復興への取り組み、大きな新聞記事。2

今日3月2日、読売新聞1面連載「復興への選択」の第2回目は、「被災地あと8.1兆円必要」で、28年度以降の事業量のあり方とその財源の難しさについて書いていました。同じく1面真ん中には、被災42市町村長アンケート結果で、「復興完了見えず6市町」を書いています。6市町のうち5つが福島の原発事故被災市町です。原発事故処理まで30~40年かかる見通しなので、無理もありません。
30、31面は見開きで、「自立への事業選別」などを解説してます。30面には、市町村長アンケートが詳しく載っています。その中で、政府の震災対応への評価では、大いに評価できるが3人、ある程度評価できるが35人と合わせて38人、9割の首長さんが高く評価してくださっています。これは、昨年とほとんど同じです。ありがとうございます。もっとも、原発事故対応は、福島県15首長のうち、10人が評価できないという厳しい結果です。
朝日新聞連載「東日本大震災4年、復興を問う」の第2回目は、1面で「賠償に差、失う一体感」、3面で「不公平感、地域を分断」を載せています。避難指示区域では、放射線量の差によって、帰還時期が異なります。それに従って賠償金額も違います。それが住民の間で不満を呼んでいるという記事です。これは難しい問題です。支払われる賠償金額は、精神賠償や財物補償など合計概算で、4人世帯で帰還困難区域では1億5千万円、その他の区域では1億円と紹介されています。既に東電は、合計4兆円の賠償を支払っています。
それぞれに、難しいテーマを、大きく紙面を使って解説しています。ぜひ、原文をお読みください。発災4年を迎えますが、今回の各紙の特集は、読み応えがあります。これは、繰り返しになりますが、一つひとつの記事が分量が大きく内容を掘り下げていること。また、難しいテーマを取り上げ、正面から取り組んでいるからだと思います。そのために、全体を見渡して大きなテーマを選び、他方で現地を取材して、具体的な実例を拾ってきています。図表や写真で紙面を埋めるのではなく、事実の報道と解説で紙面を埋めるためには、それだけの取材と分析が必要なのです。仮設住宅の高齢化、孤立防止策の難しさ、賠償金額の違いによる不満など、東京で記者会見に出ているだけでは書けない記事です。ステロタイプの行政批判や、住民の不満の声、学者や識者の解説を載せるだけの「定番記事」とは違います。各紙の記者と編集部の力の入れ方に、感謝します。
NHKスペシャルでも、大震災から4年を、シリーズで特集してくださいます。