年別アーカイブ:2017年

権力への制約と緊張関係

2017年6月26日   岡本全勝

朝日新聞6月22日のオピニオン欄、「危うき統治の時代」、中北浩爾・一橋大教授の発言から。
・・・問題は、政治改革が前提条件としていた首相の権力への制約が失われてしまったことだと思います。その一つは、二大政党の片翼を担う政権担当可能な野党の存在です。次の総選挙で政権交代が起きるかもしれないという緊張感があれば、官邸や与党も自制せざるを得ません。
もう一つは、総選挙の際のマニフェスト(政権公約)です。数値目標や実施時期を明記したマニフェストに基づいて政治を行うことは現実性を欠いていましたが、そこには政権や与党に民意の縛りをかけるという意味がありました。民主党がマニフェストに基づく政権運営に失敗し、有権者の失望を買い、以上の二つの制約条件が失われた結果が、現在の首相の赤裸々な権力行使だといえます・・・

原文をお読みください。

個人営業の忙しさ

2017年6月26日   岡本全勝

先日の土曜日6月24日に、このページの加筆を怠りました。知人から「何かあったのですか」と、心配して質問がありました。元気にしているのですが、講義の準備やら連載の執筆に没頭していて、ホームページの加筆を忘れていたのです。

平日はもちろん、休日も忙しいです。連載(明るい公務員講座)と慶應大学での2コマの講義で、毎週3つの締めきりに追われています。平日は本業があるので、どうしても休日に執筆や準備をせざるを得ません。その点では、現役公務員の時より余裕がありません。とほほ・・。

公務員なり会社員なら、組織で仕事をしています。役割分担もあり、また管理職になると自分で動くこともありますが、部下から上がってくる案件の相談に乗ったり、判断したりという業務が主になります。鳥にたとえると、滑空する時や、枝に止まっていることもあります。
ところが、個人営業は、常に羽ばたいていないといけません。滑空していたり枝に止まっているだけでは、仕事が進まないのです。代わりがいないのです。
「そんなに仕事を引き受けなければ良いのに」と言えば、それまでです。はい。

講義はかつて担当したことがあるのでと、気楽に考えていたのですが。10年近く経つと、地方自治もいろいろと変わっています。かつての主要項目だった、分権、市町村合併、条例論なども、少々古くなりました。そこで、講義ノートを新しくつくらなければなりません。学生に配る資料をそろえることも、結構手間がかかります。
講義の朝には早起きして、予行演習をして、本番に備えています(それでも、話す順番を間違えたりして)。数週間先まで骨格は考えてあるのですが、やはり詳しく準備するのは、1回ごとになります。

この忙しさを乗り切る秘訣は2つ。一つは風邪を引いたり病気をしないこと。もう一つは、平日の隙間時間に、準備をすることです。
と、福島のホテルで書いています。

江藤淳著『アメリカと私』

2017年6月25日   岡本全勝

6月17日の朝日新聞オピニオン欄に、山脇岳志アメリカ総局長が「「アメリカと私」そして日本」を書いておられました。山脇さんは、近く4年余りの任期を終え、東京に帰任されるとのこと。前回の勤務とあわせると、アメリカ生活は7年半になるそうです。
・・・江藤氏が、大学での研究生活の苦悩や喜びを描いた「アメリカと私」(文春文庫)は、今読んでも興味深い。
冒頭は、日本から米国に帰国したばかりの米国人の友人が、江藤氏に漏らした言葉の回想から始まる。
「外国暮しの『安全圏』も一年までだね。一年だとすぐもとの生活に戻れるが、二年いると自分のなかのなにかが確実に変ってしまう」
2年の米国暮らしを終えた江藤氏は、自分の内面も変わったと感じる。「どんな親しい友人ともわかち持てない一部分が、自分のなかに出来てしまったような感覚である」と記す・・・

この記事に触発されて、江藤淳著『アメリカと私』(私が読んだのは、1972年、講談社文庫)を読みました。
若き評論家として名をあげた江藤さんは、1962年、29歳の時に、ロックフェラー財団の研究員となり、1年間プリンストン大学に留学します。そして引き続き、もう1年、教員として講義をもちます。その際に感じたこと、考えたことを綴ったのが、この本です。アメリカに住み、彼我の違いとともに、移民国家アメリカの秘密を体験されます。
なるほどと思うところが、たくさんあります。もっとも、「ここまで深く深刻に考えなければならないのか」と思うこともありますが。1962年は昭和37年で、戦争が終わってまだ17年、東京オリンピックの2年前です。敗戦国と戦勝国、圧倒的経済力の差があった当時では、そう考えざるを得なかったのでしょう。

ところで、この本は、1972年発行です。半世紀近く前の本も、インターネットで古本をすぐに探すことができます。便利なものです。

地政学

2017年6月25日   岡本全勝

近年は、地政学が、はやりです。6月16日の日経新聞夕刊が、「不安映す地政学リスク」という記事で、簡単に紹介と解説をしています。
確かに、ある地域での政治的・軍事的・社会的問題が、関係国の政治・経済を揺さぶります。しかし、この言葉は定義をはっきりして使わないと、国際関係のリスクをすべて「地政学」で説明してしまう危険があります。

この言葉が使われるのは、国際関係が先行き不透明になったときです。他方で、国際戦略を立てる際には、そのような視点は必要です。記事には、次のような記述もあります。
・・・第1次安倍政権の際には、麻生太郎外相が「自由と繁栄の弧」を掲げた。石津氏は「『大東亜共栄圏』以来初めて、日本が理念で国家戦略を語った」とする。ユーラシア大陸に沿ってアジア各国と連携する「弧」の戦略は、マッキンダーやスパイクマンに通じる。同様の構想を中国は「真珠の飾り」、インドは「ダイヤのネックレス」と掲げ、地政学に基づく戦略を各国が競っている・・・

慶應義塾大学、地方自治論第10回目

2017年6月23日   岡本全勝

今日は、慶応大学で地方自治論、第10回の講義でした。
先週講義した議会について、学生の質問に答え、また新たに用意した資料(議会の活性化、都知事と都議会、杉並区議会だより)を配って、問題などを説明しました。ちょうど、都議選が始まり、また小池知事が最大会派の自民党と戦う構図を見せているので、学生には関心を持ってもらえました。
このように、教科書に書いていないこと、今現実に話題になっていることを取り上げると、講義の価値があります。もっとも、そのための準備が大変なのですが。

引き続き、「条例論」に入りました。