年別アーカイブ:2012年

会話と対話と論戦と

2012年7月14日   岡本全勝

朝日新聞7月5日オピニオン欄、平田オリザさんのインタビューから。
・・ダイアローグ(対話)とカンバセーション(会話)は、明確に違います。私なりに定義すると「会話」は親しい人同士のおしゃべり。「対話」は異なる価値観などをすりあわせる行為。しかし日本語の辞書では「【対話】向かい合って話をすること」などとされ、区別がない。
・・日本語は、閉じた集団の中であいまいに合意を形成するのにはとても優れた言葉です。日本文化の一部ですから、悪い点ばかりではない。近代化以前の日本は、極端に人口流動性の低い社会でした。狭く閉じたムラ社会では、知り合い同士でいかにうまくやっていくかだけを考えればいいから、同化を促す「会話」のための言葉が発達し、違いを見つけてすりあわせる「対話」の言葉は生まれませんでした
・・対話のための日本語はいまだにつくられていない。富国強兵、戦後復興、所得倍増と大きな国家目標があって、それに向かって努力していればきっと幸せになれると多くの人が信じているような社会では、多様な価値観は生まれにくい。みんなが一丸となって目標に突き進めばよかったので、対話は必要なかったのです・・

なるほどと思います。ただし、農村社会ではこの説は有力だと思いますが、相手との駆け引きや競争が必要な商人の世界では、どうだったのでしょうか。また、日本と同じような環境にあった国では、どうだったのでしょうか。たとえば韓国やネパールとは、どこが同じでどこが違うのでしょうか。さらに掘り下げて、知りたいです。
私も日本社会論や日本特殊論を語ってきましたが、ほとんど欧米との比較であって、アジアとや全世界との比較ではありませんでした。欧米を基準とした比較に陥らないようにしなければならないと、反省しています。
この項続く。

災害関連死

2012年7月13日   岡本全勝

昨日12日に、「災害関連死に関する検討会」を開きました。私は担当なのですが、福島に出張していて、職員にすべて任せました。ごめん、諸戸参事官。
総数が約1,600人であることは、すでに公表しました。その後、その中の分析を進めています。約500人について分析しました。その概要です。
年齢別では、80歳以上の方が74%(表3)。時期別では、3か月以内に亡くなられた方が71%(表4)。原因別では、初期治療ができなかったことや避難所への移動中が43%、避難所でのストレスなどが30%です(表5。複数回答)。自殺者は5人でした(表7)。
まだ。分析の途中なので、中間報告です。

福島再生基本方針決定

2012年7月13日   岡本全勝

今日13日に、「福島復興再生基本方針」が閣議決定されました。内容は、概要を見ていただくとして、本文は110ページもの大部のものです。
当初は、5月中に決定する予定でしたが、県や市町村と協議を重ねることで、今日までかかりました。法定の協議にかける前のすりあわせでも、市町村からは約400項目の意見をいただき、それらを調整したのです。関係者にはご納得いただいているので、問題はないと思います。
福島県知事からも、「復興庁はよくやってくれた」という趣旨の、ねぎらいの言葉をいただきました。ありがたいことです。
もちろん、方針や計画は作ることが目的ではなく、それを実行して評価されるべきものです。しかし、このように閣議決定することで、政府全体を縛ることになり、国民の前に国の責務を明らかにしたことになります。これからは、ここに盛られた事項を実施し、なるべく早い帰還を進めることが、私たちの仕事です。

昨日に引き続き、今日も福島県に行って、これからの進め方について12市町村の方と意見交換をしてきました。「遅い」「進んでいない」と批判されますが、県や市町村の協力を得て、一つずつ進めています。
一番困る批判は、具体的な事項を指摘せず、「遅い」と言われることや、物差しを示さずに「遅れている」と批判されることです。岩手県や宮城県と比較して、「進んでいない」とおっしゃる方もおられますが、津波被害は水が引いたら復旧に着手できます。放射性物質に汚染されたところは、自然減衰したり除染しないと、復旧に取りかかることはできません。避難区域は、避難が解除されてからになります。
「住民の立場に立っていない」とか、「寄り添っていない」というご批判もあります。批判は甘んじて承りますが、どの点がだめなのか具体的に指摘していただかないと、是正しにくいのです。

企業やNPOへの期待、新しい試み

2012年7月12日   岡本全勝

復興に関して、私が関心を持っていることに、企業との連携やNPOとの連携があります。このホームページでも、何度か書いています。また、NPOへの期待については、先日、「東北復興新聞」にも書きました。さかのぼると、『新地方自治入門-行政の現在と未来』の第8章に「官共私三元論」を書いた頃からの関心です。
復興の場面では、町がなくなっているので、町がどのような要素からできているかが、わかります。そこでは、商店街での各種サービスと雇用、町内会やいろんな集団のつながりといった要素がとても重要です。
しかし、これまでの地方行政論では、それらは所与のものであり、役場の仕事の外にありました。企業誘致は、行っていましたが。極端に言うと、企業やNPOは、せいぜい民間へのアウトソーシング・民間委託の対象でしかありませんでした。ともに地域社会を支える、公共の担い手であることは十分には認識されていません。多くの行政学や地方行政の教科書には、出てきません。

今、復興庁では、企業連携班NPO連携班をつくって、新しい試みに挑戦中です。どこで、誰に、何を手伝ってもらうか。具体事例を示さないと、抽象論では理解されないでしょうし、広がりません。
そのためには、一方で誰が何を提供してくれるか、他方でどこで誰が何を求めているかを調べ、つながなければなりません。
避難所にいる時期(昨日の記事の第2期と第3期)では、避難所での炊き出しや物資の配布の手伝い、がれきの片付けなど、作業がわかりやすかったのです。しかし、仮設住宅期、町の復興に取りかかる時期(昨日の記事の第4期)になると、まだ実例も少なく手探り状態です。
復興庁では、今後、NPO、企業、自治会、行政がどのような役割を期待されているか、5つの分野に分けて、大まかな「地図」を示しました。「多様な担い手のロードマップ」。これを、具体化していく必要があるのです。

いろいろと、調査の触手を広げているところです。職員が手探りで、研究してくれています。成果はこれからですが、乞うご期待。そしてそれは、新しい公共や行政のあり方の試行です。

拙著の古本

2012年7月11日   岡本全勝

いくつか本を出版したのですが、すべて古くなって、古本でしか手に入りません。その点、アマゾンは優れものですね。時々検索しては、「へ~、こんな値段がついているのだ」と驚いています。
古い本は、表紙の画像が載っていませんでした。ところが最近、1995年に出版した『地方交付税-仕組みと機能』まで、表紙が載りました。どなたかかが、写真を撮って載せてくださったのですね。