政治への信頼

9月3日の日経新聞オピニオン欄、ファイナンシャル・タイムズのジャナン・ガネッシュさんによる「米の政治不信、発端は」から。

・・・米調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、1960年代までは米国民と指導者の間にはべったりと言っていいほどの信頼関係があった。ジョンソン大統領がベトナムに地上軍を送り込む前年の64年には、政府を信用していると答えた国民が約77%いた。ところが10年後にはその半分以下となる。80年代に入る頃にはさらに減り、昨年は18%にとどまった。
米国の戦後史で断絶あるいは変曲点があったとすれば、ベトナム戦争だろう。国外での殺りくと国民同士の憎しみはトラウマを残した。それに比べて金融危機は、少なくとも政府への信頼度にはさほど大きな影響を与えなかった・・・
・・・政府はあの戦争で戦術的な無能さから戦況に関する嘘まで、負の側面ばかりが目立った。人命の損失も深刻で、国内の空気は険悪になった。街の至る所でカウンターカルチャーと反カウンターカルチャーの衝突が発生。ベトナム戦争をテーマにした映画「ディア・ハンター」などが大ヒットした。こうした流行は移り変わったが、かつて信頼していた政府への幻滅は消えず、むしろ強まった・・・