日本の移民政策

8月25日朝日新聞オピニオン欄、ザ・コラムは、有田哲文編集委員の「移民政策、「だましだまし」に迫る限界」でした。
・・人口減少への対策で、わが国の政治家があまり語りたがらないテーマがある。移民である・・
・・日本には、外国人の技能実習制度がある。建前は実習だが、3年を上限に外国人を労働者として使える・・日本は移民政策の代わりに、変な建前を作ってしのいできた。単純労働は禁止だが、研修や実習ならかまわない。日本人の血を引く日系人なら、3世までは出稼ぎに来ていい―。そんな「だましだまし」は、もうやめにした方がいいのではないか・・
・・移民政策の両輪は、「社会的包摂」と「戦略」である。前者が、外国人を底辺に追いやらずに共生するにはどうすればいいかを考えるものだとすれば、後者は、国力を維持するためにどれだけの人をどう受け入れるかという、冷徹な態度である。

過去20年、社会的包摂は、それぞれの地域で試行錯誤を重ねてきた。しかし、戦略の方はまだこれからだ。
外国人支援を続けてきた多文化共生センター大阪の田村太郎さん(42)は、少子高齢化に立ち向かうための戦略が必要で、外国人受け入れ政策も、その一環として考えるべきだという。
「単純に日本の人口が減る分を外国人で穴埋めしろというのは、乱暴だし無理な話。女性が働きやすい社会をつくるなかで、外国人の力も借りるべきだ」。洗濯や掃除などの家事労働を担う産業を育てるとともに、外国人に労働許可を出していくことを提案する。希望すれば長く働くことができ、いずれは永住資格も得られる。日本版移民制度といってもよさそうだ。「男女とも働きやすくなれば、世帯の所得が増え、子どもも生みやすくなる。欧州には実例があります」
移民政策を語るのは、どこか心が痛む。自分たちのやりたくない仕事を押しつけようとしているだけではないか。でも、日本人だけで人口減少社会を乗り切れるとも思えない。
「だましだまし」は大人の知恵だったのかもしれない。しかし今必要なのは、もっと別の知恵である・・
太郎さんが、有田記者の記事に出てくるとは。世間は狭いですね。