連載を振り返って7

書くことは、考えを整理すること。

今回の連載には、元になった文章があります。「明るい係長講座 初級編・中級編」(1996年、富山県職員研修所)です。富山県総務部長の時に書いた小冊子です。
今回の連載を始めたときも、「かつて書いたことがあるから、それを全国版にすればよいわ」とお気楽に考えていました。しかし、そうはいきませんでした。
・教科書とするためには、経験談を羅列するだけでは駄目です。体系的に、知識を並べる必要があります。
・必要な知識をすべて網羅することは難しいですが、必要な知識で抜けていないかを、確認する必要があります。
かつて読んだ本を再度読み返してみたり、参考になる本はないかと探しました。ないことを確認することも、安心材料になります。
・特に中級編では、課長として何が必要かを、考え直す必要がありました。

これには、苦労しました。
当初は、「体験談を整理して書けば良い」と考えていました。しかし、「整理する」ことが、難しかったのです。
ふだん職場でしている仕事を、どのように分類するか。これに苦労したのです。いろんな場面でいろんな体験をしたので、体験談やエピソードは余るほど持っています。しかし、それを羅列しても、教科書にはなりません。
そこで苦心したのは、構成です。たくさんの仕事のコツをどのように分類したら、皆さんに理解してもらえるか。大分類、中分類、そして見出しを、何度も作り替えました。
その過程で、「私のやってきたことは、こういうことだったんだ」と再認識することも、たびたびありました。書くことは、考えを整理することです。