第1原発視察

5月10日11日と、第1原発と原発被災地を視察してきました。第1原発は1年ぶりの視察ですが、現場は事故後の混乱した状態から、かなり平常化しました。炉は安定的に冷却されていて、汚染水も管理されています。最近、ニュースでも取り上げられなくなりました。現状については、東電のホームページ。事故からこれまでを要約したビデオがわかりやすいです(約8分)。
まず、ほとんどの区域が、普段着のままで立ち入ることが可能になりました。爆発を起こした1~4号機の周辺も、がれきも片付き、工事現場のようになっています。ただし、2、3号機の近くは放射線量が高いです。このあたりは、タイベックススーツとマスクをします。しかし、かつてのように面体(顔を覆うマスク)は、しなくて良いので、楽です。そもそもタイベックススーツは、不織布で全身を覆いますが、放射線を防ぐ機能はありません。放射線で汚染されたゴミがついた際に、それに触れないためのものです。敷地内は、雨水を地下に浸透させない(原子炉に近づけない)ために、全面的に舗装されています。建屋の中に入って作業をしない限り、高濃度のゴミに触れることはないのです。
大きな事務棟もでき、作業員も食堂で温かい食事を取ることができます。休憩もでき、コンビニでアイスクリームや甘いものを買うこともできます。去年これができるまでは、狭い空間でコンビニ弁当を食べていたのです。現在でも6千人の作業員が働いています。
今後、1~3号機の融け落ちた燃料を、取り出す作業に入ります。現在でも安定的なのですが、より安全にするためです。その作業を実感するために、事故を起こさなかった5号機の中を見せてもらいました。格納容器の中、サプレッションチェンバー、燃料制御棒の下なども。その巨大さに驚くとともに、パイプ(計測の電線などを通すもの)のジャングルのようでした。5号機6号機は平常なので、通常の作業ができますが、1~3号機は燃料が溶け落ちて、放射線量が高く、人が入ると死ぬそうです。そのために、遠隔操作のロボットで作業を進めます。
同じ型の原子炉の実物大模型(ただし、8分の1だけ。ケーキを8分の1にカットしたものと考えてください)を、楢葉町に作りました。それも、見てきました。日本と世界の知恵と技術を集めて、挑戦します。日本原子力研究開発機構、楢葉遠隔技術開発センター。このページの左下にある動画が、わかりやすいです。それぞれ5分ほどです。