中根千枝先生「タテ社会と現代日本」

中根千枝先生の新著『タテ社会と現代日本』(2019年、講談社現代新書)を読みました。『タテ社会の人間関係』(1967年)は半世紀にわたるベストセラーなので、読まれた方も多いでしょう。「紹介

新著は、タテ社会から現代日本を読み解いたものです。
タテ社会では、参加者は全面的な参加を要求されます。それが、長時間労働を生みます。契約や資格によって参加していないので、長くその組織にいる者が上位に来ます。それが、新参者へのいじめ、非正規雇用問題を生みます。家族という小集団が、家庭内虐待問題を生んでいることなど、ハッとさせられる指摘が並んでいます。

『タテ社会の人間関係』は1967年、昭和42年の出版です。東京オリンピックが昭和39年、大阪万博は45年です。高度経済成長の前半期でした。それから半世紀、日本社会は大きく変貌しました。しかし、場を重視するタテ社会という、日本社会の基本構造は変わっていないようです。
いま、連載「公共を創る」で、社会の文化資本、この国のかたちを書いているところです。中根先生の本も、引用しています。この項続く