明るい公務員講座・中級編42・完

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第42回「良い課長になるための教訓・総集編」が発行されました。

今回は、41回の構成をおさらいして、私が何を言いたかったかをまとめました。それは、
1 「課長であること」と「課長をすること」は違う
2 職員の延長に課長があるわけではない
3 現在の課長は、これまでの課長と違うことが求められている
です。
また、この連載(初級編、中級編)では、「職場での作法の教科書」を目指しました。
1 経験すれば身につけることですが、それを文字にすること。
2 経験談の羅列にせず、体系的に整理すること。
3 全体像を見取り図の形で示すことです。
まずは、これだけのことを知っていたら、安心して仕事ができるという「教科書」です。
今回の内容は、次の通り。
連載の構成、課長であることと課長をすること、課長と部下とは違う、先輩課長との違い、座り型のリーダーから率い型のリーダーへ、職場での作法の教科書、必要な知識の全体像。
そして、毎回末尾に付けた「今日の教訓」の中からいくつかを選んで、「良い課長になるための教訓・総集編」を付けておきました。

これでひとまず、「明るい公務員講座・中級編」の連載を終えます。上司の役割には、まだ上級編があります。それについては、次の機会にお話ししましょう。
この連載を読んだあなたが「課長をする」ことで、職員が生き生きと働く職場を作り、効率よく優れた成果を出すことを期待しています。そして、あなたがその成果をひっさげてさらに上の職位就き、力を発揮することを。(記事から抜粋)

今回で、中級編が完結です。昨年10月から始まり、13か月続きました。お付き合いいただいた読者にお礼を言います。いずれ、本にする予定です。また、「連載を振り返って」を書いています。

連載を振り返って7

書くことは、考えを整理すること。

今回の連載には、元になった文章があります。「明るい係長講座 初級編・中級編」(1996年、富山県職員研修所)です。富山県総務部長の時に書いた小冊子です。
今回の連載を始めたときも、「かつて書いたことがあるから、それを全国版にすればよいわ」とお気楽に考えていました。しかし、そうはいきませんでした。
・教科書とするためには、経験談を羅列するだけでは駄目です。体系的に、知識を並べる必要があります。
・必要な知識をすべて網羅することは難しいですが、必要な知識で抜けていないかを、確認する必要があります。
かつて読んだ本を再度読み返してみたり、参考になる本はないかと探しました。ないことを確認することも、安心材料になります。
・特に中級編では、課長として何が必要かを、考え直す必要がありました。

これには、苦労しました。
当初は、「体験談を整理して書けば良い」と考えていました。しかし、「整理する」ことが、難しかったのです。
ふだん職場でしている仕事を、どのように分類するか。これに苦労したのです。いろんな場面でいろんな体験をしたので、体験談やエピソードは余るほど持っています。しかし、それを羅列しても、教科書にはなりません。
そこで苦心したのは、構成です。たくさんの仕事のコツをどのように分類したら、皆さんに理解してもらえるか。大分類、中分類、そして見出しを、何度も作り替えました。
その過程で、「私のやってきたことは、こういうことだったんだ」と再認識することも、たびたびありました。書くことは、考えを整理することです。

本格的な冬に

寒くなりましたね。今朝の福島は2度。最高気温も5度ほどでした。
新幹線から西に見える吾妻連山は、雪をかぶっていました。
ちゃんと、冬の服装をしてきましたが、手袋が必要でした。

連載を振り返って6

職員の延長に課長はない

ところで、中級編(課長編)は、初級編(職員編)の延長ではありません。よい職員の延長によい課長があるわけではないのです。これは、意外と認識されていません。

ビジネス書には、よい職員になるための心構えや技術が書かれています。しかし、それを実践するだけでは、よい課長になれないのです。
職員みんなが、よい職員になるわけではありません。職場には、出来の悪い職員も、困った職員もいます。課長は、そのような職員も相手にしなければなりません。それは、「よい職員になるための本」には、書かれていないのです。
「先輩談」もよい話ばかりで、都合の悪い話は出てきません。

不都合な事実に目を背け、きれい事だけで、課長が務まるわけではありません。そこで、2:6:2の法則を書きました。また、出来の悪い職員の評価や指導についても書きました。

さらに、生産性の低さと、その改善策を述べました。
日本の労働者の生産性が先進国の中で低いことは、しばしば報道されています。残業時間が長く、休暇も取らず、労働時間が長いことも。
公務員の職場も、例外ではありません。それどころが、他の職場に比べても、生産性は低い方でしょう。とにかく、無駄が多いのです。頻繁な会議、しかもそこでは決まりません。部下に任せっきりの上司。どうしてよいかわからずに悩む部下・・・。
多くの管理職が、責任を果たしていないのです。これについても、厳しいことを書きました。しかし、私が新事実を書いたのではなく、多くの関係者が分かっていながら放置していることでしょう。

失業しない休日

連載「明るい公務員講座・中級編」を書き終えて、ほっとしたのですが。良くしたもので、次の仕事が入りました。
一つは、この連載を単行本にすることです。どさっと、ゲラが届きました。連載中の文章は通しで読むと、冗長になっています。せっかく書いた文章ですが、泣く泣く削減する必要があります。
その前に、どのように再編成するか。悩んでいます。

もう一つは、別の媒体から、連載のお誘いがありました。これは、少々毛色が変わり、ちょっと重い原稿です。でも、光栄なことなので、準備を始めました。
どのような構成にするかを悩み、いくつか試作品を書き始めて、書いては消すことを繰り返しています。

「焚くほどは風がもてくる落葉かな」(良寛)。
全く意味は違いますが。土曜日曜に失業しないように、神様が手配してくださったのでしょう。ということで、朝から机に向かっています。

年賀状の準備も、しなければなりません。印刷は発注したのですが、今年いただいた年賀状の整理が、まだできていません。