年別アーカイブ:2016年

記録的学問と論争的学問、公務員と政治家のご先祖様

2016年7月16日   岡本全勝

中山茂著『パラダイムと科学革命の歴史』(2013年、講談社学術文庫)は、科学史についての本です。その第1章「記録的学問と論争的学問」を読んで、記述を拡大解釈して、なるほどと思いました。著者は、古代西洋と東洋の学問の比較対照と共通点を述べているのですが、それが政治と行政の違いを端的に表しているのです。
著者は、学問のコミュニケーションを、記録によるものと、口頭によるものの2つに分類します。
記録的学問は、天変の記録です。バビロニアでも古代中国でも、権力が天変を記録し、統治に利用します。それは、事務的な、官庁業務的な学問です。それに携わったのが、私たち公務員のご先祖様です。道具は筆記用具です。
他方、論争的学問は、議論の中から出てくる学問です。古代ギリシアの哲学者たちと、中国戦国時代の諸子百家です。ギリシャの民主政では市民が論争をします。その代表者たちがソフィストで、演説で市民を引きつけます。弁論術です。諸子百家も、弁舌で王侯に取り入ろうとします。相手は、ギリシャのように市民ではなく、君主です。これは、政治形態の違いから来る差です。こちらは、政治家のご先祖様です。道具は弁舌です。
そして、記録的学問は、保守的であり累積します。論争的学問は新説がどしどし現れますが、現れては消えます。問題提起が、主な機能です。記録的学問も、記録だけでは真理に到達しません。
著者の目的(科学史)とは離れますが、それぞれを公務員のご先祖様と、政治家のご先祖様と理解すると、公務員と政治家の機能の差がよくわかります。ごく一面的な見方ですがね。

相を反映する食事、食費

2016年7月16日   岡本全勝

7月16日の朝日新聞天声人語は、「エンゲル係数の上がる国」でした。
・・・明治の昔、日本のエンゲル係数は60~70%で推移した。昭和の初期は50%前後に下がったが、敗戦による窮乏で再び60%前後に戻った。高度成長をへて20%台へ下がった・・・それが再び25%を超えたそうです。
貧しさの反映ということより、世相を反映している部分が興味深いです。
・・・調理済み食品を買って家で食べる人が増えた。レジ前での大藪さんの観察によると、いまや買い物カゴの中身は、女性客がお総菜、若い男性が即席麺、高齢男性はお弁当である。これら「中食」の急増が係数を押し上げた・・・
なるほどね。若い人のカップ麺やコンビニ弁当依存は、心配になります。栄養が偏りますよね。彼らのエンゲル係数はかなり低く、逆に、スマホなどに使っている通信費が大きくなっているでしょう。

心が折れる職場、2

2016年7月14日   岡本全勝

続きです。第2章で、「アドバイス上手な上司が部下の心を折る」には、次のような話が載っています。
なぜあの部署では不調者が続出するのか、2人の部下を続けて不調にしたB部長、「それはあなたの仕事です」そのとき課長の心は折れた・・・
部下が困って相談したとき、上司が「それは、あなたが考えることでしょう」と答えます。案を考え直して上司に相談したとき、「それは駄目ですね。考え直してください」と突き返されます。「ではどうすれば良いのでしょうか」と聞くと、「それを考えるのがあなたの仕事です」との返答です。
このように、「できる上司」が部下を壊すのです。私が若い時に、挫折しそうになった経験(連載第2回)と似ていますね。私の連載には、その解決方法も書いてあります。

明るい公務員講座第28回

2016年7月13日   岡本全勝

連載「明るい公務員講座」第28回、「職場の生き様(1)清く明るく美しく」が発行されました。今回から、第2章自分を磨こう、4「人生に貴賤はある―生き様」に入ります。これまで書いてきたのは、仕事術でした。しかし、術だけでは、良い仕事はできません。その基礎にあるのは、生き様です。さらに、仕事がうまく行くためには、家庭と自分の時間も充実している必要があります。今回の内容は次の通り、
人生は日々の積み重ね、志を高く持とう、清く明るく美しく、ペンキ塗りは楽しい?、好きこそものの上手なれ、お酒は職場の潤滑油、お酒の失敗、年齢とともに飲み方を身につけた。
早速、読者から反応が来ました。自治体幹部からです。「あのとおりですよね・・」と。ありがとうございます。この連載の「売り」は、抽象的な話、理想論ではなく、ある公務員が積み重ねた失敗談、経験談です。
紙面を切り抜いておられる方は、気づいておられると思います。連載のページが、100ページを超えました。もちろん、1ページ全面を占めていないページも多いので、実文字数ではもっと減ります。

心が折れる職場

2016年7月13日   岡本全勝

見波利幸著「心が折れる職場」(2016年、日経プレミアムシリーズ)が、勉強になります。
あなたも、職場で鬱になった人や、症状が昂じてやめた人を見たことがあるでしょう。私も、残念ながら、そのような部下を、何人か見てきました。連載「明るい公務員講座」を書いている趣旨の一つも、そのような人を出さない、そのような職場にしたくないことです。
この本の著者は、その道の専門家です。個別ケースは匿名としつつ、生々しい実例が紹介されています。同じ職場でも、鬱になる人ならない人。次々と部下を不調に追い込む上司。切れ者なのに、部下が壊れてしまう上司。長時間勤務がうつ病と比例しないこと。中途半端な研修が、逆効果であることなど。通説と逆のことが、たくさん紹介されています。その点でも、勉強になります。
部下指導に悩んでいる中間管理職には、必読です。「明るい公務員講座」と共通することも書かれています。もっとも、「自分は大丈夫だ」と自信がある上司が、危ないのですが・・。