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世界GDP、1900年で11倍、150年で31倍に

2019年2月27日   岡本全勝

2月25日の日経新聞1面「進化する経済 見えざる資産、成長の源に」が、「無形資産、有形の1.5倍に」を解説しています。

・・・経済が進化している。産業革命以来、人類は技術を磨き、モノを効率よく大量につくることで経済を成長させた。そんな常識をデジタル技術の進歩と地球規模での普及が覆す。富の源泉はモノではなく、データや知識など形のない資産に移った。これまでの延長線から離れ、経済は新たな未来を探る。豊かさとは何か。新しい経済「ネオエコノミー」の実像を追う・・・

・・・英経済史家アンガス・マディソン氏らによると、西暦1年から1900年近くかけてやっと11倍になった世界の国内総生産(GDP)は、その後たった150年弱で31倍に膨らんだ。自動車などモノの大発明が原動力だった。ところが20世紀後半に年率4%だった成長率は21世紀に入って年率2%に鈍り、「長期停滞」も論じられている。
成長の時代は終わったのか。インターネットには検索やSNS(交流サイト)など無料サービスがあふれる。米調査会社コンファレンス・ボードのキャロル・コラード氏らは17年の米国のGDPで無形資産への投資が12%を占めたのに、うち6割は公式統計が把握していないとみる。値段のない豊かさはGDPという尺度では測りきれない。
「国境がなく、形も持たないデジタル技術は、世界経済を根本的につくりかえている」。20カ国・地域(G20)が共有する危機感だ。国家はこれまでモノの豊かさを測る基準を定め、税制や社会保障を通じて富を分配してきた。目に見えない豊かさが広がり、国家という枠組みを根底から揺さぶる。経済の姿をとらえ直し、秩序をつくりあげるときが来た・・・

紀元1年から最近までの世界GDPの伸びがグラフで示されています。この150年間は、人類の歴史で異常な時代だったのですね。また、各国の有形資産と無形資産の比較も出ています。

記事の続きで、カリフォルニア大学バークレー校のブラッドフォード・デロング教授が次のように指摘しています。
「経済学者は『アダム・スミス・プラス』の考え方を持つ必要がある。アダム・スミスは分業と良く管理された市場による需給の均衡を説いた。だが技術の変化をどうとらえたらいいのか・・」。

人体形成の秘密

2019年2月26日   岡本全勝

ジェイミー・デイヴィス著『人体はこうして作られる  ひとつの細胞から始まったわたしたち』(2018年、紀伊國屋書店)が、興味深かったです。

一つの細胞から、私たち人体が作られます。それも直径0.1ミリメートルの細胞です。一つの細胞が、37兆個(と本書では書いてあります。60兆個という説もあります)に分裂します。
原題は「Life Unfolding」です。一つの細胞・遺伝子から、アミノ酸・たんぱく質を次々作ることで、遺伝子情報が人体を作り上げます。折りたたまれていた情報が、展開する印象がわかります。

人体の設計図が、すべて遺伝子に書かれているのではなく、たんぱく質の生成が書かれていて、それがある時期ある場所で発現することで、次々と機能ができあがります。脳ができたり心臓ができたり、血液ができたり・・・。設計図なしで、この人体ができるとは、不思議としか言いようがありません。
大昔の地球で、分子が結合してアミノ酸になり、いろんな条件の下、様々な試行錯誤の上に、いまの人体・人類ができあがっています。遺伝子も、アミノ酸の結合体です。他の生物も。神様がいないとすると、この過程はすべて、偶然が作り出したものです。
で、この本を読んでも、「まだまだわからないことが多いんだなあ」というのが、読後感です。

自然科学にとって、宇宙のなり立ち・物質のなり立ちと、生命・脳が、2大不思議でしょう。社会科学においては、「人間関係」が一番難しい不思議だと、私は考えています。

集中力、その3。選択と持続

2019年2月26日   岡本全勝

集中力の続きです。
考えてみるに、集中力には2つのものがあるようです。
一つは、頭に浮かぶいろんな考え事の中で、あることに集中することです。もう一つは、そのことに集中し続けることです。前者を選択(散漫の反対)と呼び、後者を持続と呼びましょう。
もちろん、集中力が続かないのは、他のことを考えたり他のことに手を出すからで、持続と選択は盾の両面です。でも、なかなか一つのことに集中できないのは、前者の選択の問題であり、一つのことに集中しているのにそれが続かないのは後者の持続の問題です。

集中力が続かない。これは困りものです。いくつかの場面が考えられます。他の案件が頭にちらつく(前回に述べたアブハチ)、考え事が行きなずんで止まってしまう、じっと座って考え事をするのがつらいなどなど・・。
試験の前になると、放ってあった小説を読みたくなるとか・・・。嫌々やっていることは、集中力は続きませんね。

では、逆に集中力が続くのは、どのような場面か。面白い本を読んでいたり、ドラマを見ている、ゲームにのめり込んでいると(私はしませんが)、時間が経つのを忘れるます。
他方、締めきり間近になると、集中してなんとかやり遂げるという場合もあります。追い込まれると、仕方なくやり続けます。

現時点での結論。なぜ集中力が続かないのか、よくわかりません。
しばらく、考え続けましょう。

被災地での人とのつながり

2019年2月25日   岡本全勝

2月23日の日経新聞読書欄、土居丈朗・慶応義塾大学教授の「経済論壇から」に、『週刊東洋経済』2月2日号の、庄司 匡宏・成城大学経済学部准教授の「自然災害が教える「コミュニティー」の大切さ 結束が強い地域では復興が迅速に進む傾向も」が紹介されていました。詳しくは、原文をお読みいただくとして。

被災地でのコミュニティー崩壊が、被災者の社会的孤立を引き起こすこと、それは若者、内向的な性格の人、そして男性が多いことが報告されています。
東日本大震災では、阪神・淡路大震災の経験を踏まえて、仮設住宅での孤立防止のための見まわり、各種の行事の企画などを行いました。
この記事にも、交流が活発になったことが書かれています。もっとも、すべてうまく行ったかというと、そうではありません。

友達を作る、地域の人と交際する、企画に参加するは、それぞれ個人の自由です。強制することはできません。機会がない方には、それを提供することができますが。
行政にも経験が少ないです。国や県には担当する部署がありません。東日本大震災では、復興庁がそれに乗り出しました。
NPOの方々の知恵や技術をいただいて、財政支援とそこで得た方法を関係自治体やNPO、町内会に広めることです。仮設住宅だけでなく、そこから引っ越した公営住宅でも行っています。

やる気のない社員

2019年2月25日   岡本全勝

2月21日の日経新聞1面連載「働き方進化論」は、「脱せるか「やる気後進国」」でした。このホームページでも紹介したことがある、国別の従業員のやる気度調査が載っています。

・・・終身雇用が社員の安心感を生み、組織に貢献しようと勤勉に働くー。日本に関するそんな定説は過去の話だ。
米ギャラップ社が従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)を調査したところ「熱意あふれる社員」の割合は、米国が32%なのに対し、日本はわずか6%にすぎなかった。
調査した139カ国中132位と最下位級だ。しかも日本は「周囲に不満をまき散らかしている無気力な社員」の割合が24%、「やる気のない社員」が70%に達した・・・

集団への帰属意識が、構成員に安心感をもたらします。これは、個人にとっても社会にとっても、安定をもたらす良いことです。ところが、その反面、依存心が強くなることがあります。
「私が頑張らなくても、大丈夫」との思いが蔓延すると、その組織は活力を失います。かつての共産主義国家はその例です。
他方で、個人が競争する社会は、それぞれが頑張りますが、不安や不安定がつきまといます。
競争と安住、個人の自立と集団への帰属。その兼ね合いが、難しいところです。