年別アーカイブ:2017年

社会起業家、RCFの活動

2017年6月15日   岡本全勝

RCFメールマガジン2017年6月号を紹介します。地域おこしをはじめとする、地方が求めている人材の求人特集です。どのような地域が、どのような人材を求めているか。このメールマガジンをご覧ください。

RCFは、このページでも時々取り上げているように、藤沢烈さんが立ち上げた一般社団法人です。社会の課題を解決することを使命としています。
ホームページには、次のように書かれています。
・・・私たちRCFは「社会事業コーディネーター」という新しい職業集団です。
社会事業コーディネーターとは「社会の課題から、未来の価値をつくる」仕事。
地域の主体となる住民、県/市役所等の自治体、そして企業、NPOといったセクターを超えた多種多様なステークホルダーと協業することで、黒子として社会をリードしています・・・

簡単に言えば「地方での求人」です。しかし、これが難しいのです。どこにどのような仕事があって人を求めているのか。他方で、地域の役に立ちたいという人もいますが、それをつなぐ機能がなかったのです。東日本大震災を機に、被災地支援に向かう人を、被災地と結びつける事業ができました。このような役割に、期待しています。
佐藤淳さんのインタビューも、お読みください。

明るい公務員講座・中級編26

2017年6月14日   岡本全勝

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第26回「職場管理の知識(4)働き方改革」が発行されました。連載第23回から、職場管理の知識をお話ししています。私が公務員になってから、特にこの20年間に、職場が大きく変化しました。法令遵守、公務員倫理、情報公開、個人情報保護、情報セキュリティ、リスク管理、男女共同参画、メンタルヘルス、セクハラとパワハラ防止などです。
そして今、ワーク・ライフ・バランス、働き方改革が迫られています。これは、私たちの職場と仕事の仕方を大きく変えることになると、私は考えています。今回は、それについて少し解説しました。
次回第27回からは節を改めて「組織を動かす」に入り、働き方改革については第29回からさらに詳しく解説する予定です。今回の内容は、次の通り。
日本社会の曲がり角、働き方改革は社会革命、日進月歩の職場環境、職員研修。

慶應義塾大学、公共政策論第9回目

2017年6月14日   岡本全勝

今日は、慶応大学法学部、公共政策論第9回の授業でした。いよいよ、これまで話してきた各論を踏まえて、私が考える公共政策のあり方をお話ししました。

まず、公共政策が取り組むべき社会の課題は、「社会のリスク」という観点から見ると、科学技術の発展と個人のつながりの希薄化から、新しい課題が増えています。
また、近代国家が想定した「自立した市民」というイメージは、大企業や不正を働くものの前では力不足です。労働行政と消費者行政は、ここから始まりました。病気をしたり失業したり自立できない個人もいます。そのために、各種の公的保険ができました。19世紀と20世紀の行政の歴史は、このように「弱い市民」を発見し、それを助けることの歴史です。

他方で、それらの問題に対して、サービスを提供したり答えるのは、行政だけではなく、企業もNPOなどボランティアセクターもあります。公私二元論ではなく、官共私三元論です。
行政が直営していたサービスを、民間に委託したり民間に開放したりすると、政府は小さくなります。しかし、国民からすると同じサービスなら、問題ありません。国鉄の民営化を考えてください。すると、社会の課題解決という観点からは、「大きな政府・小さな政府」論は、的が外れています。
では、政府は小さくなれば良いのか。そうではありません。民間が提供するサービスが適切なものか、ルールを作り、監視をしなければなりません。また、民間に任せていては不足する部分を提供したり、民間が提供するように誘導したりする必要があります。すると規模の大小ではなく、引き受ける責任が「広い政府」になります。
そして、全体を見ると「福祉提供国家」は「安心保障国家」になるのです。

人という財産

2017年6月13日   岡本全勝

日経新聞6月7日のオピニオン欄、中山淳史の「ヒト再創造で「断絶」越える」は、アメリカの電話会社AT&Tの、社員研修です。事業の重心を移す際に、外部からの採用でなく、内部の社員を鍛え直したのです。
・・・クラウドエンジニア、データサイエンティスト。ネットやモバイル事業に重心移動をするにはそうした技術者、技能者が必要だったが、技能の高い人材は人件費が高いうえ、グーグルやアマゾンに吸い寄せられる確率も高かった。
そこで進めたのが今いる社員、多くは固定電話のインフラ設計やメンテナンスなどに従事する人材を鍛え直すことだった。同社は衛星放送のディレクTVやタイムワーナーなどの大型買収も進めたが、その一方で社員の能力開発プログラムや学費補助に年間2億5千万ドル(約275億円)を使う。
例えば、ネット上に社員向けの変革ツールを立ち上げ、各人の技量を定量化したり、新しい仕事の要件を満たすために獲得すべき技能を明示したりする。技能を伸ばすためのeラーニング、研修機関などを提案することも可能だ。
大半の社員は再トレーニングに週5~10時間を費やし、16年5月までに延べ180万以上の新技術講座を受けた。その多くはオンライン。生徒は月200ドルで無制限に受講でき、修了すると半額を会社から返してもらえる。ジョージア工科大などと共同でコンピューター工学の公認オンライン修士号を授けるプログラムも設けた。費用はキャンパスで受講する場合の15%で済ませられるという・・・

・・・重要なのは2つだ。1つは伝統的企業が人員削減をせずに反撃するひな型を作りつつあるということ。もう一つは企業の盛衰は社員次第ということだろう。企業価値の向上とよくいうが、それを担うのは社員だ。ところが、会社の健康状態や競争力を表す貸借対照表(バランスシート)は設備、建物、特許権といった有形無形のモノ(資産)とカネ(負債)で成り立ち、ヒトは物差しの外にいる・・・

「人は財産」という割には、企業会計はそれを評価しないのですよね。
「個人の財産」と言ったときに、多くの場合、不動産や預金を指しますが、略歴に書く各種の資格や学歴、そこには書かれない人柄や能力、友人や趣味なども大きな財産ですよね。
職場にあっても、組織の能力は、売上高や商品だけでなく、従業員の能力や社風もあります。数字に表せない能力もあるのです。
国や地域でも、お国柄、社会関係資本など、数字に表せない「強さ」があります。

認知症が国の対策になった

2017年6月13日   岡本全勝

朝日新聞6月8日オピニオン欄「認知症、家族と社会と」から。
「もしこの人がいなかったら、認知症に対する社会の関心はもっと低かったのではないか。公益社団法人「認知症の人と家族の会」代表理事・高見国生さん(73)。認知症対策が皆無だった1980年に、会は京都で生まれた」

高見さんのインタビューから。
・・・会を結成したころ私は母を介護していて、介護で苦しんでいる家族で励まし合おうとしたんですが、もっと政治の光が当てられないかと最初から言うてました。2年後に最初の要望書をまとめて厚生省に持っていった時は、担当課も決まってなかった。けども認知症問題が出てきそうやという気配はあった。時代に合うたんですよ。厚生省が大蔵省へ予算要望する時の資料に、その要望書を入れたと言うてましたからね。
そのころは役場に相談に行っても、認知症は対象外やと言われた。要望書では患者への定期的な訪問、援助のほか、通所サービスや短期入所をさせてくれと言うたんです。今のホームヘルパー、デイサービス、ショートステイですわ。「在宅福祉の3本柱」として厚生省が政策にしたんは89年のゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10カ年戦略)でしたな・・・

「介護保険で家族の状況は変わりました」という問いに。
・・・そりゃ雲泥の差です。会員にアンケートを取ると、デイサービスやショートステイに行ってくれることで「自分の時間ができた」とか「外出できるようになった」という回答が増えた。ただ変わらないのは、気持ちのしんどさ。認知症の人の介護は毎日が新しい出来事の連続で、気が休まらない・・・

元厚生労働省老健局長・中村秀一さんの発言。
・・・旧厚生省が本格的に認知症に取り組んだのは、1986年の「痴呆性老人対策推進本部」からです。それまで老人福祉では、寝たきり対策と施設整備が主な課題で、認知症は遅れていました。私は本部の事務局にいましたが、患者さんの数も不明という状況・・・概して患者さんの声は予算を獲得するバックアップになります。財務省も当事者の要望は預かる。もっとも、本格的な高齢社会を迎えるにあたり、老人福祉は予算が付きやすかった。89年からゴールドプランの作成にかかわり、90年に老人福祉課長になったのですが、他分野を担当する役人仲間からひがまれたこともあります・・・

・・・介護保険の給付は初年度の3・6兆円から、現在は約10兆円となりました。医療は約40兆円。介護も医療も、限りのある公的財源をどう配分するかというシステムです。人為的に公定価格を付けるからこそ、公開の場で関係者が納得するまで議論する必要がある・・・
原文をお読みください。