分や共助(助け合い)を議論してます。
これにあわせて、肝冷斎が、「公共」の言葉の起こりを調べてくれました。
「史記」より「与天下公共」(10月29日の記事)
漢の文帝(在位前180~前157)に仕えた張釈之が、文帝に向かって反論します。

法者天子所与天下公共也。今法如此。而更重之、是法不信於民也。
=法なるものは天子の天下と公共するところなり。今、法はかくの如し。しかるにこれを更重せば、これ、法、民に信じられざらん。
=法というものは天子が、天下万民とともにしているものでございます。いま、法の規定がこうなのです。それなのにそれを変えて重い罰にすれば、法が人民に信用されなくなりましょう。

さすが博学な肝冷斎。勉強になりますね。

プロの仕事、みんなと一緒につくる

2019年11月1日   岡本全勝

10月28日の朝日新聞夕刊、凄腕しごとにんは、真島悟さんの「プロデュースした通販番組、1万5000本」でした。
・・・ケーブルテレビなどで見られる通販番組「ショップチャンネル」。24時間365日生放送の番組を取り仕切るセールスプロデューサー(SP)を務める。出演者が商品を紹介するスタジオから離れた副調整室から、商品紹介の切り口を臨機応変に変え、指示を出す仕事だ・・・

・・・前職は高級紳士服店の販売員だった。ある日、同僚の代わりに常連客に対応すると「会社に来てくれないか」と名刺を差し出された。当時のジュピターショップチャンネルの社長による一本釣りだった。
「なぜ買うのに迷っているのか」「どんな情報が欲しいのか」を常に想像するのは、前職で培った接客の経験が大きい。
それでも入社当初は苦労の連続だった。生放送中、多くの情報を伝え過ぎ、怒った出演者にインカムを外されたことがある。ベテランの出演者や制作スタッフにあれこれ口を出して煙たがられたこともあった。(インカムとは、ウィキペディアによると、移動しているスタッフへの一斉指令が必要な業務で使用される構内電話。ヘッドセット付きトランシーバーだそうです)

先輩の仕事ぶりを観察し、自宅でも過去の番組を研究した。職場や飲み会の席で積極的に話しかけるうち、徐々に本音を聞けるようになり、番組づくりに対する一人ひとりのこだわりを知った。「自分にできることは限られている。先輩の力を借りていい番組を一緒に作るにはどうしたらいいかと考えるようになって、肩の力が抜けた」・・・

連載「公共を創る」第23回

2019年11月1日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第23回「哲学が変わったー成長から成熟へ 日本型行政の日本社会の曲がり角」が、発行されました。

前回、経済の停滞と社会の不安を取り上げ、平成時代は日本社会の曲がり角であったと主張しました。そしてそれは、行政にも当てはまります。
インフラ整備と公共サービス充実に成功した日本の行政は、社会の課題が変わっていたのに、以前のままの行政を延長しました。そこに、官僚に対する国民の信頼の低下があります。
先進国を目標に追いつけ追い抜けという仕事の仕方をしてきた日本の官僚は、目標に追いついたときに、新しい目標と新しい行政手法を自ら探すことを怠ったのです。昭和後期の、経済、社会、行政の輝かしい成功が、平成時代の方向転換を遅らせました。成功は失敗の元です。

今回は、注に、私が考えているさまざまな「思い」も、記述しました。指導者の理念と国民の情念、時代の風潮、保守と革新でなく作為と無作為、官僚の現状維持。少々長くなっていますが、ここもお読みください。
さて、これで第1章を終えます。次回からは第2章に入ります。

お詫びの乱発?

2019年10月31日   岡本全勝

しばしば、お詫びを聞きます。そのお詫びを聞いて、そこまで謝らなければならないのかと、疑問に思うことがあります。

まずは、電車の遅延です。台風や乗客の救護などによって電車が遅れたことを、車掌さんがお詫びします。でも、これって、電車会社は防ぎようがないですよね。会社も、被害を受けたのです。
自らに責任がない、あるいは会社にとって防ぎようのないことを、お詫びをするのはなぜでしょうか。たぶん、乗客からの苦情を受けて、お詫びしているのでしょう。
でも、逆に「お詫びをしておけばすむ」という意識を育てないでしょうか?
本当にお詫びをして再発防止をすべき場合と、手の打ちようがないことを一緒にすると、危険です。

次は、新聞の遅配です。先日の台風の際に、新聞の配達が遅れたり、翌日になることがありました。この際にも、新聞社と配達店から「遅れて申し訳ありません」というお詫びが入ります。かつて、購読者から苦情が来ることがあったのでしょう。
これは、はっきり言って、間違いだと思います。あの荒天で配達員が配るのは、身の危険もあります。
「荒天なので(従業員の安全も考え)配達をやめます」と言ってよいと思います。
「お客様は神様」ではありません。従業員を大切にしてください。

政府が主導する働き方改革、2

2019年10月30日   岡本全勝

政府が主導する働き方改革」の続きです。

2 社会を変える手法は何か
2つめは、このような働き方や夫婦の役割分担を変える際に、政府はどのような手法を使うかです。いくつか考えられます。
・法律による規制、さらには罰則をつける。
・まず、政府の職員である国家公務員に義務づける。
・従った企業に、税や補助金で優遇する。
・広報で、宣伝でする。

もっとも、このような法律を作るとすると、「その法律によって守ろうとしている法益は何か」という質問が出るでしょう。

昨日、「この国のかたち」と表現しましたが、変えようとしているのは、国民生活の慣習と言ってもよいでしょう。夫婦の役割分担、職場での仕事の仕方(働き方改革はそこにつながります)、休暇の過ごし方・・・。
「どのように生きようが、個人の自由だ」と主張する自由主義者や、「我が家では、夫婦の間で役割分担を決めるのです」と主張する夫婦には、どのように説得しましょうか。