東京消防庁の活躍、板書が有効

座談会の続きです。
新井総監:3.11直後は、部長以上が集まる最高作戦会議を、1日に朝夕の2回行っていました。
松浦参事(作戦室長):最高作戦会議のための資料作りも、(事前に作ってあった)作戦室運用マニュアルとひな形のおかげで、異動直後の人であっても、報告などに漏れがないようにできていました。
最近は、パソコンを使って情報を整理するという風潮ですが、ホワイトボードにどんどん書き込んだ方が、早いし整理もしやすかったです。いつまで昔ながらのやり方をするのだと言われることもありますが、結果的には、ホワイトボードに書いたものをベースに報告書を作成するのが一番だと思います。
松井救助課長:ホワイトボードには、要点だけを書きます。余計なことを書かないので、一番信頼できるし、皆が同時に見ることができます。
五十嵐副参事:板書は、本当に訓練の賜物です。宮城県の災害対策本部で、訓練どおりに板書をすると、皆が情報を理解できるようになりました。時系列で書いて、必要な情報を後から、追記できましたし、こういう時はアナログが一番です。
松井救助課長:シナリオ訓練しかやっていないと、本番で書けないのです。実践的なブラインド型訓練をしていないと駄目ですね。

新井総監:長期間活動をどう行うのかも問題点です。東京の場合、最初は1週間交代くらいで出したわけですが、片道十何時間もかかる往き帰りが結構大変で、隊員の疲労が問題でした。十何時間かけて現地へ行って、3日間くらい被災地で活動して、十何時間かけて戻ってくる。現地の地理がようやく把握できた頃に、交代することになるといった状況でした。
最初に行った隊員は、休みを取れない過酷な活動になるのは仕方がないのですが、半月後やひと月後に行く隊員は、もう少し長期間現地で活動できるような体制、要するに兵站を十分に確保しなければならないと思います。最後には、観光バスを借り上げて、隊員を観光バスで送り込みました。消防車両は現地においたままで、人だけを入れ替える方式をもっと早く導入できたら良かったと思います・・