年別アーカイブ:2019年

人は物語を求める

2019年11月17日   岡本全勝

千野帽子著『人はなぜ物語を求めるのか』(2017年、ちくまプリマー新書)を読みました。この新書は中学生向けのようですが、この本はなかなか難しい内容です。

人はある出来事を見て、その事実を理解するだけではなく、なぜそうなったか、あるいはそれはどういうことか、その背景や前後を「想像」して、物語の中に位置づけます。著者の説明は本を読んでいただくとして、読みながら考えたことを整理しておきます。

どうやら人間は、ある出来事について、「その意味」を明らかにしたいようです。そして、「その意味」とは、自然科学的な因果関係だけではありません。また、自然現象でない社会の現象でも、「過去にもこうだった」と物語の中に位置づけ、その先を予測します。

そして、そのような物語やいきさつだけでなく、自分にとってどのような意味があるかを考えます。というか、そのような意味づけをしないと、納得できないのです。
天気は自然現象ですから、季節、気温、大気の動きなどで決まります。気象衛星とアメダスが示すとおりです。
しかし、晴れ男と雨女がいるように、晴れたときは「ぼくは晴れ男だ」と自慢し、雨の時は「この中に誰か雨男がいるだろう」と責任を転嫁します。遠足の日に晴れると、「日頃の行いが良いからだ」と意味をつけます。
血液型による性格の当てはめも、そうでしょう。「あの人はA型だから、几帳面だ」と。科学的には根拠がないと分かっていても、そのように「理解」するのです。
この項続く。

生まれた赤ちゃんに椅子を送る、君の椅子

2019年11月16日   岡本全勝

「君の椅子」って、ご存じですか。
企画のホームページ」には、次のように紹介されています。
・・・子どもたちに「生まれてくれてありがとう」の思いを込めて居場所の象徴としての「椅子」を贈る取り組みです。
「君の椅子」はデザイナーが心をこめて描いたデザインをもとに、北海道が誇る家具製作技術でつくられたオリジナルの手づくり椅子です。
デザインは毎年変わり、座面の裏に名前や生年月日、プロジェクトロゴや一連番号が刻印された“世界に一つだけの椅子”です・・・

14日に札幌に講演に行った際に、展示場を見に行ってきました。発案された磯田代表のお話も、聞くことができました。
かわいい赤ちゃん用の椅子が並んでいます。毎年デザインが変わるので、それぞれ違います。著名なデザイナーと技術ある職人さんが作っただけあって、素敵な椅子が並んでいます。
2006年から始まったので、最初にもらった子供は、既に中学生になっています。

この企画は、市町村単位で参加します。福島県では葛尾村が参加しています。
また、2011年3月11日の大震災の際に、被災地で生まれた子供たちに、椅子を送ることもしてくださいました。市町村役場の協力を得て該当する子供さんを調べ、申し込みのあった97人に送ったそうです。「希望の君の椅子
個人も申し込むことができます。私も知っていたら、孫に1つお願いしたのですが。もう遅いですね。

無茶な行政指導

2019年11月16日   岡本全勝

日経新聞私の履歴書、11月は、化粧品のファンケル会長、池森賢二さんです。ご苦労なさった人生を書いておられますが、きょう紹介するのは、役所の対応です。どうやら、無添加化粧品の評判を気にした同業者が、行政を使って嫌がらせをしたようです。

11月14日「小瓶革命
・・・人気がうなぎ登りとはいえ、世間的な認知度はまだまだ低い。当然様々な妨害行為や理不尽な目に遭う。1985年、厚生省の薬務課の職員が「おたくの会社は製造年月日を入れているようだが、インチキだという連絡があった。確かめさせてもらう」と言ってきた。ライバルからの嫌がらせだろう。
千葉県流山市の工場に調べが入り、説明した。化粧品は製造した原料をタルクという容器に保管し、3日後に瓶詰めにする。ファンケルではタルクに保管した日を製造年月日としていたら担当者は「製造年月日は瓶詰めの日で構わない」と話す。インチキどころか、良心的だったわけだ。この話はこれで終わった。

当時の神奈川県の薬務課の対応にも手を焼いた。「無添加とは何か」と聞いてくるので、「防腐剤などが入っていない化粧品です」と答えると「既存の商品は規制をクリアしている。ファンケルは我々のやり方にケチを付けるのか」などと因縁を付けてくる。そして「無添加」という言葉を使うなともいう。
そこで「新鮮作りたて」はどうかと聞くと、「それならいいだろう」という。別の担当者に変わると「新鮮というのは意味が不明確だから無添加ならいい」というので再び無添加に戻した。初めての商品とはそういう目に遭うのかもしれないが、余りにひどい。すると今度はチラシにもご指導が入る。とにかく県庁までチラシをもってこいという・・・

11月15日「行政指導と反社
・・・神奈川県の薬務課からお呼び出しがかかった。担当者にチラシを見せると「この表現はおかしい」「あの表現もダメ」とダメ出しを食らう。何度足を運んでもOKが出ない。しまいには「1文字も書くな」などと怒られる。チラシを出すことさえ、許されない状況に追い込まれた。
しょぼくれてエレベーターに乗ると同じ薬務課の人が乗ってきてくれて「大変だね。チラシがうまくいくヒントを教えましょうか」と言ってくる。何かと聞くと・・・

どのようにして、このとんでもない行政指導を切り抜けるか。続き原文をお読みください。公務員の皆さん、他山の石としてください。

大熊町民意識調査、7割の人が「除染廃棄物の県外最終処分、信用できず」

2019年11月15日   岡本全勝

NHKによる、大熊町の有権者の意識調査です。

・・・原発事故による除染廃棄物を福島県外で最終処分する国の方針について、「信用できない」と答えた人が68%にのぼりました・・・

・・・また、有権者自身が、どこに最終処分するべきと考えているか聞いたところ、大熊町と双葉町にまたがる「中間貯蔵施設の敷地」が最も多く39%、次いで「大熊町・双葉町以外の福島県内」が24%で、県内の選択肢を選んだ人は6割を超えました。
一方、「福島県外」は18%、「その他」は17%でした・・・

連載「公共を創る」第25回

2019年11月15日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第25回「公私二元論から官共業三元論へ 公私二元論の問題」が、発行されました。

前回、二つの公私区分を説明しました。その一つめの、国家を公とし市民社会を私とする区分は、近代市民社会で誕生しました。支配者が、個人の生活に恣意的に介入するしていた封建時代から、市民革命によって個人の生活や経済活動を独立させようとしたのです。そのために、国家と市民社会の間に、線を引こうとしました。
もう一つの公私区分は、市民社会の中で、世間を公とし家庭を私とする区分です。これも、家庭は個人の城であり、国家は家庭に入ってはならないものとされました。
この2つの公私区分は、それだけの意図があったのですが、他方で副作用も生みました。社会では資本家と労働者の不平等を隠し、家庭では夫と妻との不平等を隠しました。
さらに、「自立した市民社会」という理想像は、自立できない人を忘れていました。

公私二元論に替えて、私は官共業三元論を提唱しています。政府部門と民間非営利部門と市場経済部門の三つで考えるのです。
三元論で社会を見ると、二元論では見えなかったことが見えてきます。