年別アーカイブ:2014年

計画の見直しと縮小

2014年2月27日   岡本全勝

2月27日の朝日新聞1面に、「集団移転計画、2割減。被災3県人口流出、見積もり縮小」という記事(中村信義記者)が載っていました。
高台移転(防災集団移転)やかさ上げ(土地区画整理事業)で、宅地を造成します。市町村ごとに、住民の意向を聞きながら計画を立てています。1年前に比べて、希望戸数が減っているのです。
・・3県の造成計画は2012年末時点で計2万8060戸だったが、2013年末には2万2288戸に減った・・
復興庁も過大な計画に対して目を光らせ始めた。複数の市町村担当者の話では、昨年から1戸あたり事業費が5千万円を超えるような事業計画について縮小を求めている。岩手県陸前高田市では、震災前を上回るとの将来人口予測に基づく計画が問題視された。同庁担当者は「国民に増税までお願いした大切な予算だ。適正な計画に見直してもらうのは当然」と話す・・

また社会面では、その続きが書かれています。そこに、陸前高田市の例が紹介されています。
・・復興庁が問題視したのは、将来人口が震災前の2万4128人より多い2万5千人になると想定した市の将来人口予測に基づく復興計画だった。実際には市外に生活再建の場を求める人が相次ぎ、昨年秋の時点で2万584人に減少。工事を待ちきれず自力再建する人が出るなど実際の希望者も減り、場所によっては一戸あたりの造成費は1億円前後に。「移転予定者の見積もりも過大になっていないか」
長島忠美・復興政務官(当時)が市を訪れ、居並ぶ市幹部を前に単刀直入に切り出した。「復興財源は国民の税金で負担している。無駄なスペースを残さないよう整備すれば市にとって負の遺産を減らせる」
移転後のコミュニティー維持が難しくなるとしながらも、市は高台の一部の造成中止を受け入れた・・

国民の税金を使って行う事業ですから、不要なものを作るわけにはいきません。当初の計画が間違っていたのではなく、時間とともに住民の意向が変化したのです。「役所は、一度作った計画を変更しない」と批判されますが、復興事業では柔軟に見直しをしています。
他方、災害公営住宅の建設希望戸数は、増えています。そちらも、希望に応じて変更しています。

賃上げ、政府の役割、2

2014年2月26日   岡本全勝

昨日の続きです。
・・むしろ政府は、賃金決定に関して間接的な介入しかできない民間部門よりも、規制などを通じてより経営に影響を及ぼすことのできる医療や介護、保育所などの非営利部門の賃金上昇を促す方策を考えるべきであろう。日本産業生産性データベースによれば、非営利部門全体の付加価値シェアは4%(政府部門を含めると20%)になる。
医療などの非営利分野は年率6%で労働投入が増加し、成長産業と認識されている。しかしここでの賃金は年率1.5%で下落を続けている。これは規制によって経営の自由度が制約されている中で、付加価値が労働投入量ほどは増えないため、労働供給増から賃金が低下するという、ゆがんだ形の市場メカニズムが働いているのである。もし政府が本気で国民全体の賃金上昇を考えているのであれば、規制改革を通じて非営利部門の賃金上昇を政策的課題とすべきであろう。
人々の所得を持続的に上昇させていくためには、短期的な民間企業への呼びかけだけでは不十分である。法人税減税や規制改革、労働市場改革を通じて生産性を向上させ、賃金上昇につなげていきやすい経済環境を作り出すことこそが、政府本来の役割である・・
詳しくは、原文をお読みください。

除菌ジェル。おじさんと若い女性の会話

2014年2月26日   岡本全勝

今日は、衆議院予算委員会分科会での答弁、賢きところでの説明の随行、国民の代表の方々との「意見交換会」。その間を縫って「攻撃してくる職員」の説明を撃退して(先週も土曜日曜を休んだので、仕事が一杯たまっています。反省)。
21時前、都内地下鉄の某駅のプラットフォームで(場所と、なぜそこにいたかは、秘密)。59歳のおじさんと、全く知らない若い女性との会話。
おじさん:失礼ですが、聞いてもええですか(精一杯の東京弁で)。
女性:ハイ。
おじさん:ハンドバッグにぶら下がっている、そのビンは、何でっか?(胡椒の瓶といったら、わかるでしょうか。5センチほどの縦長のビンです)。
女性:これですか。手の除菌ジェルです。
おじさん:そんなん、効果あるの?
女性:さあ、どうですかねえ。効果あると思って使っているんですが。
おじさん:あんた、風邪の菌は、口から入るんやで。手を除菌しても、効果ないんとちゃう。それよりは、口と鼻やで。
女性:(笑いながら)ええ、そうなんです。今朝もマスクしていたのです。帰りに、忘れたんです。
おじさん:僕は、1週間かかって、ようやく咳が抜けたんや。気いつけや。

賃上げ、政府の役割

2014年2月25日   岡本全勝

日経新聞経済教室2月18日、宮川努・学習院大学教授の「賃上げ問題の論点。環境整備こそ政府の役割」から。
・・日本全体の生産性格差が広がる中で、賃金格差拡大を避けつつ、多くの人が賃金の上昇を享受する方法は2つある。
1つは、個人所得税の累進度を高め、高所得者から低所得者への分配度を強めることである。しかしこの方法は、高所得者の意欲を損ね、賃金上昇の源泉である生産性上昇そのものを抑制する危険性がある。
したがって望ましいのは、2つめの方法である。すなわち、ある程度の累進税率を維持しつつ、流動的な労働市場を活用し、より生産性が高い、賃金の高い職種・業種へ労働者が移動しやすい環境を作っていくことである・・
・・労働者への配分決定は、労働組合との協議を踏まえた経営者の重要な決定事項である。国際的に高い法人税を払い、規制によって経営戦略の制約を受けながら、さらに賃金の決定まで政府からの要請に追随する姿を見ると、経営者の役割が改めて問われているように思う。今回の賃上げ決定が、政府からの指示待ち企業を多く生み出すとすれば、それは成長戦略が目指す方向とも矛盾する・・

医療の違い、諸外国との比較

2014年2月24日   岡本全勝

日経新聞連載「やさしい経済学」井伊雅子先生の「医療の公平性とは」2月21日から。
・・日本の地方自治体が支出する医療費を分析すると、少なくとも3~4割が高血圧や糖尿病などの生活習慣病と呼ばれる疾患に使われています。
英国、スウェーデンといった欧米諸国では、医療機関への受診は、症状が安定していれば、高血圧症で年1回、慢性心不全で6か月に1回、糖尿病で3か月に1回で、その間は専門の看護師たちが悪化しないように管理します。それでも平均寿命は日本とあまり変わりません・・
医師の考えの違いなのか、患者(国民)の意識の差なのか、医療政策の違いなのでしょうか。