社会科学による大震災の分析8、完結

日本学術振興会(村松岐夫先生ほか)による東日本大震災学術調査プロジェクト「大震災に学ぶ社会科学」の第8回配本、第1巻『政治過程と政策』が発刊されました。編者の辻中豊教授は、「危機をめぐる公的決定と非決定の政治」として「何が公的決定され、何が公的決定されなかったか」を掲げておられます。
第1部では、「震災下の国家基本三権能」について、次のような論考が並んでいます。
第1章 執政:福島第一原発事故と官邸の対応
第2章 行政:東日本大震災に対する中央府省の対応
第3章 立法:ねじれ国会下の立法過程
第4章 司法と行政の相克:弁護団調査からみる福島第一原発事故損害の賠償過程
第2部以下では、第2部 原子力の政治、第3部 社会アクターの政治、第4部 震災と選挙、が取り上げられています。かなり広い視点からの研究です。
この第1巻配本で、このプロジェクトは完結しました。社会科学の学界を挙げての研究は、後世に残る企画となるでしょう。それぞれの論考については、見る人によっていろいろな評価があると思いますが、これだけの幅広い研究は、なかなかできるものではありません。村松先生ほか関係者の皆さんに、感謝します。
個人で全冊そろえるのは高価でしょうが、自治体や議会の図書室、公立図書館に備えることをお薦めします。