年別アーカイブ:2017年

同時に2つのことはできない

2017年11月10日   岡本全勝

エドワード・M・ハロウェル著『ハーバード集中力革命』(邦訳2016年、サンマーク出版)の扉に、次のようなアインシュタインの言葉が、引用されています。

「美人にキスをしながら安全運転できる人がいるって?
きっと、彼はキスに集中できていないだろうね」
Any man who can drive safely while kissing a pretty girl is simply not giving the kiss the attention it deserves.

同時に二つのことをする人がいます。音楽を聴きながら勉強するとか。私は、できません。それどころか、気が散る場所では、難しい本も読めません。
人間の脳は、コンピュータのように、並列処理とか、瞬時に切り替えることはできないようです。「ながら族」は、たぶん同時には2つのことをできていない、いえひょっとしたら、2つともできていない可能性があります。

連載を振り返って3

2017年11月10日   岡本全勝

体験で得たことを伝える

連載に書いたことは、経験者なら知っていることばかりです。私の経験と、そこで考えたことを文章にしただけなのですから。

仕事の経験を、山登りにたとえてみましょう。
初心者にとって、初めての登山は、どの道から登ったらよいのか、この先どんな場所が待ち受けているのか、そして頂上はどこかがわかりません。それに対して、登ったことのある経験者は、どの道を上るとどこに行くか、そして途中には何があるかを知っています。岩場があったり、川を渡るとかです。そして、どの程度の時間と労力をかけると、どこまで到達するかです。

歩いている途中でも、全体の何合目にいるのかがわかりません。先輩に聞けば教えてくれます。「先達」と呼ばれます。初心者にとって、先達はありがたいです。
「少しのことにも、先達はあらまほしき事なり」(徒然草第52段)。

その先達の知識を地図にする。初心者がそれを読めば、登る前に一通りの知識を得ることができます。すると自信を持って登ることができます。登っている途中で迷ったときにも、今どのあたりにいるのかがわかるのです。
この本は、それを目指しました。

連載を振り返って2

2017年11月9日   岡本全勝

物足りなかったビジネス書

この連載の目的は、公務員が仕事をするに当たっての基礎知識を文章にすることです。「職場の作法の教科書」を作りたかったのです。

本屋には、たくさんのビジネス書が並んでいます。私も若くして管理職になったことから、また立派な官僚になることを目指して、その類いの本をいろいろ読みました。それぞれ勉強になりました。
古典に学ぶ指導者像には、「なるほどこのように振る舞うのか」と勉強になりました。もっとも、あるページには「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と書いてあり、別のページには「君子危うきに近寄らず」と書いてあります。「どっちやねん?」。
手紙の書き方や人前で話すコツなど、身につけておかなければならない技能も勉強になりました。

しかし、このような処世訓、指導者論、ビジネススキルでは、満足できませんでした。私が職場で悩んだ際に、役に立たなかったのです。私が知りたかったのは、それらの本の前に、職場での仕事の進め方、お作法です。
ナポレオンや西郷隆盛の指導者論、松下幸之助やビル・ゲイツの経営論もよいのですが、そのような立派な人でなく、普通の勤め人の悩みです。それは、悩んだときの解決方法、そもそも何に悩んでいるか分からなくて仕事が進まないときにどうするか、仕事の進め方、時間の割り振りなどです。

仕事をするに当たっての基礎となる教科書、それらの本の入門書が欲しかったのです。
「偉人に学ぶ仕事術」ではなく、「普通の人ができる仕事術」です。この内容は、公務員だけでなく、勤め人一般に通用すると思います。

連載を振り返って1

2017年11月8日   岡本全勝

「私の目指したもの」
連載「明るい公務員講座・中級編」を書き終えて、ほっとしています。2年間も続けたのです。執筆を振り返って、思っていることを書いておきます。

この連載の趣旨は、「後輩たちに同じ悩みをさせず、楽をしてよい仕事をしてもらう」です。

「先輩のやっていることをみて覚えよ」「体験して身につけよ」というのが、これまでの多くの職場の流儀でした。私も公務員になった駆け出しの頃、そして課長になったとき、それぞれの場面で「新人」でした。体験して悩み、失敗を重ね、先輩に教えてもらって身につけました。
そしてたどり着いた結論は、「みんな同じようなことに悩んでいる」ということでした。そこで、後輩たちが、無駄な悩みや苦労をしなくて済むように、私が経験で得たコツを活字にしたのです。

経験者から見ると、初心者はつまらないことで悩んでいます。すると、新人には、「私も経験して覚えたんだから、あなたも経験して覚えなさい」と言うより、「この本を読んで勉強してね。分からないところがあったら聞いてね」と言う方が、効率的です。
ところが、案外このような教科書はないのです。ビジネス書はたくさんあるのですが、処世訓やビジネススキルであって、「仕事の基礎の教科書」はないのです。

私の目指したものは、次のようなことでした。
1 職場で仕事をする上での基礎知識を伝える。
2 知識の羅列でなく、体系化する。
3 わかりやすい読み物とする。
4 抽象論でなく、私の体験に基づいた、実例を入れた実践的なものとする。
次回以降、順次説明しましょう。

日本人は優秀だ?

2017年11月7日   岡本全勝

11月7日の朝日新聞経済面「波聞風問」は、堀篭俊材記者の「不正続く製造業 経営も現場で5回の「なぜ」を」でした。
日本を代表する世界的製造業で、不正が相次いでいます。法令や社内基準を満たしていない製品を出荷していました。さらに、ことが発覚して、社長がおわびの会見をしてからも、不正を続けていました。
現場の監督者も本社の幹部も不正を知っていた(らしい)のに、社内調査では「ない」と報告していたことも。結果として、社長に恥をかかせたのです。
何度も不祥事でおわびをした経験者から見ても、まずい対応ですね。

さらに、「日本の××は、優秀だ」という通説は、疑ってかかる方がよいかもしれません。残念なことですが。
かつては、官僚や銀行、電機メーカーをはじめとする経済界が、このような評価をもらっていました。でも、そうでないことが、次々と分かってきました。